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【読書メモ】『新版 図書館の発見』(著:前川恒雄 / 石井敦)

公共図書館の数と利用者が伸びている。直近30年で図書館数は1・5倍以上に増えた。新たな建設が目立つのは大都市ではなく地方。単に本を貸し出すだけではなく、人が集まる場所に-。地方創生や地元密着などを掲げ、「知の殿堂」とされる図書館を舞台にした「ルネサンス」が手探りで続いている。

出典:「公共図書館数2118から30年間で3310に増 サービス向上、試行錯誤の知の殿堂」
(『産経新聞』2024年6月22日)

これは、図書館業務の民間委託(指定管理)が増えていることもいい方向に働いてるのでしょうか。生涯学習につながる居場所の選択肢が増えるとの点でもいい傾向かなぁ、なんて『新版 図書館の発見』を思い出しながら。

初版は2006年ですが、私が手に取ったのは2012年頃、ちょうど図書館司書の勉強をしようかどうか悩んでいたあたりだったかと思います。

公共図書館の基本的、本質的機能は資料の提供である

出典:『新版 図書館の発見』

あくまで学習機会とその材料を提供するのが図書館で、間違っても「利用者を教育する」なんて上から目線で接してはいけない、といった辺りでしょうか。

確かに大学生の時に司書資格を取ろうと、他部の聴講との形でしたが、最初の概論を履修した覚えがあります(成績表にも残ってました)。ただその授業が、今にして思うとどこか上から目線な授業内容であったなかな、、「図書館こそが社会を教育していくのだ」なんて感じでの。

ちょうど図書館自体が変革の過渡期だったのかなぁ、と今現在でならそうも思いますが、当時は妙な違和感が残り、結局在学中は学芸員と教職に切り替えた覚えがあります(どちらも無事に修めれました)。

これからの図書館を考える場合、委託を抜きに考えられない。これから述べるように、委託の図書館は公共図書館とは言えない。

出典:『新版 図書館の発見』

私自身、今現在指定管理の立場で生涯学習施設の運営に携わっていますが、思った以上に公的機関(自治体)との連携は密に求められますし、また監査も折々で入ります(何かあれば自治体に直接にクレームも上がります)。

図書館は自らの努力で、図書館のない生活など考えられない社会をつくっていかなければならない。

出典:『新版 図書館の発見』

公務員だろうと委託だろうと「自治体の税金をお預かりしている」のは変わらないので、この本が描かれた時期(2006年)とは民間委託(指定管理)を取り巻く状況も大分変っているのではないかなぁ、なんて感じつつ、また図書館数とその利用者数が伸びているのがいい方向に働いている何よりの証左なのでは、なんて風には思います。

そういった意味では、図書館(公共の生涯学習施設)が求められる社会を維持していくのであれば、公務員だろうと民間委託だろうと「自治体の税金をお預かりしている」との視座を忘れないようにしておかないとなぁ、との自戒も込めて。


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