仕事で大切にしていることは?(クリエイティブ司書に訊く)
小宮山剛のInstagramで展開している「クリエイティブ司書に訊く」。
今回は、クリエイティブ司書として仕事上大切にしている価値観というか、方策なようなものについて書きます。
📚我が仕事の価値は「コスト」か「投資対象」か?
私がクリエイティブ司書(元々は椎葉村地域おこし協力隊のミッション)の仕事として椎葉村から与えられたのは「新しいブックスペースの立ち上げと運営」でした。もちろんこれを淡々とこなすだけでもけっこう大変なのですが、厳しい目でみれば、それだけでは自分の仕事は「コスト」にすぎないと僕は考えています。
それだけではなく、いかに必要とされる価値を自ら考え創出できるか。それを実行に移し試行錯誤のうえで事業をドライブしていけるか。
それこそが、自分の仕事が「コスト」であるのか「投資対象」であるのかの差であると思います。
📚「クリエイティブ司書」としての仕事を言い表す
過去のnote(↑)でもクリエイティブ司書の仕事内容を言語化していますが、一言で表現しなおすと「ことば」で事業の在り方を方針づけるコンテンツディレクターだと考えています。自分自身でそういう仕事をデザインし、生み出し、取り組む方法を試行錯誤しています。
与えられた仕事をこなすことは誰でもできます。まぁそれが難しいこともあるし「クリエイティブ司書」として期待された「図書館立ち上げ」もある意味ではそういう難しい仕事の一種であったと思います。
しかしただそれだけでは、僕自身がありがたくもご評価いただいて「地域おこし協力隊」から正規の職員になることはできなかっただろうと思うのです。いかに期待を超える新しい価値を生み、それをセルフプロデュースとあわせてお示しするのか。それこそが僕がクリエイティブ司書の仕事のなかで大切にしていることです。
📚図書館も、いかに価値を生むかが評価されている
「与えられた仕事だけではなく新たな価値を生む」
実はこれは、クリエイティブ司書個人だけではなく椎葉村図書館「ぶん文Bun」の在り方にも共通する考えです。
いま全国の図書館の立場というか、認知されている価値そのものが低下しているように思います。(有体に言えば、予算がつかなくなっています)
「本を読むところ」「勉強するところ」「集いの場」。いろんな一般認識に共通するのは「文化政策」のひとつとしての図書館です。
もちろんそれも大切なのですが、政策として「ではその先に何があるのか」「自治体(図書館をもつ集団)の未来においてどんな価値を生むのか」まで踏み込んで図書館政策を考えなければ、図書館の運営は「コスト」の域を抜け出ることがありません。
そうではなく、いかに図書館の運営が「未来への投資」であるか。
そのことを重要な視座に据えて椎葉村図書館「ぶん文Bun」の運営を考えた結果が「UIターンを生む図書館」でした。もっといえば、単なる資料アーカイブではなく土地の思い出をアーカイブし自治体内外に共有・共振させる媒介装置としての図書館と言うべき存在です。
椎葉村のように人口が減りゆく土地にとって、UIターン政策は非常に重要です。ぶん文Bunの「UIターンを生む図書館」という価値提示も、村の長期総合計画と目的を一つにする在り方となっています。
これこそが、僕がクリエイティブ司書としてデザインしている仕事です。
📚お話しします「UIターンを生む図書館」
今回の記事で引用した画像は、僕が様々な場で図書館構築や自分自身のUIターン思考・キャリア形成についてお話しした内容の一部です。
図書館運営が単なる文化政策の域を出て地域ブランディングと土地の記憶のアーカイブ装置であるためにどんな領域の仕事を生み出し、継続しているか。
そこには、図書館と地域をむすぶ協議会さんとのコラボレーションで生み出した「図書館を運営するだけで地域の経済を循環する」ソーシャルイノベーションの在り方や、SNS運営の姿勢、図書を使った場づくりの思考など様々なエッセンスが詰まっています。
ご機会をいただけましたらオフライン/オンラインでの講和・講演を行うことができますので、ぜひご相談ください。
できれば、遠い遠い日本三大秘境椎葉村でありますが、現地の本棚空間をご覧いただきながら一緒にお話しできると嬉しいです。