【読書メモ】『旭山動物園のつくり方』(著:原子禅 / 写真:亀畑清隆)
県立レベルの博物館でも学芸員が3人、、収蔵物以外にも園内に国指定重要文化財、県指定有形文化財に指定されている古民家が複数設置されているそうですが、それらも管理対象に含めてるのであれば配置人数一桁間違ってませんか?、が、まずの感想です。
実際に現地を知っているわけではないので素人目線ですが、そりゃ、史料も資料もさばききれなくなるでしょうし、デジタルアーカイブ化もしたくなるよなぁ、なんて思ったりも。企画展示などもブラック化せずに定量的にできてるのでしょうか、、なんて懸念も覚えます。
とまぁ、一応(学芸員の)資格持ちとしては、地元でこういった系のボランティア募集してたら探してみようかな、とか心配しながら、そういや「動物園」も博物館に含まれるのだよなぁ、、と思い出したのが『旭山動物園のつくり方』との一冊。
「行動展示」で一躍有名となった旭山動物園のどん底からのスタート、そして復活が描かれています。どん底というのは、一時期大騒ぎになったエキノコックス発症の公表とそれに伴う来園数の激減のこと。
しかし、そんな逆風の中でも諦めず「やれることをやろう」と掲げて立ち直っていくのですが、その信念は後に「行動展示」という形で昇華されていくことになります。
その「行動展示」とは「動物本来の、野生本来の動きを、いかに引き出して伝えていくか」をベースにしているとのこと。
確かに「動物本来の動き」は普通の動物園ではあまり見た覚えはありません。本書でも幾度と無く問題提起がなされている「置物を見ている」というイメージの方が、強く印象に残っています。
といっても私も「旭山動物園」とそこでの行動展示に代表される数々の取り組みを知るまでは、動物園はこんなもんだろう、、位にしか思ってはいなかったのですが。
そんな旭山動物園での動物たちと、それを取り巻くいろいろな命に囲まれている心地よい空間や、そこで見出せるやすらぎ、そういった想いが、真っ直ぐな文章で綴られまた、躍動感に溢れる動物達の写真で美しく彩られています。
なんて、本書を手にとった時(2011年頃)には、イマイチ動物系に興味がなさそうな息子でも「目を輝かせてくれるのかな」なんて思い、実際に旭山動物園を訪れたりもしました。
それまでの動物園よりは反応はよく、「動物本来の動き」を楽しんでもいたようですが、そもそもに「動物の臭いが苦手らしく」、それ以降も動物園ではあまりテンションは上がらなかったなぁ、、水族館は結構反応よかったりしたんですけどね。
今後、彼女(がいるのかは知りませんが)に行きたいとか言われたらどうするんだろう、なんて余計なことを考えながら、、ふと「置物を見ている」との感想以上の反応を引き出そうとしている「博物館の展示」ってどんなものがあるんだろうなぁ、と考えてみたりも。
少なくともただ単純に「史料(資料)は全て残しておけ!」と他責性に塗れた理想論で騒ぐだけの界隈からは出てこないと思いますが、、さて。生涯学習施設との切り口でみれば「学習の機会とその材料、場所」の提供にとどめ、間違っても「利用者を教育するなんて烏滸がましい発想」は持たないでほしい所です、某ウソポイみたいに、なんて風に思いながら。