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自作短編小説集

77
これまでに書いた自作の短編小説を載せています。
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#青春

アライヴ④(最終話)

 内海はゆっくりと頷いた。「先月の夜だった。放課後、五井駅の近くのコンビニに一人で入った…

植木意志
2年前
12

アライヴ③

 僕の心臓は跳ね上がった。どうして、そのことがバレているんだ?   菊池は赤いフレームの…

植木意志
2年前
8

アライヴ②

 ふと目が覚めて顔を上げると、そこは教室の中だった。  瞼をこすり、前方を見ると、世界史…

植木意志
2年前
10

アライヴ①

 あの夏の日に起きたことを、いつだって忘れることができなかった。  高校、大学を卒業し、…

植木意志
2年前
13

図書室の探偵③/③

 一瞬だけ、時間の流れが止まったような感覚があった。  私はごくりと唾を飲み込んだ。「何…

植木意志
2年前
16

図書室の探偵②/③

 図書室の中は静寂に包まれていて、十人くらいの生徒たちが熱心に本を読んだり、勉強に励んだ…

植木意志
2年前
15

図書室の探偵①/③

「え、嘘……ない」通学カバンの中を覗き込みながら、私はつぶやいた。  帰りのホームルームが終わり、これから部活に行こうとした矢先のことだった。 「凪咲? どうしたの?」後ろから麻利が訊いた。  振り向くと、小柄でショートボブの彼女は不思議そうに私を見ていた。 「ないんだよ」私は青ざめた顔で言った。 「何が?」 「文化祭の……予算」 「ええっ、嘘っ。本当にぶっ」  私は麻利の口を塞いだ。「ちょっと、大きい声出さないでよ。まだ人いるんだからさあ」  反射的に周りを見渡した。教室

短編小説「少年たちの秘密基地」【後編】

 秘密基地の外に、誰かがいる。  その事実は、一瞬にして僕らに緊迫感を与えた。  シーツ…

植木意志
2年前
22

短編小説「少年たちの秘密基地」【前編】

「そう、誰がこのクラスの給食に勝手にプリンを追加したのか、ほんまに誰も知らんということや…

植木意志
2年前
28

短編小説『逃げ道はゲームセンター』(後編)

 「おい、そんなに引っ張るなよっ」  僕の非難を込めた言葉に、メトロは聞く耳を貸さず僕を…

植木意志
3年前
6

自作短編小説『桜の夜風』

 教室内に、チャイムの音が鳴り響いた。 やっと授業が終わって、塾から解放されるのだ。  …

植木意志
3年前
8

青春ミステリー小説『放課後の冒険』 エピローグ「仕掛け人の正体」

 翌朝、拓実は席に着いて、頬杖をつきながら窓の外を眺めていた。  外にはどんよりとした曇…

植木意志
3年前
3

青春ミステリー小説『放課後の冒険』 第5(最終)話「予想外の邂逅」

 およそ1時間前に来た際と同じ道のりを通り、やがて拓実と葵は室見川まで到着した。  空は…

植木意志
3年前
4

青春ミステリー小説『放課後の冒険』 第4話「ゾディアックの暗号文」

 水分補給をしてから、アディダスのショルダーバッグをからって、拓実は家を出た。  バッグの中には、800円程入った財布を入れてある。 勿論、案内状はちゃんとポケットに入れたままだ。そして彼の左腕には、葵を見習って腕時計が嵌められていた。  拓実はカゴ付きの自転車をガレージから出して、それに乗って走り出した。 車体の色はシルバーで、もう何年も使用しているため所々錆が付いて年季が入っていた。 それとは対照的に、自転車に乗る拓実の表情は生き生きとしている。  こんな気持ち、ど