レイトショーという名の、小さな家出
車を手に入れてから、まあまあの頻度でレイトショーに行くようになった。
レイトショーに行く時は決まって、1人になりたい時、イライラしている時、気持ちが沈んでいる時、気持ちを切り替えたい時。
と、何か自分だけでは消化できないモノが表れている瞬間が多い。
レイトショーの何が良いか。
・ 安い
・ 人が少ない
というだけではない。
私にとって重要なひとつの要素は、
「外が暗い夜である」ことだと思う。
レイトショーなのだから当たり前だ。
ただなんとなく、これといって反抗期などがなかった私にとって、暗い夜に、1人で出かけているという状況は、
心地の良い背徳感みたいなものがあるのだと思う。
言わば、臆病な私の小さな家出である。
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ドライブで、いいのでは?
とも思うが、映画という目的がある事も重要で、「映画見てくるね」という一言は、誰に何の心配もかけないし、迷惑もかけない。
「気をつけてね」の一言で、相手の返答も済むのだ。
これで、気楽に数時間の家出ができる。
そして私は、映画館という閉鎖空間で、時には遠い海外に、時には、実在しない世界へと、数時間の旅をする。
他人にも、自分の悩みにも、スマホにも、ほぼ邪魔されない場所へと家出をすることが出来るのだ。
映画鑑賞後、あちこちのお店が閉まり、シャッターだらけになっている場所を抜け、夜道を運転して、家族が寝静まった家へと帰る。
皆が寝ている時間に合法的(?)に帰る。
これもまた、心地の良い背徳感がある。
遅くなった理由はいらないし、説明も不要だ。
なぜなら、私は映画を見てきただけだからだ。
こうして、映画の余韻も誰にも邪魔されることなく、眠りにつく。
1番良い楽しみ方だと思う。
私はこれからもきっと、小さな家出をする。
これは私の、小さな抵抗であり、小さな幸せだ。
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