第18回 わたしは見ていた
のろくさとプールからあがり、ここも剃っておかないとだめだったか、と思いながら水の滴る自分の腹から視線を上げると、輪ゴムちゃんが先生に駆け寄ってなにかをお願いしていた。輪ゴムちゃんは背の低いスレンダーな女の子で、医学部の推薦をもらうために評定平均5.0をキープしており、ニュージーランドから来た金髪で長身のALT、ステファニーと仲が良かった。近所の国立大学の聴講生でもあったので、高校と大学両方の教科書と参考書を持ち運ばねばならず、毎朝大きな音を立ててスーツケースで登校していた。先