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SASUKE2023 理不尽、狂気、そして儚い祭り。五輪決定で浮かぶ「最後の大物」

SASUKEの時が来た。97年から始まり、今年で41回目。既報の通り2026年のロサンゼルスオリンピック・近代五種競技採用も決まった中での大会。

2ndステージ進出の中学生2人が山田勝己の弟子と長野誠の息子とか、ジャンプの続編を地で行く話。一流芸能人が一般人の家でトレーニングする、これの為に職を変える人がいる、土地を買う人がいる。見る人の中には「ほかにやる事あるだろ」と理解できない人もいるであろう情熱と狂気の祭りが今年も行われた。

そもそもSASUKEを番組企画でなく、一つの競技として捉えたら、こんな理不尽な競技はないのでないだろうか。雨が降っても、雪が降っても、熱さで誰か倒れてもやる。本番で落ちたエリアのセットを家に作って対策したところで、次の回で撤去されてる事もある。それで代わりにできた新エリアで落ちる。飛び移る場所が動く。持つところが動く。

ぶつちゃけ「クソゲー」と呼んで差し支えないと思う

「百獣の王」武井壮。今年「ブレイキングダウンには出ない」と宣言し、波紋を呼んだ氏。実はSASUKEに関しても出ないと発言している。

まあ正論というか、間違った事はひとつも言ってない。熱心に応援してる人や目指す人は不快に思うかもしれないが、五輪メダリストの方が得られる地位と収入が多いのは確かだろう。筋肉馬鹿のキャラで売り出した彼氏だが、非常にクレバー。極限まで投じた努力を如何に回収するかの最短確実な道を常に志向して行動する合理的、計画的な一面が伺える。

実際、出るだけで大変なのが今のSASUKEで、参加者100人といっても実質一般枠は半分にも満たず。10年応募し続けやっと1回出れたという人もいる。海外版のSASUKE完全制覇者は「緑山を完全制覇すること」を最大目標としており、その枠の競争率は海を超えるという。もはや芸事と同じで「出来るなら目指さない方が良いのでは」と思う程の獣道。

ただその道を目指す者たちが持つ一体感。人間ではなく共通の壁を相手に戦う事。公人私人、国籍も超えた団結と感動。悪天候も怪我も運命として抗っていく。ジョジョの「眠れる奴隷」のように。

漆原裕治の「やり切って辞めた人はほとんどいない」という言葉が重い。

長い歴史を振り返ると、怪我や諸事情で辞めていった人も多数。空いた枠に新しい人が入り、他方、数年出なくなって「あの人は今」。映画「首」でたけし扮する秀吉が「忍びなんか使い捨てですから」と言ってたが、ある種、無常さと儚さも陰にある。

これからは4年先のロス五輪も見据えた戦い。年末年始の編成を見ても地上波の力が弱くなってると感じる。昨今の情勢を見ると4年後にテレビがどうなってるかもわからない。ただ、これだけ多くの人間の人生を(良くも悪くも)狂わした巨大コンテンツをスポンサー、視聴率都合で「はい、終わり」は許されない。責任があると思う

そうだ、オリンピックがつくとなると話は変わる。
武井壮は今からでもSASUKEやれるのでないか。
58歳の山田勝己が健在なのだ。50歳の武井もやれない事はない。そして近代五種はフェンシングも含まれている。フェンシング協会前会長のツテで名も無きヤングライオンたちを推薦するのも良いだろう。

それで緑山の頂上か、ロサンゼルスの表彰台で歓喜のサークル・オブ・ライフを響かせる。まさに受け継がれし意思、果てしなく続く命。

まずは4年先。ロサンゼルス五輪まで続けよう。そしてその先も。

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