タロット小説【塔と節制】
「…彼、ずるいのわかってるんですけどわたし…あきらめたくなくて…
でも…友達に話すときっと…不倫はやめとけっていうに決まってるから…」
女性は困った顔つきでうつむき加減にぽつぽつと話しはじめた
だが言葉は途切れることなく水があふれ出すように
出会いから今までの経緯の話が続く
わたしは口を挟まず静かに相槌をうちながら話を聞いていたのだが…
彼女はどこか…嬉しそうなのだ
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街角で鑑定し始めて一番多く相談に来られる内容が不倫だ
不倫というのは潔癖症の世間では<悪>