深夜の映画館は都会に残された避難場所で、全てのことを忘れられる唯一の居場所だった。学生時代は単館系映画館に入り浸って、酒を飲みながら、知識を貯えていた。今じゃ逃げの一手になっているけど、あの頃は必死に追い掛けていた。美化した記憶。開演ブザーが響く。現実から夢に向かう心地よい音だ。

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