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tumugi
2017年2月22日 09:20
サーカスを連想させる二人 手を取り合い見つめ合ったまま美しくカーブを曲がる 制服姿で恋走する夢中遊泳 色もインチも違う自転車がゆっくりと同じ速度で走る まばたきの数ほど聞こえるシャッター音 いずれを教えたくない時を止めてあげようか 世界一眩しい素顔 耳まで染めて はにかむ少女
2017年2月9日 11:06
人とは情で繋がるものそうとは言い切れない 本物の痴呆は情を失う 妻を認めず食を欲する 見失うものだらけの中で自分の欲だけは忘れない 便を転がし踏んづけるが気にも留めない何週間でも同じ汚れきったタオルでいい 喰うこと出すこと退屈を感じること その繰り返しに見えるが歯が痛む腹が痛むなど自分の体に関しての痛みは感じるようだ 長年共に過ごしてきた妻が病
2017年2月8日 08:20
私より優っている奴らは捨てた私より劣っている奴らも捨てた 選り好みする私は一人になった 卑しい身分に生れ落ち選り好みする癖を持つ 波が押し寄せては引いていく人間である事をやめたい衝動 大波が来れば呑まれて沈み打ち上げられては乾くのみ 波打ち際に残されるのはいつかの尖ったままの私 成長を無理強いされた子供は生涯成長する事はないだろう 成長を無視さ
2017年2月6日 10:51
私の運ちゃんは誕生前から痛みに弱かった。母の腹がエイリアンの様に重く膨れ上がっていた頃運ちゃんは「やめようぜ」と囁いた「なぁ、かなり痛い道だぜやめとけよ」私もそうしたかったが、母のあまりの苦しみ様が私の思いを妨げた。母は長い苦しみに耐え、楽になりたい「私を何とかしたい」と思っている。 私は頑張った。運ちゃんも痛みに耐えた。そして私と運ちゃんが誕生した。 「痛い!神様仏様ど
2017年2月5日 10:17
お母さん苦しかったよとオギャーオギャーと産声をあげて以来力一杯泣き叫ぶ事が出来なくなった今 結露で塞がれた肺壁で浅い呼吸を繰り返す ひとすじまたひとすじ小さな肺は満たされる 苦い雫を汲み取れば 悲しい記憶の蔦が 這い絡まり 二つの小さな肺の中オギャーオギャーと泣き声がこだまして 私はかすかに息をする こころが冷たい 息が
2017年2月3日 10:55
喉の渇きと胸苦しい夢に目覚め掻きむしった首元を撫でながら寝ぼけ眼で間接照明のスイッチを押す今逃れてきた夢が脳裏で回り続けている 逃れてきた今を意識するように私は想像する 満ちた月明かり下静かにミントの葉をちぎり集めていく一人の魔女広大な地を目前に視界いっぱいに広がるラベンダー畑へ踏み入る魔女の背中を追う様に駆け出す私 自分の傲慢さを感じる貴重な時間 一人で乗り