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構造デザインの講義【トピック2:古代の建物と構造】第1講:文明と文化

東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です



現代の技術が、歴代最高なのか?!

オーパーツ(out-of-place artifacts, OOPARTS)とは、発見された古代のモノなどが、考古学上、その原理・材料・製造法などが不明であったり、
あるいは、当時の文明の知識・知見・技術などでは、製造が困難・不可能であったと考えられるモノです。
(なお、その後の研究の進歩により、理論的な説明が可能となったモノもあります)

ナスカの地上絵は、高度な測量技術が存在したことを証明している。
パムッカレ・ヒエラポリス遺跡群は、高度な文明の存在を物語る。
(写真、Pixabay, https://pixabay.com/ja/)
出雲大社の巨大な柱から、高層木造の存在が想像されている。
高床式住居は材料の理解と合理的な構造方法を示すものである。

今日の科学技術や工業製品などは、時間とともに、日々発展しています。
建築分野、すなわち、意匠・デザイン、環境・設備、構造・材料については、高い精度で安全に、確実に、設計通りに作ることができます。


ところで、今日の建築技術が、人類史上、最も発展したものである、と言い切れるでしょうか。

建物・都市を作るにあたり、設計・測量、材料・加工、運搬・建設の建造技術が必要になります。
例えば、クレーンなどの大型機器・重機や、3D・レーザーの高度な工学機器類など、今日の建設で用いられている生産方法は、有史以来に開発・実用化された製品です。
これにより、今の建設技術であれば、古代の建造物などを形にすることは不可能ではないかもしれません。

サグラダファミリアは、建設当初、完成まで300年かかると言われていた。最新技術によりおよそ半減し、2026年完成が見込まれている。
(写真、PhotoAC, https://www.photo-ac.com)
サンタマリアデルフィオーレ大聖堂は、当時、建設する技術が見いだされなかった。その後、解決策が見つかるものの、完成までのすべてを含めるとおよそ600年かかったとされている。

古代の建造物や都市は、遺跡・遺構として今日も存在し、実際に見ることができるものもあります。
当時のままの姿で残っているものもあれば、形が崩れ、無色彩に風化したものが、世界中で散見されます。

これらの遺構からはっきりと言えることは、その地に、かつて、建造物を作り、人々が生活したことは、疑いようはありません。
すなわち、現代のみが唯一の文明の時代ではなく、古代にどんなに偉大な文明が存在していたのか、知るすべはありません。

では、改めて問います。

「なぜ、これらの巨大な古代文明は、滅んでしまったのか?」

都市や文明の消滅は、知識や技術の喪失を意味します。
残された遺構・遺跡は、確かにそこに建造物と建造技術があったことを、物語っいます。
しかし、なぜ、どのように、作られたのかは、もはや知るすべがありません。
また、使われ方や意匠、色彩も、多くの場合、不明です。
無彩色の世界に見える遺跡も、当時は華やかな姿をしていたのかもしれません。

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