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森茉莉と、猫と、憎たらしさと。

森茉莉は、まるで猫だ。

だから、小気味いい雨の日には、きっぷの良い向田邦子のほうが似合う。とは思うもののページをめくる手は止まらない。

森茉莉『贅沢貧乏のお洒落帖』は、猫のように表情を変えるエッセイ。例えば「初冬のヴィナス」。美意識と麗しい描写に、ひれ伏して崇めたくなる。一方「贅沢なおしゃれ」は、文章の迫力は凄まじいけど、お貴族様のご自慢かい(実際お金持ちだったわけだけど)なんて、やっかみ半分憎たらしさが募る。単に読み手の心の問題なのか、そこが森茉莉の醍醐味なのかよくわからないけれど、まさに、猫だ。

だから、パタタタタと弾けるような楽しげな雨の日は、チャキチャキした向田邦子であって、美しく高慢な森茉莉ではない。はずなんだけれど。なぜかぶつぶつ言いながら格闘している。

そして、私は猫と相性が悪い。

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雨の日をたのしく

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