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切なくて。その命は美しくて。

本、読み終えたよ。

昨日、途中まで読んで、あまりにも息苦しくなって一旦本を置いたよ。
しばらく眠って頭を休めないと、続きを読めなかった。

切なくて…切なくて…切なくて…
でもその命はあまりにも美しかった。

しばらくぼーっとしていたよ。軽い放心状態。
なにもする気がおきないような。
物語の世界に入り込みすぎて、しばらく目の前の現実の世界に
戻れなかった。

日記帳を開いてみたけど、ペンが進まなかった。
珍しいよね。こんなこと。

簡単に感想なんか言ってはいけないような、そんな気持ちになった。

世の中が大きな大きな不安に包まれている。

「希望」が引きちぎられていくような日々。

「命」というものを突き付けられる脅威。

だから、よけいに切なかった。

買ったままで長いこと読めずにいた本。
このタイミングが一番良かったのかもしれないよね。

あまりにも切ない物語だから、
いつかまた読み返そうという気にはならないかもしれない。

でも、この本に出会えてよかった。

運命、ってあるのかな?

もうけっこう長く生きてきたと思うし、自分なりに
相当たくさんのことを経験してきたと思う。

もうこれ以上は1ミリもがんばれないよ、と本気で思うくらい
自分なりに精一杯生きてきた。

そんな私でも、運命ってよくわからない。

でも、私はこれから先、まだ何かに出会える気がするよ。

それが何かはわからないけど。

まだたくさんの何かに出会いたいと思った。
そしてまた、たくさん心震わせたい。

たぶん、まだたくさんあると思うよ。
自分の心が震えるような何かが。

この世には、まだたくさんある気がするよ。

カズオ・イシグロ著「私を離さないで」

  2020年4月6日(月)の私より

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