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本屋、はじめまして #3 ヨットー後編

「本屋、はじめまして」についてオープンしたての独立書店の店主が、本屋を開くまでのリアルなお話を綴る本屋開店エッセイです。本屋をやってみたいなーとぼんやり思っている人の背中を一押しできるような、そして開店準備にとりかかってもらえるような記事をお届けしていきます。後編は本と仕事と店主の方についての一問一答。そして、お店に並ぶ商品で(本に限らず)、おすすめのものを紹介していただきます。 前編はこちらから。 



本と仕事と店主についての
8問8答



1 オープンから 6ヶ月、率直な感想は?

本屋という場所をきっかけに、いろいろな人やものごとに日々出会っています。ヨットのような小さな書店が街に新しくできて喜ぶ声を、想像以上に多くいただいたこと、著者や出版社の方が訪ねて来てくださったり、お客さんが自主制作したZINEを持ち込まれたり、嬉しい驚きもたくさんありました。店としてまだまだ作り途中ですし、やりたいことがたくさんある今、本屋という場所だから生まれる何かをこれからも大切にしていきたいです。


2 仕事の必需品は?

D&DEPARTMENTのプラマグ。軽くて丈夫なのと、コーヒー2杯分くらいが入る大容量なところも気に入っています。


3 書店の店主としてのルーティーンは?

開店前の掃除中は好きな音楽を大きめの音でかけて無心で掃除しています。本は埃が溜まりやすいので、営業中も何回もハタキで掃除します。


4 今読んでいる本は?

『私運転日記』著:大崎清夏(twililight)
『みんなもっと日記を書いて売ったらいいのに』著:小沼理(つくづくポケットライブラリ)

最近は日記本をいろいろと読んでいます。ヨットに日記本を集めた棚も作りました。日記にまつわるイベントも考え中です。


5 読書をするシチュエーションは?

東京住みの頃は、移動中の電車で読むことが多かったです。最近は電車にほとんど乗りませんが、隙間の時間で読めるようにバッグにいれて持ち歩いています。人が少ない朝のファミレスも好きです。


6 これまでの人生で記憶に残る1冊は?

『LOCKET』
編集者の内田洋介さんによる、主観的な真実を追いかける独立系旅雑誌『LOCKET』。初めて読んだ時は、同い年の内田さんの文章や写真に、当時はとても刺激を受け影響されまくりでした。2019年刊行の『MORNING ISSUE 朝日の光源』から読み続けています。毎号ユニークな仕掛けや変化があるブックデザインも魅力的で、インディペンデントな出版レーベルに興味を持つきっかけにもなったバイブル的マガジンです。


7 菅沼さんが考える「本の魅力」とは?

読んだ後もずっと側に置いておけること


8 本屋さんとしてこれからやってみたいことは?

ZINEをつくり発信したいです!これまでにギャラリーの展示に連動して制作したこともありましたが、テーマに縛られず自由なテーマで作っていきたいです。お客さんとも一緒に何かつくれたらおもしろいなーと思います。




店主のおすすめ(本に限らず)



1 私の生活改善運動

安達 茉莉子 著(三輪舎)

「これでいいや」で選ばないこと、「実は好きじゃない」を放置しないこと。日用品や食べ物、部屋の間取りや人間関係、生活の中で直面する様々な選択をないがしろにせず、自分が心地よく生活できるほうを選択していく。自分なりの解釈で「生活改善運動」を始めた著者・安達茉莉子さんによるエッセイ。人の日常や営みが軽視される日々にあらがうように、生活改善運動に取り組む安達さんの意地とたくましさを敬愛しながら、自分にも小さく灯った「生活改善運動」の火を消さずに生活していかなくてはと思いました。



2 クソみたいな世界で抗うためのパンク的読書

小野寺 伝助 著(地下BOOKS)

会社員の傍ら、パンク・ハードコアバンドで音楽活動をしつつ、出版レーベル「地下BOOKS」を主宰する著者・小野寺伝助さんによるパンク的価値観に基づいて紹介されるブックガイド。「ユニティ」「D.I.Y」「反差別」「NO WAR」「NO FUTURE」「REVOLUTION」など、考え方やライフスタイルとしてのパンクに通ずる良書が登場します。本書は2018年に刊行された『クソみたいな世界を生き抜くためのパンク的読書』の続編で、前号も併せてこのシリーズを通じて出会った本から、現代を軽やかに生きる術と精神性を学び、勇気を貰いました。ヨットでも一部の本を紹介しているので、ぜひ棚から探してみてください。


3 d design travel SHIZUOKA

D&DEPARTMENT PROJECT

編集部が現地に2ヶ月間、暮らすようにを旅して実際の体験から選んだ場所やものごと、そして人々。各都道府県に根付いた「長く続くもの」や「その土地の個性」をデザイン的観点から紹介する観光ガイドブック「d design travel 」。僕は旅行前に読み込んで、旅先でもリュックに入れておき、帰ってからも振り返りながらまた読みます。たとえ旅に行く予定がなくても、読むことでその土地の暮らしに触れられる文化誌のようなガイドブックです。ヨットを始める前に所属していた版元のD&DEPARTMENTの考え方は、自分にとって店づくりの指針のような存在です。「d design travel」は、これからの観光や暮らしのヒントが詰まった本でもあると思っています。


ヨット YACHT BOOKS
住所:〒411-0854 静岡県三島市北田町4−21 1F(私鉄伊豆箱根鉄道三島田町駅から徒歩1分、JR三島駅から徒歩15分)
営業時間:13:00-20:00(日曜のみ10:00-)
定休日:水曜・木曜
SNS:https://www.instagram.com/yacht_books/     
          https://twitter.com/yachtbooks     


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後記、はじめまして

撮影中、赤ちゃんを乗せたベビーカーをおしてご夫婦が来店し、ヨットを見た後に2階のSLEEPYYへ。「ベビーカーを置いて行っていいですか?」「もちろんです!」とやりとりをして、菅沼さんがすぐに手伝っていたのが印象的でした。居心地が良い理由の一端を垣間見た気がしました。
ドリンクは長野のジン専門店・KINOがつくるボタニカルシロップの炭酸割りを。沁みる美味しさ!


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