組織変革の専門家が綴るnote。【第2回】パワハラ・モラハラを我慢する理由は1つもない、即辞めよう!

こんにちは。組織開発コンサルタントの上崎 大輔です。

組織開発のTipsをお伝えする本コラム。今回は、パワハラ・モラハラに対する考え方、自分の身の守り方について書きたいと思います。

「自分が変われば相手も変わるのではないか」
「飲みに行くなど相手の懐に入ったらどうか」
「愛情をかけてくれてるから、言うことを聞いたら良いんじゃないか」

私が社会人2年目にパワハラを受けた際に、相談した人たちからもらったアドバイスです。結論としては、どのアドバイスも的外れで、効果はまったくありませんでした。

周りでもパワハラ・モラハラに苦しむ声を多く聞きます。日本企業に巣くう病だとも言えますが、実際は受ける側が我慢を強いられることのほうが多いという現状があります。

同時に、パワハラ・モラハラを受けた経験は、長期にわたってメンタル面に大きなダメージをもたらし、人生やキャリアにも多大な影響を与えかねません。

組織開発の専門家としてのアドバイスは、「パワハラ・モラハラを受けたらすぐに会社を辞めよう」です。

■目次
1.パワハラ・モラハラの何が問題なのか?
2.パワハラ・モラハラが与える人生やキャリアへの影響
3.自分はどんなパワハラ・モラハラを受けたか?
4.注意すべきポイント
5.自分を守るために必要なアクション
 

パワハラ・モラハラの何が問題なのか?

2022年4月より、全企業に対して「パワハラ防止法(正式名称:労働施策総合推進法)」の順守が義務化されました。ところが、さまざまなデータを見てみると、パワハラをはじめとするハラスメントは減らないばかりか、年々増加傾向にあります。

社会全体にパワハラ・モラハラが蔓延している状況のなか、いまや職場にパワハラ・モラハラがあるのは当然であるという見方までもが一般的になりつつある状況です。

それでは一体、パワハラ・モラハラの何が問題なのでしょうか。
特に現在の上司世代の人たちが「自分たちが若い頃はハラスメントが当たり前だった」という意識でマネジメントのポジションに就いていること。その結果、「若いうちは我慢すべき」「受ける側に問題があるのだ」という風潮が生まれていることが、大きな問題だと私は考えています。

ただ、現実を見てみると、パワハラ・モラハラにより自殺者が出る事案も発生しています。なおかつ、そのような状況下でも、会社側は誰も責任を取る姿勢を見せないなど、パワハラ・モラハラが本人や家族に与える二次的被害は見るに堪えないものがあると思っています。

パワハラ・モラハラが与える人生やキャリアへの影響

パワハラ・モラハラは「人格破壊行為」ですが、現在の日本ではその影響が過小評価されているように感じます。ハラスメントを受けた側には心の傷が残りますし、回復するにはとても時間がかかります。もちろん、治療のための医療費もかかります。

そして一度回復したとしても、パワハラやモラハラの経験がトラウマとなって、無意識にそのときの記憶や恐怖心が蘇ってくることもあります。私の周囲でも、メンタルを潰された結果、なかなか元に戻らない、疲れやすくなったという声をよく聞きます。

また、パワハラ・モラハラを受けることで、「あいつは仕事ができないんだ」などとレッテルを貼られ、職場での評価が下がる事態も懸念されます。そうすると仕事に集中できず、パフォーマンスが下がる一方ですし、そのような状態がさらにハラスメントを招くという悪循環にもつながりかねません。

自分はどんなパワハラ・モラハラを受けたか?

新卒で入社した大手化学メーカーで、私はパワハラとモラハラの2つを経験しました。

最初の配属先である工場の人事部門では、チームリーダーから一方的に怒鳴られたり説教されたりする毎日でした。次第に、そのリーダーを見るだけで手が震えるような状態に。グループリーダーに「このまま一緒に仕事をさせるなら会社を辞めます」と宣言したところ、本社の人事に異動が決まりました。

本社人事では、周りから優秀だと評判の上司の下についたのですが、2年間の仕事のなかで、私の提案は何一つ受け入れてもらえませんでした。挙句の果てに、周囲のメンバーに対して「上崎は仕事ができない」というブランディングをされてしまったのです。

そのような4年間を経て、最後の1年はよい上司のもとで成果をあげることができたのですが、私のなかでも見切りがついていましたので、最終的に会社を辞める決断を下しました。
 

注意すべきポイント

私自身の経験上、パワハラ・モラハラは「気がついたときには、はまっているもの」だと思います。なかなか違和感に気づけなかったり、おかしいなと感じはじめたときには常態化してしまっていたりするのです。

また厄介なことに、他のメンバーが見ていない場所や時間に起こること。そして仕事ができる(と周りから思われている)人がパワハラ・モラハラを行うがゆえに、誰も文句が言えないことが大きな問題だと感じます。

そして、会社の文化にもよりますが、私の場合は、会社は守ってくれませんでした。周りも見て見ぬふりで、誰も助けてくれなかったのも辛い経験でした。

最初のうちは私も「自分を変えよう」と努力しましたが、ハラスメントの場合は自分が変わっても相手は変わりません。相手の問題だと捉えて、自分を責めない姿勢こそが大切です。

自分を守るために必要なアクション

パワハラ・モラハラに対して、我慢したり無理したりする必要はありません。おかしいな、苦しいなと感じたら、躊躇なく会社を辞める決断をしてほしいと思います。

そのためには、録音など、きちんとハラスメントの証拠を残すこと。弁護士を立てたり、社内のコンプライアンス・内部通報制度を使って告発したりすることも1つの手段です。また退職交渉がうまく進まなそうな場合は、退職代行業者を使うのもよいでしょう。

今の世の中、特定の会社にしがみつかなくても、いくらでも生きる道はあります。私の周りでも同様の理由で会社を辞めた人たちがいますが、誰一人後悔をしていませんし、みな口をそろえて「あのとき会社を離れてよかった」と話しています

これ以上苦しい思いをしないためにも、ぜひ「辞める」という勇気を持っていただければ幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?