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「楽しければいいじゃない!」

 

はあ…まただ
彼女はいつもこうだ(苦笑)


大学の学食で遅い昼食をとりながら
講座の単位の話やおしゃなカフェが近々オープンする話
そしていつの間にか恋愛の話になった

彼氏がいるにもかかわらず
わたしは最近ちょっと気になっている子がいる

細身で柔らかい雰囲気
友達も多くて…
今日も気軽に話しかけてきた

「おう」
相変わらずの人懐っこさで相手を安心させるあの笑顔はちょっとずるい (笑)


「今日の講義どうだった?俺ここの部分分かりづらくてさ」

「ああ、ここならいい参考書あるよ」

「え?本当?よかったら貸してくんない?」

「いいよ。明日持ってくるね」


年上の彼氏はこのところ出張で忙しいらしく
随分ほったらかしにされている
何だかいい加減に扱われている感じがして
寂しいやら腹たつやら…

そこに彼が目の前に現れたのだ

なんかいいんだよなあ
一緒にいて楽しいんだよなあ

何度となく顔を合わせるうちに
キャンパス内のカフェでコーヒーを飲みながら
講座の話の他に趣味の話なんかもするようになった



「いいじゃない、付き合っちゃいえば」

「あのね、それ浮気っていうの」

「そんなのバレなきゃわかんないじゃん」 

「あんたはいつもそう…」

でも自由気ままに正直に生きている彼女を見ていると
時々羨ましくなったりもする

「あら 遅いランチね」
そこへ友人の結がやってきた

「こんにちわ~」
萌音は人見知りをしない
誰々?といった風に友人の顔を覗き込み
いつもの明るい調子で挨拶をした


「紹介するね   こちら友達の結、新米の占い師さん」

「へえ占い師さん?   私も占ってもらおうかな~」

 「えー? 萌音に悩み事なんてあったっけ?」

「う~ん 今は十分幸せ!うふふ… 
あ  聞いて聞いて!この前なんかね~…誕生日は何が欲しい?って…」

「始まった~  おのろけタ~イム! もう聞きましたあー  何回もおー
指輪買ってもらったら  みーせーてーねーっと!  」

「(笑)お幸せに」

「いえ、まだそういうんじゃあ…(#^.^#)  
あ、迎えにきた! じゃあね~美咲  またね~ん♪」


食堂の入り口でがっしりした体格のいい
いかにも体育会系男子っていう感じの男の子が手を振っている

彼女は可愛らしく手を振り返し
飛び跳ねながら (後ろ姿がそう見える) 彼氏の元へと駆け寄っていった

彼女はいつもあんな感じだ
それに彼氏を次から次へと乗り換えているのだが
何故か男たちからは彼女への恨み言を聞いたことがない

どうしてだろう

外見はぽっちゃりしていて決して美人じゃない
でもどこか人懐こっさがあってにこにこしてて
行動もどこかおっとりしてるからか周りがほおっておけないタイプ
何かしら男たちに構ってもらえる得な性格らしい


「ふ~ん  なるほど   萌音ちゃんはタロットカードでいう 女帝かな
女として満ち足りている状態ね」

(何気にカードをくり一枚めくる)あら  彼は皇帝かあ  」

「ふ~ん   あれ?この二枚が並んでいるとなんだかお揃い風な感じ…」

「別にペアのカードでは無いのだけれど…(さらにカードを引いていく)うまくいけばアゲマンになる可能性もあるわね」

「へえ~」

同じ女としては羨ましい限りだ


「いや~ね  また違う男に色気使って」
離れた席で堅物女子たちが噂をしている


「… まあやっかむ気持ちも分からなくもないかな…」
また結の人間観察がはじまった


「ねえ結
萌音は 結婚したら落ち着くタイプ?」

「…んー  どうかな…」

「え?どういうことだ…?
さっきアゲマンって言ったよね?」


結は ふふふ
と笑った








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