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【SLAM DUNK GI】174話「藤真健司監督のノルマ」


ウインターカップ神奈川予選開始、一カ月前、翔陽の1年生、大維の1軍昇格が決まる。


練習前、選手兼監督の藤真健司が選手に話す。


「今日からの1軍練習に3軍だったダイを参加させる。これは特別扱いでも何でもない。インターハイスタメン3年全員の総意だ。コートに入ったら1軍も3軍も、学年も関係ない。ウインターカップに向けて翔陽の勝利のために尽くせる人事は尽くす。さあ 気合い入れていけよ。」藤真

数日後の練習後、


「ダイ、1軍はどうだ?」藤真

「レベル高いのでやりやすいです。」大維

「回りを活かし、自分も活きるガードとしては、回りのレベルはもちろんのこと、連携が重要になってくる。」藤真

「俺たちはその連携や状況判断を阿吽の呼吸で出来るように詰めている。なぜなら藤真を監督としてではなく、選手としてコートにいてもらうためだ。その必要性を感じているのだ。」花形



阿吽の呼吸、、、これは俺たちのキーワードだ。ダイ、お前に出来るか?」藤真

「・・・やってみます。いや! やってやる!」大維


藤真は少し笑った。

教科書通りの頼もしい言葉だったから?


そうではない、藤真は大維に監督として、具体的な話をする。



「頼もしい言葉だ。悪くない。しかし具体性に欠けている。監督として具体的な数字を与える。」藤真

「数字ですか?」大維

「5点だ。」


「初見での対応が難しいとされるダックインで2点。そのダックインを最大限に活かすために必要なことはなんだ?」藤真

「キレ、、柔軟性、、、。」大維

「それも必要だ。しかしディフェンスにとって嫌なことはその選手に多くの選択肢があることだ。流川楓はパスを散らすことで沢北栄治の判断を一瞬遅らせることに成功し、自身のストロングポイントであるドライブを最大限に活かし高校最強プレイヤーである沢北栄治を抜いたという。」藤真

・・・・」大維


ガードである大維にパスがあることは、ある程度、予測できる。すなわち、、、。」花形


「3ポイント!?」大維


「そうだ。最初に3ポイントがあることを見せろ。そうすることでお前のダックインは最大限に活きるはずだ。」藤真


「3ポイントとダックインで5点。」花形


「ダイ、この5点はノルマだ。目標ではない。その意味がわかるか?」藤真

絶対に到達しないといけない数字。」大維


さらに条件を提示する。


「条件をつける。3ポイントは最初の一投で決めろ。何度か打って入ったのでは、効果は薄いし流れを引き寄せられない。相手のメンタルも崩せない。」藤真

「すなわち、自身にも強靭なメンタルが必要だ。どんな場面だろうが絶対に決めるというメンタルがな。」花形

「どんな場面でも?」大維

「その場面は確実の勝敗を左右する重要な場面になる。逆に言うとそういう場面でないと起用できないとも言える。そうだろ?藤真」花形

「監督としての構想、決断を伝える。本来、スタメンを争って選手同士の競争はチームレベルアップに不可欠だ。しかしダイ、お前には翔陽の秘密兵器として、相手に見せたくない。必ず必要になる場面が訪れる。ベンチで控えていてくれ。」藤真

「・・・・」大維

「・・・・不服か?」花形

「選手としてスタメンはないと宣告されること自体、気持ちいいものではない。しかしチームトップの実力がありながら、ベンチで監督を担っている藤真さんを見ています。その藤真さんに言われるのだったら受け入れます。」大維


翔陽の1年生は少し大人なのかもしれない。
大維は続けた。


「それに俺が3年生の立場だったら、仮に不満があるなら決めてから言えって思います。翔陽のプラスになるんだったらやらせてください。」大維


「よく言った。それでこそ翔陽の1員だ。」花形


「よし。確実に仕留めろよ。そうすることでその後のプレーの幅が広がる。おのずと数字も伸びるはずだ。俺は3ポイントに磨きをかける。その意味わかるよな?」藤真

「はい! おれも打ち込みます!」大維

「おっと、今までの話はまずはベンチメンバーに入ること前提の話だ。明日からさらに気合いを入れろよ。」藤真


藤真健司監督は、明確な数字、条件、ノルマを提示したのだった。



「そう言えば、ダックインはどうやって磨きをかけたんだ?」花形

年の離れた兄貴がいて、必然的に身長差がありました。その兄貴を抜くために、遊びから始まって、練習するうちに、ダックインが成功してそこから磨きをかけました。」大維

「なるほどな。」花形

年の離れた兄か。それなら俺たちと話すことなんてわけないな。」藤真

「そんなことはないですよ。」大維


インターハイで苦杯をなめた翔陽は、ウインターカップ予選に向けて着実に準備を進めていった。

そして大維はベンチメンバー入りを果たすのであった。




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