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伊坂幸太郎『砂漠』を再び読む!

『砂漠』 伊坂幸太郎
実業之日本社 2017年

【好きなところ】

 圧倒的な存在感がある西嶋が最高です。
彼なりの思いを誰ふり構わずぶつける姿勢が気持ちが良いです。
そして、そんな彼もうだうだ悩んでいるところが愛おしいくなります。

 とにかく西嶋を思い出したくなって、何度も読みたくなる一冊です。

【印象的なところ】

■それを聞きながら僕は、確かに、幼稚な反抗と浅薄な理想主義はパンクロックの本質かもしれないなあと思った。(p34)
■西嶋の良さを理解するのは、初対面では無理だろうし、だいたい僕自身も理解できているとは言いがたいし、それを言うのなら、そもそも良さがあるのかどうかも証拠はないけれど、とにかく、目に見えるものか大事だと思う人たちに、彼の良さが分からなくても仕方がない、と思ったからだ。(p100)
■西嶋の言葉
「さっきの募金と同じですよ。関係ないんですよ!歴史とか世界とかね。今、目の前にある危機、それですよ。抗生物質をあげちゃえばいいんですよ。その結果、歴史が変わったって、だからどうしたって話ですよ。抗生物質をあげちゃえばいいんですよ、ばんばん。みんなに広めちゃえばいいじゃないですか。あのね、目の前の人間を救えない人が、もっとでかいことで助けられるわけないじゃないですか。歴史なんて糞食らえですよ。目の前の危機を救えばいいんじゃないですか。今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、明日、世界を救えるわけがないんですよ」(p105)
■最後の学長の言葉
学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。そういう人生は送るなよ」(p497)

※特に強調しているところが印象に残っています!

【その物語を読んで考えたこと】

 まず、改めて読み直してみて面白かった。圧倒的に存在感を放っている西嶋が言うことが最高です。
政治的なことや世界で起こっていることに対して、持論を展開しまくるところは心地よいです。

こんな風に話しをすることは白けた目で見られるけど、それでも臆せず堂々としている姿には、感銘を受けます。
分からないことはたくさんあるけれど、知ったようなフリをしないで、自分の見たこと聞いたことから感じたことや考えたことを言葉にする姿勢は、本当に素敵だなぁと思います。

 他にも、たまたま見てしまったサイトにあった明日殺処分されてしまう犬を引き取るところも、有言実行、率先垂範、一貫した姿勢が最高です。
引き取った後に考える、その姿勢は見習うべきところがあるなと思いました。
あれこれ、うだうだ考えないで、目の前にある困りごとを解決するために動く。そんな姿勢がカッコいいなと思います。

『砂漠』は、様々なシーンで西嶋節を見ることができる小説です。
その一貫した姿勢は、自分自身もありたい姿であるし、その姿勢を見習って生きていきたいと思います。
この小説を読んだのは10年くらい前だと思うけど、その時から西嶋への尊敬は変わっていません。
むしろ、やっぱりいいなぁ!と思うほどでした。



最後までお読みいただきありがとうございました。

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