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フランスで保育ママ制度を利用する我が家が、ロックダウン中に感じたこと(前編)

ロックダウンは解除されて10日ほど経ちましたが、私は、まだ不安で家から出られずにいます。在宅勤務が続いていることもあり、ずっと家にいます。フランスで生活していて、3月17日のロックダウン以降から、2歳の娘は在宅勤務になった私達とずっと一緒にいます。
娘は、生後3ヶ月から、フランス人の保育ママさんと、他に一緒に預けられている2人の子達と、毎日、朝9時から夕方6時までを過ごしてきました。夫の職場の近くに住んでいて、いつもは夫が車で送り迎えをしてくれています。
本来であれば、もうロックダウンは解除されたので預けられるのですが、保育ママさんの家は遠く、夫も在宅勤務が続いているので、娘は引き続き家にいます。

保育ママをご存じない方に少し補足します。
保育ママとは、ひとりの保育士が自宅もしくは施設で、最大3人まで子どもを預かる小規模の保育形態です。フランスでは、保育ママは国家資格でAssistant maternelle agréeと呼ばれます。日本では自治体によって管理され、保育士、看護師、助産師などの資格保有者であれば良いとしているようです。
日本では高いイメージがあったり、一個人に預ける不信感もあるかと思います。私も、預け始める前は、同じような不安を感じていました。

今となっては、娘の保育ママさんには、感謝しかありません。
彼女は、預かっている子どもたちに自分のことを「タタ」と呼ばせています。フランス語では、「とっても身近なおばさん」への一般的な呼び方なのですが、小さい子でも発音しやすいからでしょうね。もう成人している四人の息子を育て上げた肝っ玉母さんで、一人目の育児に不慣れな私に色々とアドバイスをしてくれます。かれこれ20年以上も保育ママの仕事をしている、この道のプロフェッショナルです。
朝、タタさんの元へ娘を送りに行くとき、家が近づいてくるにつれて「タタ!タタ!」と嬉しそう。到着してドアを開けてタタさんの顔をみると、もう大喜び!お迎えに行っても、帰りたがらず、明日も来るのに、毎日今生の別れのように名残惜しそう。
そんな様子から、いつも可愛がってもらえているんだなぁ、と実感できます。

もう2年前の話になってしまいますが、私達の保活を少し振り返りたいと思います。
フランスの保育園は激戦で、妊娠6ヶ月から保活を始めないといけない、といわれています。私達が保育園の申込みをしたのは産後で、完全に出遅れてしまっていたのです。住んでいる自治体の保育園、夫の勤務先の保育園、私の勤務先の保育園、全滅でした…。なんとしても仕事に戻る前には預け先を見つけなければ…。
そこで、フランスでは保育園と同じぐらい一般的だといわれている保育ママ、という選択肢が上がってきました。

とりあえず、保育ママとは、どんなものかを知りたいと思い、日本語のサイトで検索しまくっても、なかなかしっくりくる情報が見つけられず。そもそも日本ではあまり馴染みがないし、それ以前に、預けて働くことに対しての是非を論議していることサイトの多いこと。

その頃は、心身疲れ切った状態で、フランス語を見るのも、話すのも嫌な時期でした。産後で精神的にも不安定で、身体もあちこちまだ痛い状態。毎日泣いて過ごす日々。
面倒見の良いフランス人の友達何人かが連絡をくれたのをきっかけに、話を聞けるようになりました。ただ、いつもはのんびりしているフランス人でも、保活など、大事なことに対してはきちんと準備してるんですよね。私のように保活に乗り遅れた人は、仲の良い友達の中にはおらず、みんな、いかにして保育園の枠を勝ち取ったかという武勇伝ばかり…。嗚呼、辛い…。

その中でも、気の利く友達が、「役に立てなくてゴメンね…でも、○○さんちは保育ママさんだったから電話してみれば?」と、知り合いの連絡先を、何人か教えてくれました。
私にとって顔見知り程度で、そこまで話したことがない人たちでしたが、藁にもすがる思い、恥を忍んで思い切って電話をしました。みんな同じ経験を経ているようで、とても親切に私の疑問に答えてくれました。何人もに話を聞いていたら、あえて保育園ではなく、保育ママを選んだ、という人たちに出会えました。
私の中で、一番重くのしかかっていたことは、保育園に入れなかったから保育ママさんという、子供の人生の第一歩で妥協せざるを得ないという状況。
あえて保育ママという選択肢をとる人もいると知ったとき、本当に救われる思いでした。

そのときに言われた保育ママで良かったこと:
・生後3ヶ月から預けるなら、少人数で目が届く方が安心
・子どもの生活ペースに合わせてもらえる
・送り迎えの時間の融通が効く
・学校休み期間でも預かってもらえる(フランスの学校は2ヶ月に1回2週間の休みがあり、その期間、休園する保育園が多いのです)
・保育園に比べて少人数なので風邪を引きづらい
・自分自身が保育ママで良かったから

最後の、「自分自身の幼い頃の経験上良かったから」というのは、非常に勇気づけられました。フランスにおいて、保育ママの歴史は長く、預けられていた子供達が、大きくなってもう親になっている世代なのです。「自分の結婚式にも来てもらったよ。」という人もいました。
保育ママを子どもの立場で経験して、良かったと証言してくれる大人がいる。自分の娘はまだ喋れないけれど、大きくなったら彼女もそう言ってくれるような気がしてきました。

ちなみに、良くない点:
・個人なので第三者の監視の目がない(公的機関の抜き打ちチェックはあります)
・高い(地域や収入によって変わりますが、保育園のおよそ1,2から1,5倍程度)
・ミルクとおむつ持参(離乳食以降は作ってくれます)
・2歳以降は社会性を身につけるべく、集団生活の方が良い

次回に続きます。

保育ママさんに関する記事は、こちらにまとめてありますので、もしよろしければ。

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