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内海はゆっくりと頷いた。「先月の夜だった。放課後、五井駅の近くのコンビニに一人で入った…
僕の心臓は跳ね上がった。どうして、そのことがバレているんだ? 菊池は赤いフレームの…
ふと目が覚めて顔を上げると、そこは教室の中だった。 瞼をこすり、前方を見ると、世界史…
あの夏の日に起きたことを、いつだって忘れることができなかった。 高校、大学を卒業し、…
一瞬だけ、時間の流れが止まったような感覚があった。 私はごくりと唾を飲み込んだ。「何…
図書室の中は静寂に包まれていて、十人くらいの生徒たちが熱心に本を読んだり、勉強に励んだ…
「え、嘘……ない」通学カバンの中を覗き込みながら、私はつぶやいた。 帰りのホームルームが終わり、これから部活に行こうとした矢先のことだった。 「凪咲? どうしたの?」後ろから麻利が訊いた。 振り向くと、小柄でショートボブの彼女は不思議そうに私を見ていた。 「ないんだよ」私は青ざめた顔で言った。 「何が?」 「文化祭の……予算」 「ええっ、嘘っ。本当にぶっ」 私は麻利の口を塞いだ。「ちょっと、大きい声出さないでよ。まだ人いるんだからさあ」 反射的に周りを見渡した。教室
秘密基地の外に、誰かがいる。 その事実は、一瞬にして僕らに緊迫感を与えた。 シーツ…
「そう、誰がこのクラスの給食に勝手にプリンを追加したのか、ほんまに誰も知らんということや…
「おい、そんなに引っ張るなよっ」 僕の非難を込めた言葉に、メトロは聞く耳を貸さず僕を…
教室内に、チャイムの音が鳴り響いた。 やっと授業が終わって、塾から解放されるのだ。 …
翌朝、拓実は席に着いて、頬杖をつきながら窓の外を眺めていた。 外にはどんよりとした曇…
およそ1時間前に来た際と同じ道のりを通り、やがて拓実と葵は室見川まで到着した。 空は…
水分補給をしてから、アディダスのショルダーバッグをからって、拓実は家を出た。 バッグの中には、800円程入った財布を入れてある。 勿論、案内状はちゃんとポケットに入れたままだ。そして彼の左腕には、葵を見習って腕時計が嵌められていた。 拓実はカゴ付きの自転車をガレージから出して、それに乗って走り出した。 車体の色はシルバーで、もう何年も使用しているため所々錆が付いて年季が入っていた。 それとは対照的に、自転車に乗る拓実の表情は生き生きとしている。 こんな気持ち、ど