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「静かだ」坊主は呟く。 外には風の音。 雨はやみ雲が星の微かな光をもを遮る。 落ち着かせて…
くるくると走り辛そうでも、年寄りの前に走り出た「それ」を背負った男。 年よりはその男をあ…
姿が見えなくなってしまい、坊主は自分の上がった顎に気づき、ゆっくりと姿勢を戻し呼吸をする…
「えっ」と康介が声をあげ、坊主の方へと視線を投げる。 その視線を受けて坊主が頷き、ゆるり…
バシャビシャと水溜まりを転げ、 「ぬふーぬふー」と、息をはく片腕。 「クフー」と、力を誇示…
社に落ちている腕の指。 戸口に見えた指。 そう。 この社のすみに落ちている腕の指と同じだ。…
払った刀が空を斬る音。刀の消えた先には、驚きのあまり瞬きせずに立ち尽くす年寄りと、驚きで自ら跳んで水溜まりに腰を抜かして座り込む、百姓の跡継ぎらしい若者が、驚き固まり震えていた。 「おっ」その言葉が出たあと何も言葉がでない坊主。 「なっ・・なっ」と言葉をつまらせ、 「なっ中へ、中にはいれ、さぁ、入れ」 坊主は刀を怪しむ年寄りに近づき、肩をグッと掴み、力任せに引き込んだ。 「そこの若いの」 坊主が外を見ながら叫ぶ。 「そこの水浴びしている若いの、すぐに立ち上がり中へ、さぁ、中
康介は知っている。時代は次へと向かい、世は修めるものが変わったと。 認めたくはない。今は…
娘の話に坊主と康介。 お互い目を会わせ「夢でも見たか」と、口には出さずに言葉をかわす。 …
「送り狼」 ならば行き倒れを待っているのだろうか。 それならば眠りに落ちなければ教われるこ…
そんな薄気味の悪い人気のない場所にいる者は生臭い坊主と、まだまだどこかに火の手は上がるで…