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構造デザインの講義【トピック1:構造とデザイン】第5講:建築と構造のデザインの関係

東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です



改めて、問います。「構造デザインとは?!」

「構造デザイン」という言葉は、「構造をデザイン」する、と言い換えることもできます。
では、構造をデザインするということは、どのような意味を持ち、具体的に何を考え、設計・デザインしていくものなのでしょうか。

デザイナーに求められるもの、
経験、直感、センス、具現化、・・・。


「構造は、直感で理解する」、とよく言われます。
それは、センスであったり、力学原理に裏付けられたり、工学的経験などによって思いついたり。湧き出てくることがあります。

東京国際フォーラムのガラス棟は、透明で無柱の大空間を実現するため、新旧の構造技術がふんだんに盛り込まれた大空間構造である
西武ドームや出雲ドームなど、明るく開放的な室内空間を演出するため、骨組が目立たない工夫と、自然外力に負けない素材が選択されている

今日では、建築物の計画から設計、施工などの一連の流れは、高度化・分業化・専門化されています。
1つの建造物が完成するまでに、たくさんのデザイナー、エンジニア、マニュファクチャーなどが参画します。


建築の構造を考える場合、意匠や空間の表現の意図を理解し、協調し、デザインと安全性を調和させることが重要です。
そのために、建物の構造を大まかにとらえ、使用する材料や構造方法をイメージし、具体的に骨組を割り当てられるように、ストーリーを構想することが第一歩になります。

日本の建築のデザインと構造を高め、世界にその存在を認められた丹下健三(建築家)と坪井善勝(構造家)。
当時の二人の議論は、どちらが建築家で、どちらが構造家かわからなかった、というエピソードがあります。
すなわち、丹下健三は力の流れに基づき、構造的な提案を話していたと言われています。対して、坪井善勝は形や空間のイメージを理解することにつとめたとも言われています。

東京カテドラルは、8枚の巨大なHPシェルによる壁体は、内部空間に独創的な光と影を落とし、神聖な空間を演出する。また、上空からみると、天窓はさりげなく十字架の形をして祈りの空間を形成している。
国立代々木体育館は、吊り橋の原理を取り入れながら、世紀の大空間構造として、建築の存在を際立たせた傑作である。

デザインやフォルムの着想は、身の回りのモノから発見できることがあります。
「用・強・美」をバランスよく兼ね備えたものが良い建物である、とするならば、自然界に存在する構造的合理性をもった自然を参考にすることは、一つの方法です。

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