【SLAM DUNK GI】173話「3年生の総意」
格技棟で会った3軍の1年生、大維の存在を3年スタメンに話をした藤真健司。
「確かに新戦力があるにこしたことはない。でも時間もないんだ。3軍なのだろ?」永野
「せめて2軍に上がってからじゃないと話にならないのじゃないか?」高野
「2軍までなら、何となく、俺たちの視界にも入っている。3軍と言うのは、逆に俺は少し興味があるかな?」長谷川
「1年だが、桜木を見ただろ? 成長する可能性だってある。」花形
「コートに出ればすぐに退場していた桜木の決勝リーグまでの成長は見張るものがあった。」長谷川
「・・・確かにな。」高野
「成長の芽を摘み取るようなことがあったならば、それは俺たちの罪だ」藤真
「藤真、時間がないのも事実だ。信じてないということではないが、たまたまその日、自主練をしていただけって可能性だってある。少し様子を見ないか?」高野
「うむ。根性論のことはあまり言いたくないが、それも1つのトライアウトの項目として見てもいいかもしれないな。」花形
「そうだな。そうしよう。」藤真
誰よりも努力をしてきたと評価を受けた長谷川は、
「その方針に異論はない。がさらに前向きに考えて、時間がないのは事実だ。きっとたまたまじゃない。来たるタイミングは必ずくる。時間短縮も踏まえて、俺に相手させてくれないか?」長谷川
「ふっ 一志。3軍スタートから誰よりも努力を重ねてきたお前のことだ。感情移入でもしているのか?」藤真
「そういうわけじゃ、、、。」長谷川
「安心しろ。俺もそのつもりだった。1年後2年後を見ている余裕は俺たちにはない。もう2カ月切っているんだ。即戦力となりうるのか? 一志に相手をしてもらおう。」藤真
「決まりだな。」花形
「じゃ、おれと高野がこっそり、格技棟をチェックしておこう。1日交代だ。」永野
「約束通り、ここに来たぞ。ダイ。」藤真
「ここに来たのは、俺たちの3年の総意だ。安心しろ。」花形
「1次選考は通過だ。」永野
「1次選考ですか? いつの間に?」大維
「本当に毎日、自主練をかかしていなのか? 俺と長野がチェックしていた。」高野
「よし。体育館に移動だ。」藤真
一行は体育館に移動する。
「早速だが、2次選考はスタメンの一志と1ON1で対戦してもらう。スキルを見せてもらおうか。」藤真
「遠慮はいらないぜ。」長谷川
「遠慮なんてするつもりないですよ。ようやく訪れたチャンスを掴む!」大維
30センチ前後の身長差にディフェンスでは不利が生じた。
「この身長差では無理もない光景だ。だが見たいのはここじゃない。だろ?藤真。」花形
「その通りだ。ここからが見ものだ。」藤真
攻守が入れ替わりダイのオフェンスとなる。
「落ち着け、今まで通りにやればいい。」大維
「今まで通り?」長谷川
大維のオフェンス、ドリブルさばき、細かいハンドリングを披露。
「テクニックは申し分ないか?」永野
「逆にあの身体じゃそれがないと厳しい。」高野
「抜いたか!?」花形
「いや、まだだ!」藤真
抜いたかに思えたが、長谷川が対応。
「そう簡単にはいかせないぜ。俺たちは翔陽なんだ。」長谷川
「これは、伏線に過ぎない。」大維
その時、バックステップを入れた。
「バックステップ!?」長谷川
「前後に振る」大維
シュートモーションを見せたと思ったその瞬間だった。
「シュートか!? いや??」長谷川
「バスケに身長が高ければ有利なんてことはない!」大維
バックステップからシュートモーションと見せかけ、左右に振りながら、頭を下げ、左へ抜ける。
「頭を下げた! 身長差に加え、この低さは!?」長谷川
「ダックイン!」花形
「速い!」永野
「・・・・」藤真
「決めやがった、、。」高野
大維は長谷川を抜き、ゴール。
「身長が低いことが武器になることだってあるんですよ。」大維
「よし。集合だ。」藤真
「一志どうだった?」藤真
「まず、リズムが独特だ。細かい、繊細なリズムでディフェンス能力が高い選手ほど違和感を感じるだろう。」長谷川
「3軍で目立たないのは、身長差があまりないことと、相手の能力が高いほうが効果を発揮しやすいためか?」花形
「加えて独力が持ち味の選手ではない。あくまでまわりをいかしいかされるタイプ。」藤真
「・・・」
「これだけは言える。初見での対応が難しい。」長谷川
沈黙の中、藤真が口を開く。
「よし。異論はないな?」藤真
「・・・・(無言でうなずく3年)」
「この決定は3年の総意だ。ダイ、明日から1軍の体育館で練習だ。遅れるなよ。」藤真
「はい! ありがとうございます!」
訪れたチャンスを手にした大維は3年の総意によって、1軍へ昇格を果たしたのである。
続
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?