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逆噴射小説大賞2021 ふりかえり読書会ファイナルを開催しました。

いつもお世話になっております。お望月さんです。
逆噴射小説大賞の感想を募るために設置したDiscord「BARメヒコ」でファイナル打ち上げ懇親会を行いました。

#逆噴射小説大賞2021 とは?

冒頭800文字を競う破天荒メキシコな小説コンクールです。賞品は名誉とコロナビールのみ。パルプ小説を募集しているものの、そのジャンルは実際多岐にわたり様々な作品が連なる由緒あるコンテストになっています。

打ち上げ懇親会のお知らせ

懇親会の様子

たのしい読書会

読書会とは
逆噴射小説大賞応募作品から、1作品を選び10分制限で語り合う名物イベント。エンジョイ&テイスティングの精神で、一押し作品もピンとこない作品も等しく語り合う企画。読書会の対象作品は、小説大賞最終候補(コメント付き)の作品からリクエストに応じて選択しました。

逆噴射小説大賞2021 ふりかえり読書会ファイナル

開催日 2022/4/2(土) 21:00~23:30
21:20 代書屋ゴンドウ | RTG
21:30 斜陽虐殺王破伝 | Shun Shigekawa
21:40 センパイ・スクランブル | プラナリア
21:50 遵法復讐者 | 唯野
22:00 俳優アントニオ・マルティネスについての記憶 | 城戸 圭一郎
22:10 サラエボの日 | bluebird_kndk
22:20 アリと破滅とキリギリス | 復路鵜
22:30 ようこそ殺人鬼の街へ | まもる
22:40 屍人と長虫 | バッティ
22:50 空に噛みつく青い鳥 | 摩部甲介
23:00 虚面狩り | 電楽サロン (奨励賞)
23:10 玄獣狼、吼える。 | 螺子巻ぐるり(奨励賞)
23:20 薄火点 | 誰も悪くないこれは悲劇や(大賞)

今回の大賞作品は「逆噴射小説大賞2021:結果発表|ダイハードテイルズ」よりセレクトしました。

代書屋ゴンドウ|RTG|note

逆噴射先生が分類するところの「お仕事モノ」と呼ばれるジャンル。作者自身の専門性を重ねやすく、Realを加算しやすいため推奨されているスタイル。作者の力量と背景を感じられるリアルな作品。

ストレートで響きの良い「代書屋」タイトルが最高に良い。
悪漢主人公に対するライバルのキャラが立ってて構図が見やすい。
作品に専門性があり、これまでのお仕事モノとはちょっと違う雰囲気がある。
「マルボロで肺と脳味噌に蹴りを入れる」の表現が良い。
プロのクールさとアウトロー感が出ている。パルプだ。

読者の質問
このゴンドウの理屈ってけっこう無理めな感じなのですか?

作者の回答
今回は都市計画法43条の許可という法律の話です。6:4か7:3で無理筋です。ただし、役所は過去の判断に縛られるところも多いので、その弱みをどこまで抉れるかの勝負かと。許可基準が34条1号だったかな、その許可要件のひとつということで>集落性

読者の質問
コメンタリーにあった「改装費100万円は安すぎないか?」問題は妥当なのでしょうか。(改装費を抑えるための居ぬきであれば妥当では、という意見も)

作者の回答
調べていただくざっと300万以上とかの数値が出るかと思います。ただ、都会か田舎か、坪数の違いでだいぶ話は変わりますね。

深読みしがちな読者の反応
「すると、マダム側もなんか事情があったり……」
「ということは100万はむしろ困ったおばさん感を出す演出……」
「その後ろ暗いマダム感をチラリと出せていれば……」

斜陽虐殺王破伝|Shun Shigekawa|note

血みどろ異能バトルアクション。開始からトップスピードのゴアが展開するが、意外なことにゴアを食べやすくする工夫がされていることが読書会で明らかになった。

Shun Shigekawaさん、出場の旅に濃いいのを出してくるので話題になりますね。自然と血みどろ系青年漫画の絵が浮かびました

漢字が多くて蛮器(バング)という読み方もかっこいい。
主線がぶっとくてゴリッゴリの劇画の画で再生されますね。これから何をやる作品なのか一発で分かる
僕は好きですけど、ゴア描写がきついのでこれが最終選考に残るのは予測できなかった。

ゴア描写についての感想
鉄骨を隆起させて串刺しってのがいいですよね。
血生臭さの描写への力の入れ具合がすごい

ゴア描写の工夫
あまり見かけないレベルの露骨な残酷描写ですが、その過程でそれぞれの異能(鉄骨を出すボスや酸を吐く手下)を説明しているので無駄ではない。
やばいゴアなんですがやられてる側の反応を詳しく書いてないので読みやすいと思います。現象だけに絞っていただけてありがたい。
やられてる側の性別とか容姿の描写が薄いのもポイントだとおもいます。痛い方に引っ張られると読む手が止まるので
そうか、悲鳴とかリアクションが軽いからゴアがパクパクいけるんだ!
そういうのが好きな方は各々ディテールを想像する「セルフサービス系ゴア」

ゴア以外の部分に目を向けると……
主人公の登場が終盤も終盤なのに、わずかな台詞と動作でキャラがバチバチに立っててすごいですね
教員、生徒会、教育委員会、父兄のような概念をどう調理していくのか気になりますね

ただ、逆にゴアと暴力学園モノ以外に強みがあるかというと……暴力が薄まり、凄惨さを無くし読みやすくなった代償に、描写ではなく単に説明的なレイヤーに留まってしまったのは賛否あるところかと

各位の頭に浮かんだジャンル
永井豪、石川賢、石渡洋司、魁!男塾、ベルセルク、キルラキル、バイオレンスジャック、覚悟のススメ、チャンピオン、ヤングチャンピオン

センパイ・スクランブル|プラナリア|note

でかいフリスビーに着目されがちだが、地に足の着いた透明感のある生活描写でスルスルと世界観を飲み込まされるファンシーな学園ストーリー。でも、フリスビーが気になるよ。

あっ フリスビーだ。
でかいフリスビーだ。
おっフリスビーじゃん。
良くも悪くも巨大フリスビーに全てを持っていかれた。

フリスビー以外に着目してみると
全体がとにかくおもしろい。
描写に透明感があり基礎文章力が強い。そういう世界観なのだとスルスル飲まされてしまう。
「凪」センパイが強風に飛ばされてる対比が効いている。
荒唐無稽な展開をしているのに、学園ものなので絵が思い浮かぶ。
異常事態に遭遇したのに母親にLINEを送るというリアリティ。
読者は明らかに犯人がわかっているので、ここからどう動かすかが気になって興味が湧く。

冷静に考えてもフリスビーが気になる。
背負ってなお地を擦るサイズの巨大フリスビー。
諫山先輩……電車のドアとかに引っかかってそう。(弓道部あるある)

作者のコメント
これ、なんで通ったんでしょうね?

遵法復讐者|唯野|note

九死に一生を得るものの生身を失い、ロボット三原則的な制限を受けながら復讐を果たそうとする物語。前評判も高かったがラストの一文が物議をかもすことに。

逆噴射総一朗先生のコメント
「ラストの一文で、おれは完全にガッカリした。

「逆噴射小説大賞2021:結果発表|ダイハードテイルズ」

作品構造は満点の話題作。
法を犯さずに殺しができるか?というテーマが強力。
幻肢のチェック欄に陰茎がちゃんとあるの好き
復讐する相手の名前が羅列されるとやっぱりワクワクしてしまう
シリアスな復讐譚に対する、どうみてもハンドルネームな復讐相手という、ギャグ要素の混ぜ具合がすごくて痺れますねえ。
イルカ検定気になる。

ロボット三原則への言及
知能犯的と言いますか、アイデアの殺人ゲームになりそうで先が楽しみではあります。
そもそもロボット三原則は原作からして如何に破るかに焦点を当てられているという事は(あまり)知られていない(参加者のへぇ~~多数)
ミステリの前提ギミックなんですよね三原則。現実に適用したらみんな穴突きまくって殺しまくりだしロボットは危険物取ってこないし大変なことになってしまう

ラストの一文について
ラストの一文、そこまで言うほどかと思いました。少なくとも初見時には気にならなかったです(だが読者をクールダウンさせる作用があるのは事実)
ラストが次の展開を思わせる物だったらさらに良かった…
本当に作者が殺し方を考えてたらこの一文で〆ないと思う。いくら待ってもこの続きはないって雰囲気がする。ただその一文があっても最終入るくらいには面白いんだよな……
復讐の熱量が微温なのであの終わり方でもいいのかなとは思った。


俳優アントニオ・マルティネスについての記憶|城戸 圭一郎|note

海外文学を翻訳したような世界観。本業副業裏稼業を並列させたスピード感のある展開で主人公を逃げ場のない地獄ノワールに追い込む。

主人公を逃げ場のない地獄に追い込んでいく。これぞノワールの醍醐味。
一読して「めちゃくちゃうまいな!」ってうなったやつ。
城戸先生の作風とパルプらしさが合致した感がある。
初見時にラストの一文で呼吸止められたのは素晴らしい読書体験でした。
つらいバッティング。どうするんだこれ…というハラハラ感がすごい。胃が痛くなる(褒め言葉です)

カリモーチョのみてえ!
小道具(カリモーチョ)の出し方がオシャレ……!
カリモーチョ飲んでみたくなる。
飲み残しの赤ワインで作るカリモーチョのリアリティがアクセントになっている。

作者コメント
個人的にカリモーチョのくだりに文字数を割けたのはうまくいったなと思ってます。いつもなら詰め込みすぎて削ってたところだったので。

主人公は貧ですが貧乏くささがないので雰囲気がそこなわれない
「本業のスケジュールは白いまま」という描写の圧縮が見事。
主人公が何を優先するのかを選ぶのがテーマになってくる。スタント俳優という本業を選んでくれたら俺好みなんだけど。
「本業だけがうまくいかないジャンル」って、良いですよね!!

もっと読みたいぜ的な意見
個人的には護衛の依頼は要らなかったかな。本業の相棒ってだけで守る理由はあるから。
専任スタントの解像度が高かったらお仕事モノとしての良さも高まったのかな。
さりげなくタイトルが不穏ですよね。記憶。過去になってる。
城戸さんなら絶対これも最後まで完成できてしまうというのがわかるので安心感がある。(隠しパラメータの完結保証感補正が発動か)


サラエボの日|bluebird_kndk|note

人気の高い「ループもの」と呼ばれるジャンルの中でも際立ってすぐれた作品。現実の歴史を重みを作品の深みに転化することができていることに加え「史実通りに暗殺を成功させる」というダークな目的もひとひねりある。

作者コメント
今年はループものが多かったと言われる中あまりにも恐縮なコメントでした。史実なり実在競技なり巨人の肩に依存しまくっている……。個人的なネタ元というか影響元としてはコニー・ウィリス「犬は勘定に含みません」があります。

教科書の出来事が主観で再生された。
本作は歴史的な描写をピンポイントに絞ることで簡潔さを生み出せている。歴史上の大事件を舞台にできるのは作者の力量があるからなのだろう。
この作者ならキチンと完結させるだろうという説得力がある。
ループモノは人気のジャンルレッドオーシャンだけど、歴史の一場面を切り取っているので独自性がある。
「較正者」って良いですね。用語だけれど普通に読めるし。

物語の行き先について
21回以上も「較正者」が送り込まれているあたり、史実よりもヤバイ事態になっている未来側の切羽詰まった感じが伝わってくる。
大公を自分で暗殺するくだり、どうせ大公は死ぬのだし誰が殺してもよいのでは?
おそらく、大公を誰が殺すかが重要で、自分で暗殺するとよりヒドイことになる。
18次の進出で暗殺に至るまでのストーリーと、今回それを止める21次のストーリー、二つとも楽しめる
最初に歴史が変わったとき、特に何もしてなさそうなところが緊迫感を生みんですよね。ほんの些細なことで変わっちゃう。

ループもの耐性について
ドラえもんで時空物の経験を積んで挑もう


アリと破滅とキリギリス|復路鵜|note

激戦区のタイムリープものを勝ち抜いた巧みな一作。未来を知ったお笑いコンビの相方に罰がくだり、「僕」は極限状態に追い込まれていく。

一文が短くてスパスパ状況が流れていくのがうつくしい。
緩急の付け方が強烈。
真っ二つのビジュアルイメージつよい。

カレンダーが厚過ぎる。
50年カレンダーお手洗いの臭いをバチバチに吸ってそう

本文だけ見るとこの後どうするんだろうという感じになりますが、そこでタイトルが効いてくる仕組みなのだな。
頼れる先輩の即死により後輩くんが強制自立させられるの良いですね。
いわゆる男男感情も読めそうなので続きの期待値が高い

芸人設定について
主人公が芸人なのが全体にどう効いてくるんだろ。

その答え?
カレンダーを燃やせという遺言が「押すなよ!絶対押すなよ!」的なフリになっているのが好き

ようこそ殺人鬼の街へ|まもる|note

殺人鬼だらけの街を舞台にした、審査員も読者も僕たちも「これ面白いんだけど」「大賞ではないけど」「これ面白いんだよな」「なんでおもしろいんだろな」「僕は好き」「私も」という空気に飲み込まれた愛される作品。

めちゃくちゃパルプ感がある。
こういうのが読みたくてこの界隈に首突っ込んだので最終候補はうれしい。
インディーズ大成功映画の冒頭のよう。

有無を言わせない治安の悪さ!実質優勝。
倫理観がバグりすぎていてサッと死ぬところを受け入れてしまう……!
もうやられてる殺人鬼も個性豊かで良いですね。
遵法復讐者やマルティネスもそうでしたが、説明無しで名前を書き連ねるのがすごく好みです。

主人公なんでこんな街に住んでるんだ?という、疑問をチャクラムでバッサリぶった斬るの最高です
あの輪っかの武器ってチャクラムっていうんですね…!

こういう「パルプ感」のある作品を面白く成立させるためのバランス感覚は本当にシビアなものだと思い知らされたので、リスペクトが高まりますね……
ただふざけてるんじゃなくて、新聞読んで妻に話しかけるとことかにリアリティがあってちゃんとしてる
投稿数が絞られたのと受賞作品の形が見えてきたから、荒唐無稽なパルプ作品が減っちゃたけど、こういうパルプ作品が増えたら良いな

2020年にこの方が投稿してた「商店街の悪魔」があからさまにこの「ようこそ殺人鬼の街へ」の原型なので。1年越しで練り上げてきた感がある。

屍人と長虫|バッティ|note

ファンタジー世界の歴史を積み重ねた近未来ディストピアという意欲的な作品。重厚ながらも学園ものの性質を備える濃厚な第一話。

ファンタジー→現代みたいに方向性を徐々に変えてきた感覚があり、歴史を積み重ねた感じがあって良かった。
800文字でこんなに世界を広げられるのか……という感じがすごくあります。
硬い守りをぶっ壊して強い力が出てくるのはかっこいい

逆噴射先生の総評に対して
なにかあるんだけど寸詰まりの印象なのは分かる
一つ一つの要素はとても面白そうで、爆発力を秘めているように思えます。

比較的「わかりにくい」物語?
要素を理解をすると爆発力があるんだけど、ちょっと大変だった。
あっ これって『リベリオン』か。(何回か読んで把握)
「救世主が消してしまった二つのもので叛逆する物語」なるほど。

読む側にも力が要求されるのは、エンターテイメントの宿命というべきか。だから、読書会はありがたいのですが

空に噛みつく青い鳥|摩部甲介|note

省かれた主語が速度を呼ぶ逃走劇。持続するサスペンスと鉄の香り。

分からないけど起こってることが汲み取れる塩梅なのが良い
主語を省きながら文章を作ることで、読者にほどよいストレスを与える……!
疾走感がありどんどん読めてしまう
800字でこの極限スピード感の文体を叩き込むのはとても真似できない凄み。
本当に必要最低限の情報だけが文字化されている感じがして痺れる。
起こってることがこの5倍ぐらいあるんですよね
「犬の群れが追う」完全に訳文なんですよね…日本語で書け!

作者コメント
読者を宙ぶらりんにしてやるのだ

個人的な感覚なんですが、カメラがどこにあるのかがちょっと難しくてイメージしづらいところはありました。
カットのカメラが明白じゃないところがあるのは確かに。
・・・映画技法?映画に親しんでいると理解が進めやすいのかな。
映画を読め。

虚面狩り|電楽サロン|note

能の虚面、、犯罪組織ブラックハンド。つながるはずのないものをつなげるのは、作者の好奇心と「好き」の連鎖だ。

作者コメント
「探偵依頼もの」(激戦区のため落選しやすいとされる類型)で切られるかとびびってました

頭の中に金田一耕助が浮かんだ。
良いですよね、一つの「分からない(ミステリー)」がガッチリと掴んでくる。
探偵ものであることを無視できる迫力がある。力がある。カラテがある。
全編通じて流れている緊張感がいいんですよね。
こう、「ウワ!死ぬ!」でちゃんと死ぬから良い。「全員死ねー!」への期待値が高まる

好きは強い
情報量多いですが、すべて電楽サロンさんの「好き」や摂取し続けているものなのでしっかり消化されていて安心感がありますね馴染みのない分野と作中オンリーな情報が詰まっているのに状況とか感情がしっかり伝わってくるのが強い。
「面を打つ」とか、サラっとですけど良いんですよね。
異様に生活感のある心霊現象。
能面とイタリアンマフィアとか何のつながりもない荒唐無稽な話なのに迫真性がすごすぎる

作者コメント
能面とブラックハンドは直近で読んだものたちだったので何かしら恵まれてました…

読者コメント
そうか、これがショットガン持って訥々と語る狂人か・・・

玄獣狼、吼える。|螺子巻ぐるり|note

剣に焦がれた狼が師匠の仇を追う。異種が交わり新しい道が生まれる姿を丁寧に描く姿は力強く美しい。ストロングイズビューティフル。

「獣とて、剣に焦がれることはある。」こういうタイプの1行目はあまりにも強い。
おん、という鳴き声が良いです。モンスターから話が通じるやつに移り変わった感ある
敵対するモノ同士が、刹那に同じ方向を向く。尊いね。

よくある話ではある。
仇討ち剣客、あまりにもストロングスタイルですよね。
むしろ設定のせいで落ちかねないぐらいのモノですけど、それを上手く回避して冒頭と設定の強さにつなげてる。
800字の大半は亡き師匠との出会いに費やされているが、これは仇を取らねばならぬと思ってしまう。世界観Mexicoに連行されたということだ

大変失礼ながら正直意外に感じました>奨励賞
もちろん面白いのですが、意外性や新規性はそこまで・・・しかし、冷静に読み返すと、文章のクオリティが強力ですね。
きれいな文章なんですよね。そこは明らかに抜きんでてる。
冒頭の部分、かなり見事に起承転結になってるんですよ。
乱読していると、要素と設定だけ抜き出してしまいがちなんですけど、ちゃんと読むとしっかりしてる作品は多い。反省しなきゃ。
僕も読める(自分の尺度で理解が可能かどうか)でしか判断しない時があり、それはよくないと自分で思う

この物語も作者の実力的に完結保証済みですね。
見事にゴールを設定しているので、期待が持てる。

こういう、綺麗に書きたいことがまとまった文章はそれだけで価値があると思う

薄火点|誰も悪くないこれは悲劇や|note

特殊状況SF閉所雪山おばけ算ミステリーという盛り込んだ内容ながら展開を加速させつつスローモーションで描きサウンド演出まで凝っているという「完璧」な作品。

完成度が高すぎる。優勝です。
歴代でも最高レベルでは?と思う
総一朗も「これマジで800字か?」ってやってるの人間なんだなとおもってほっとしたわ
絵は浮かぶし、無駄はないし、タイトルは強いし、燃える雪というのが美しいし。

「ひとり多い」はありがちな設定だと思うんですが、舞台がいいですよね。独特の言葉(遮温服、火雪崩)が違和感なく入ってるの実はすごいですよね。
これまで登場人物5人が歩いてきた雪原のように、物語がしんしんと進んでいくという確信をもてる
余韻がすごく良い。

展開は800字の間にとんでもない速度で動いてるのだけど……
実はスローモーション演出が入ってるんですよね
流れてる作品はいくらでも見たことあるけど、あえて詰まらせてスローモーションにしてる作品はなかなかない
スローモーション・・・ああそうか、詰め込んでるのに疾走感じゃないんだこの読み味

しんしんとした無音の世界なのがいいですね。
さいきん映画音響を題材としたドキュメンタリーを視聴して、音の良し悪しって大事なのだなと確認させられたんですけど、本作はまあ音がいいの。「ゴン、ゴン」の音も、ヘルメット越し音色や遅さが伝わって来る。
味や食感や音や五感に触れる文章が小説表現にとっては肝要なんでしょうね。

読書会の意義?
実は、これ今の今まで良さが分からなかったんですよ。でも読書会やりながら読んでたら映像が脳内に流れてくるんです。
「しっかり読む」実は難しいんですよね。なんとなく読んでしまうことの多さに自分でも恐ろしくなる。
読書会、本当に良いですよ。わからないをわかるキッカケになるし、「ここはわからなくてよい」もわかる。

未来へ

逆噴射小説大賞2021は結果発表をもって終了。
次回は逆噴射小説大賞2022が待ち構えている。
今年の優勝者は、1年間をかけて作品を練り上げたそうだ。
君の2022は始まっているか? 練り上げろ800文字。

創作ディスコード『BARメヒコ』のお知らせ

創作ディスコード『BARメヒコ』では、日々創作について雑談をしたり、次回の逆噴射に向けての英気を養ったりしています。読書会のログもあります。
少し雑談が盛り上がりすぎたので、今年の運営は縮小気味ですが次回の逆噴射小説大賞が開始される頃には元気になると思います。 もしよろしければご参加ください。

それではまた次回!!

読書会後の参加者の様子


いつもたくさんのチヤホヤをありがとうございます。頂いたサポートは取材に使用したり他の記事のサポートに使用させてもらっています。