河童47

姿が見えなくなってしまい、坊主は自分の上がった顎に気づき、ゆっくりと姿勢を戻し呼吸をする。
不自然な呼吸が落ち着くと息を強く吸い込み「だめだっ。解りあえぬ」
決意するように言葉を吐き立ち上がる。が、力が抜けたように再びその場に座り込んだ。

19

暗闇のなか石つぶてらしきが飛んできてコツコツと当たる。
先頭を歩く男が後ろの年寄りに、
「先程からなにか手足に当たるが何であろうか」
「虫だろう。儂にもこつこつと当たっておるぞ」
年寄りがこたえる。
「いてっ」
最後尾を歩く男が痛みを大きな声で知らせる。
「いてっ、いてっ、痛いぞ。なにか飛んできている。」
痛みをうったえ暗い辺りを見回している。
「虫じゃないぞ。石つぶて、石つぶてだ。」
最後尾の男が顔を手で覆い叫びだす。
「うわっ」年寄りが目元と頭を隠すようにしゃがみこむ。
「目元と頭に当たった。石、石じゃ。大なのが飛んできてるぞ。きをつけっ、うわっ。」
叫びもそこそこに、いくつも頭や体に当たりだす。
持っていた笠を頭にかぶり、前に立っているはずの男を見ると、辛そうにうずくまっている。
「おい、しっかりしろ。大丈夫か。」
「ああっ、なかなか痛いが」
頭を押さえ立ち上がり、
「村まで走ろう。」
両手で頭をかかえて叫ぶ。
「さあ、走ろう。」
男は村へと身体を向け、年よりは半身で後ろの者へと声をかける。
振り向いた年寄りには、後ろの男の後ろの影に気づき、
「ああっ、後ろ。」
驚きのしぐさをびくりとみせる。
男は年よりのびくりとした動きにびくりとし、
「どうした」
目を見開き聞いてくる。
年よりはのけ反りながらそれを目でおう。それは動きをとめずに後ろの男に近づきとびあがる。
「あっっ」
年寄りが声を出したときには、後ろの男の腰へと、それは飛び付き、あっという間に肩の辺りまでよじ登る。
男は驚きの声と同時に暴れ首もとに、それ、が吐く息を感じ、恐怖とともに踊り出す。
年よりは背中の、それ、から目を話せない。
それ、は、年寄りを無視し男の首もとへと噛みついた。
「うわっ」
走り出していた男が、
「どうした」と立ち止まり叫ぶ。
「走ろっ」年寄りが叫ぶ。
「ウワッウワッ」
噛みつかれた男が走りながら、背中のものを剥がそうとくるくる回りながら走る。
「走ろっ走ろっ。そのまま村まで走ろっ。走って村だ」
年よりは叫ぶ。何をどうして良いのかわからず叫ぶ。足元定まること無くはしる。
転けては立ち上がり、暗いなかをはしる。
一人は素早く走り続け、一人はよろけ倒れながらも背中のものを剥ぎ取ろうとしながら右に左によろけなからも走り続ける。


自分とか周りの友人知人とか、楽しめるように使います。何ができるかなぁー!(^^)!