ふゆの夕やけ

冬木ゆふ

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最近の記事

五十音五行連作「さ」~「そ」

概要 ・連作のタイトルの頭文字が五十音というだけ ・短歌の内容は五十音と無関係 ・Twitter(u_who_u)にて平日夜更新 さくさくとゆきのおと 弟が林檎と雪を静物画として見つめる際の静謐 まっしろな絵画の音に聞き耳を立てる子供が戯れている ゆきの日にアップルパイを焼く ゆきがみずに混ざって音が変わった 学ランを濡らして帰る弟に傘を届けて一緒に帰る 立春のふろをさくらの色で塗り冬の終わりの準備をしよう しゅがーばれっとでぃすたんす 親元を離れて知った遠ざ

    • さよならあかね(sky_highest)2020 かってに50首(冬木ゆふ選)

      (タイトルは敬称を略しています。) (タイトルに「かってに」と付けていますが、本人の許可は得ております) さよならあかねさんは主にツイッターで短歌をやっている方であり、note上でも、「あかねの(ための)一首評」であったり、「短歌レーティングバトル」であったり、短歌に関して色々面白いことをなさっている方である。 私はさよならあかねさんが色々考えていたり、色々試んでいたりする様子を見るのが好きだが、一方でさよならあかねさん自身の短歌にはあんまり向き合ってこなかったので、さよ

      • 五十音五行連作「か」~「こ」

        概要 ・連作のタイトルの頭文字が五十音というだけ ・短歌の内容は五十音と無関係 ・Twitter(u_who_u)にて平日夜更新 かまくらでねむるゆめでした 雪かきの苦労を知らず純白の風景だけを消費した罰 ほのあまいココアで心を騙しましょ 騙し騙しで生きていきましょ へやのなかマーガレットがあたたまる春はまだまだ来ないようです 眠ろうかここは天国ではないが毛布があればもふもふできる 完璧な雪密室のトリックがあいにくの雨で台無しになる きみ(きみのかわり) 君が

        • 五十音五行連作「あ」~「お」

          概要 ・連作のタイトルの頭文字が五十音というだけ ・短歌の内容は五十音と無関係 ・Twitter(u_who_u)にて平日夜更新 あいのはなしはもうやめた 感情を偽装していて恋バナを雑につくってごまかす手癖 人類のひとりひとりのことすべて愛せないってうすうす気づく 記念写真ふるいカメラで自撮りしよフィルムが尽きましたごめんね いいねって言うたび価値が摩耗するなら言うなっていうこと?(知らない) 冬の日に思いを馳せる空想の春が春より好きな春です。 いきものといきも

        五十音五行連作「さ」~「そ」

          (私の)短歌画像のつくりかた

          ※短歌画像のつくりかたをレクチャーする記事ではありません。 ※私がこんな(ひどい)つくりかたをしているので、もっと楽で素敵なやり方を教えてください!という記事です。 最近つくったI (dis)like you.の画像を例に、私が短歌画像をつくるときのやり方を説明していきます。 これが完成品です。 手順1 wordに短歌を書く wordに短歌を書きます。 英語が混じっているので今回は横書きですが、縦書きにすれば縦書きになります。 手順2 背景色と文字色を決める 背景色

          (私の)短歌画像のつくりかた

          2020年うたの日でハートを贈った短歌の(一部)まとめ

          今年の8月から「うたの日」にたまに出詠というやつをしています。 うたの日は、web上で毎日ひらかれる歌会のページです。投稿タイムに短歌を投稿して、投票タイムに短歌に投票をするという仕組み。詳しくはうたの日をチェックしてください。 投票タイムには、一回につき一つ贈ることができるハート(♡)と何度でも贈ることができる音符(♪)のいずれかで投票することができます。 ただ、自分がハートを贈った短歌の一覧などが残るわけではないようなので、今回はその一部を自分でまとめてみたいと思います

          2020年うたの日でハートを贈った短歌の(一部)まとめ

          短歌連作 I (dis)like you.

          (Twitterにdislikeが実装された状況を想定した短歌です。) I (dis)like you. dislikeするたび君の表情が脳裏に過ぎる(恋をしている) 針金の1センチにも満たぬ距離だけが奇しくも永遠だった 植物は植物として葉をつけるわたしはひとり夜更かしをする Fleetに既読をつけた罰によりバベルの塔は崩れたらしい わたしから君へと至る感情は何処かで混線してdislike ペンギンは空飛ぶ鳥に憧れずカモメは泳ぐ鳥を知らない 無理解と不可解の間

          短歌連作 I (dis)like you.

          言葉を持たない評や感想について(プレイリストとか本棚とか)

          選評という言葉があるけれど、選ぶということ自体がある種の評なんじゃないかということを少し思う。あるいは、感想なのではないかと思う。 ひょう【評】 〔物事の善悪・可否などを〕いろいろ論じたもの。批評。 (新明解国語辞典第七版) 批評。 (三省堂国語辞典第七版) ひひょう【批評】 物事の良い点・悪い点などを取り上げて、そのものの価値を論じること。また、そのもの。 (新明解国語辞典第七版) よい点や悪い点を取り上げて評価をのべること。 (三省堂国語辞典第七版) かんそう【感想

          言葉を持たない評や感想について(プレイリストとか本棚とか)

          「どこにもない夏を探している」感想

          綿津見(@unclear_09)さんの歌集の感想です。 まず、タイトルがいい。すごく。 人は知らないはずの景色を懐かしく感じたり、ありもしない風景を追い求めたりする。とりわけ夏という季節は、そういった存在しないノスタルジーとセットで語られることが多い印象がある。 だから、「どこにもない夏を探している」というタイトルは「まさに」という感じのタイトルだと思う。 ただし、上でノスタルジーという言葉を使ったが、この歌集はそういう湿っぽい雰囲気ではない。もっと透明な感じ。夏の幻

          「どこにもない夏を探している」感想