五十音五行連作「か」~「こ」
概要
・連作のタイトルの頭文字が五十音というだけ
・短歌の内容は五十音と無関係
・Twitter(u_who_u)にて平日夜更新
かまくらでねむるゆめでした
雪かきの苦労を知らず純白の風景だけを消費した罰
ほのあまいココアで心を騙しましょ 騙し騙しで生きていきましょ
へやのなかマーガレットがあたたまる春はまだまだ来ないようです
眠ろうかここは天国ではないが毛布があればもふもふできる
完璧な雪密室のトリックがあいにくの雨で台無しになる
きみ(きみのかわり)
君がいる(君の代わりに君がいる)家に帰ろう明るいうちに
ひまわりの模型は模型に過ぎなくて兄の代わりに私はなれない
家族です(嘘偽りの家族です)家事は日替わり代替可能
ひまわりに雪が降っててマフラーをほどいて卵を茹でたくなった
妙に甘いカレーが君のつくるカレーなんだと知った第二火曜日
くらげのおうこく
古ぼけたアパートを出ると深海が広がっているという妄想
パシフィックシーネットルを追いかけてコンビニに着く コーヒーを追う
まっくらな部屋できらきらカラージェリーフィッシュがおどる海へようこそ
眠いならユビアシクラゲのクッションで休んでいいよ弾力あるよ
大雨の底の静かな町ふたりぼーっと過ごすなんでもない日
けしごむばとるしっぷ
ぼくたちは悪しきものたち討ち果たす<消しゴム兵>(イレイザー)なり <悪しきものたち>(ラクガキ)を消す
<悪しきものたち>(ラクガキ)の王がノートに鎮座して国語の授業の邪魔をしており
<机>(エリア・ワン)まで敵軍が侵攻中 <筆箱>(バトルシップ)がぶつかり火花
<ボールペン>(アトミック・ボム)の脅威が差し迫り<消しゴム兵>(イレイザー)Bの右手がもげる
砂塵より出でて砂塵に散るものが<砂消し>(メタ・イレイザー)として参戦
こーるどすりーぷ・べいべ
恋をするふりをしている目の奥のコールドスリープされた感情
マグロでも冷凍すれば鈍器だし食べれば証拠は残りませんよ
ぞっとするほどに冷たい肌色の頬がほころぶ瞬間のこと
古典的氷の剣のトリックは氷ですから解いてみせます
無音にもやさしい無音がありまして凍りつくほどやさしい無音
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