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20211223|メトロポリタン美術館展


晴れた日に、親友と美術展へ。もう楽しくて、楽しくて、楽しくて、それはそれは幸福な時間だった。きれいだねぇと伝えあえるひとが隣にいてくれること、それが何よりも嬉しい。三時間ほど堪能したあと、お茶をして、図録をみながら気に入りはあの絵だったとか、あの質感と色合いはよかったとか、あの顔はどうにかならんかったんかとか、各々の感性のまま洗いざらい素直に語り合い、ゲラゲラ笑った。とくに彼女らしいなあとおもったのはピエロ・ディ・コジモの『狩りの場面』と、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの『女占い師』が気に入ったという話で、わあ〜・・・、っぽい〜!ってなったのはかなり面白かった。確かに圧倒的なエネルギーを発していたもんねぇ。あとはフランソワ・ブーシェの『ヴィーナスの化粧』もかなり気に入っていた様子で、それも納得だった。彼女の雰囲気に一番近しいようにおもえたから。


誰かといく美術展はこれだから楽しいの。




ここからは、特に、特に、気に入った絵画をいくつか。




『ヴィーナスとアドニス』(1550年代)
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ

古代ローマの神話をもとに描かれた作品。女神ヴィーナスの艶っぽい裸体、そして結い上げられた髪の毛(小花や木の実の装飾がまた美しいの....)と、美貌で知られる人間のアドニス。え.......?待って......かっこよ.....勇ましすぎる……お隣に設置されていたパオロがあまりにもドヤっていたことも相まって(パオロごめん)、完璧にアドニスに落ちた。遠くからみても、近くからみても、ずっとかっこよかった。

みて。かっけぇ。



『聖母子』(1670年代)
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ

この柔らかくて温もりのある描きかたに何度魅了されたことか。ほかの美術展で出会っても確実に惹かれるということは、もう単純にムリーリョの絵がすきなのだとおもう。しかしこの『聖母子』という絵画、あまりにも聖母の表情が重々しく悲しそうなのだけど、それは幼児(イエス)のいずれくる未来を察しているからなのだそう。それでもこのひと時の、空間の温もり、あるいは愛おしさのようなものが十分に伝わってきて、なんなりと満たされたのだった。



『フローラ』(1654年頃)
レンブラント・ファン・レイン


一番すきだった。古代ローマの神話のなかで春と花と豊穣を司る女神、フローラ。どうやら神話のなかではあまり重要ではないらしいのだけど、まあそんなことは置いといて、この素朴な美しさね.......白のお洋服の質感に、黄色のスカートに描かれた刺繍の花、手のなかに包みこまれた木の実。暗い背景のなかに静けさを纏いながら存在する女神フローラの素朴な美しさに惹かれないわけがなく、もうほんとうにただただ美しくて、絵画のまえからなかなか離れられなかった。



他にも、ターナーの『ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から』や、だいすきなルノワールの『海辺にて』『ヒナギクを持つ少女』もとても印象に残っている。ターナーの絵画に関しては不思議なもので、絵画のある空間そのものが光を帯びていて、一際輝いていた(あきらかに人が集まっていた)。しかし私にはすこし眩しすぎて、直視できないような、長く見続けていると吸い込まれてどこかへ連れ去られてしまうような、そんな具合で、それってとても素晴らしいということなのだけど、あまりにもきらきらしていて、なんとなく距離を置いてしまったわけであって、それってすごい体験だなぁと。それでルノワールはやっぱり心が落ち着くね。それこそたくさんの人に囲まれていて、温もりを共有している気持ちに。ただただ幸福だった。



なにはともあれ、美術というものはほんとうに良いなあと心の底からおもえた一日。あらためて、ね。またすぐそばに楽しみにしていた美術展が近づいてきているので、ワクワク。次は『印象派、光の系譜展(イスラエル博物館所蔵)』で、初来日作品も多く、ルノワールもだし、ゴッホの麦畑や、モネの睡蓮も、ね。夏にはフェルメールの美術展もあるようだし、来年もちょこちょこと美術に触れられるといいなとおもう。


とてもすてきな美術展でした。


あとね、親友がサプライズでクリスマスプレゼントをくれた。かわいいバッグ。なんかすごく恥ずかしそうにしていて、笑った。彼氏かよ。ありがとう。

よろこびます。