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【理論】品揃えと価格論⑰ 点と線で、見失う

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ポイントどころかラインもない

プライスポイントどころか、プライスラインを全く意識していないお店も時々見かけます。プライスラインとは価格の種類です。

品揃えが198円と248円、298円、328円などとまとまっていれば、それぞれの価格がプライスラインです。その中でも一番売れているのが298円であれば298円がプライスポイントです。

これを全く意識していないお店とは、289円と296円と298円の商品が並んでいるような売り場です。この企業は価格ではなく商品構成や品質で揃えているなどと言います。

その実は、品揃えと価格のバランスを全く無視した昔ながらの品揃えの典型です。大手企業の子会社や小売部門の店舗によく見られます。製造業の小売部門の場合もほとんどがこのような品揃えをします。

誰のために商品を仕入れるのか

これらの企業は品揃えの理念を掲げながらもその実は、系列会社の商品を中心に揃えたり、所属する流通グループのお仕着せ商品を主力にしています。製造や卸の考えに沿った品揃えです。

フランチャイズやボランタリーチェーンなど、本部機能が特別な力を持っているチェーンによく見られますが、独立したチェーンでも力負けするような強力な卸に品揃えの主導権を奪われるとこのような品揃えになります。

自分の身の丈に合っていない相手と組むとこうなります。

共同仕入れグループに加盟するのも同様です。自らの力ではなく中小が集まって共同仕入れや共同PBのグループを作ったりすることがあります。

大手とのバイイングパワーの差を埋めるためという設立理想には反して、この共同グループが力を持ち始めます。仕入れの時に見る相手は消費者でも商品でも価格でもなくグループの意向になっていきます。

価格は仕入れ価格×いくらで決められたり、その時の担当者のアイデアで決まったりします。価格戦略がないのですから顧客に対して提供できるのは商品そのものの特徴や機能、品質のみです。単品勝負なのです。

その様な品揃えの店に行っても、顧客のために選ばれた感はありませんから、お店に対する信頼感や、品揃えに対する満足度は生まれません。

このお店は、どこにでもあるただのお店です。そのお店のファンになることはありませんから、常連になるかどうかは主に立地で決まります。

家や職場から近いとか通りがかりの便利なお店としてしか常連客を確保できませんから、競合店の出現や環境が変化したりといった外的要因で簡単に淘汰される店舗となります。

その時点で超繁盛店であったとしてもです。
その繁盛ぶりはその自店の立地環境によるものだからです。

最低限の立地面をクリアしていれば従業員面で客をつなぎとめられる場合もあります。しかしこの場合、特定の従業員が辞めただけで客に見捨てられることすらあります。

いずれにしても店舗の本質で顧客をつかんでいないのですから、簡単に客は離れます。

価格は小売りの重要戦略の1つ

品揃えの価格戦略とは非常に大切で、小売にとって根幹をなすものです。

もちろん商品力を軽視するものではありませんが、モノづくり日本では「いい商品を作ること」「いい品質を追求すること」を、他の産業までもが妄信しすぎるきらいがあります。

小売にはそれらの商品をどのように受け取り消費者へつなぐか、または消費者の思いをどのように製造側へ伝えるか、商品という現実のものにするか、という、小売ならではの視点と役割が必要になります。

商業が未発達のまま高度経済成長を迎えようとした日本は、系列店販売や特約店販売といった、製造を中心とした川の流れを生み出し、それは日本に大きな成長をもたらしたのは間違いない事実です。

しかし、転機は、変わるべき時はとうに過ぎています。
商品とその提供方法に価値があり、そこに価格があることをしっかりと考えなければなりません。

商品を販売するということは
「品質」と同様に「価格」に向き合わなければ成り立たないのです。

プライスポイントもプライスラインもないようなお店が生き残れるような時代はとうに終わっています。

つづく

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