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自作短編小説集

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これまでに書いた自作の短編小説を載せています。
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記事一覧

【短編ミステリ】夏の朝、推理するわたし

 列車が発車したのはわかっていた。  だって、「ファーン!!」っていう大きな警笛の音が、…

植木意志
1年前
29

計画的トマトスープ④/④

 穂積が急遽、立案した作戦に従って、僕たちは行動していた。  計三ヶ所の出入り口にそれぞ…

植木意志
1年前
8

計画的トマトスープ③/④

 穂積と加納と同盟を結んでから、一週間が過ぎた。  今は八月の上旬で、それは僕がこのアル…

植木意志
1年前
8

計画的トマトスープ②/④

 五日後、夏休みを迎えると同時に、僕の奇妙なアルバイトが始まった。  最寄りの駅から地下…

植木意志
1年前
8

計画的トマトスープ①/④

 ルネ・マグリットの絵にトマトスープがぶちまけられるのを防ぐために、僕は市内の美術館の学…

植木意志
1年前
17

短編小説「宇宙飛行士と怪現象」

 住宅から漏れる明かりが、窓のそばを通り過ぎていく。  揺れる列車の中、わたしと薫は愚痴…

植木意志
1年前
36

短編小説「アンディ・ブラウンを探せ」

 依頼人は突然やってきた。  その男はいかにも尊大な態度で革張りのソファに腰を下ろし、私と向かい合った。  背もたれに体を預け、金色のライターで煙草に火をつけると、彼はゆっくりと煙を吐き出した。  年齢は四十代半ばから後半。短い茶色の髪にはいくらか白髪が混じっている。身長は百八十センチほどで、スーツの上からでもわかるほど筋肉質な体つきをしている。  そして額の傷跡が、彼がカタギの人間ではないことを示唆していた。  私は窓を打つ午後の雨の音を聞きながら、彼が言葉を発するの

短編小説「夢のトリクルダウン・地下世界への片道切符・溶ける氷主義者」

 水曜日の夜、私は同僚と日本橋にあるバーにいた。  我々はカウンターに隣り合って座り、ワ…

植木意志
1年前
32

短編小説「僕は知らないし、気にしない」【後編】

 火曜日、ジェームスとトーマスとパーシーの見舞い帰り、僕はジョージ・ストリートを西に歩い…

植木意志
1年前
25

短編小説「僕は知らないし、気にしない」【前編】

 スーパーマーケットで缶ビールとチョコレートバーをそれぞれ一本ずつパクった後、僕はバイク…

植木意志
1年前
34

短編小説「有人教室」

 通りを吹き抜ける冷たい風に、思わずマフラーに顔をうずめた。  冬休み明けの学校。低く垂…

植木意志
1年前
32

短編小説「隣の家の庭」

 隣の家の庭に、日傘をさした青い着物姿の女性が佇んでいる。  かれこれ、もう二時間ずっと…

植木意志
1年前
30

短編小説「海水浴」

 予想通り、海水浴は退屈だった。  と言っても、僕自身は泳ぐわけではないから、それは厳密…

植木意志
1年前
25

アライヴ④(最終話)

 内海はゆっくりと頷いた。「先月の夜だった。放課後、五井駅の近くのコンビニに一人で入ったの。そしたらあの三人、橋本と冷牟田と金子が、店の中にいた。  それでちょっと三人の様子が変な感じがして、気づかれないように観察してたら、橋本が万引きを働いた。店のお菓子をカバンに入れて。私、本気でびっくりした。あの時までは、生徒の鏡みたいな存在だと思ってから。  で、会計せずに店から出た三人を追いかけて、そのことを追及した。そしたら三人が血相変えて、私を強引に、近くの公園の多目的トイレに連