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私の不妊治療

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不妊治療〜出産までを綴った個人の体験記です。 不妊治療をされている方はもちろん、これから始める方、不妊治療について知らない方にも読んで頂けると実態が分かるかもしれません。
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私の不妊治療①「不妊治療の始まり」

現在進行形ではあるものの、私は不妊治療を受けて多くの事、悲しみ、苦しみを経験した気がする。
忘れない内に書き留めておこう。
こんな思いをする人は少しでも少ない方が良い。
事実が少しでも広く知られ、理解されるものになりますように。

私の不妊治療の始まりはどこだろう?
私の不妊の原因の一つは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)だから、PCOSの診断を受けることになった事の発端を思い返す。
人と比べて昔から

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私の不妊治療②「最初のステップ」

2019年の5月に初めて不妊治療を受けるために産婦人科を受診した。
その頃は不妊治療の「ふ」の字も知らず、どういうタイミングで、どういう段階を踏んで、どういう治療をするものかは全く分かっていなかった。
その為、生理中に受診する(内診台にあがる)のがいかがなものかと思い、あえて生理が終わってしばらくしてから受診してしまった。

しかしながら、不妊治療経験者の中では周知の通り、不妊治療とは通常生理中か

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私の不妊治療③「結果が出ない日々」

転院を決めた翌日には新しい病院を訪れた。
転院先で話はすんなりとおり、既に31歳ということで早速人工授精にステップアップした。

とりあえず自力で生理が来ているのだから、と自然に卵を育ててみる。
生理開始から12日目、全く排卵の気配がない。15日目、それでも気配がない。17日目…やっと卵胞が大きくなり始めた。
「卵胞が育つのが非常にゆっくりだ。のんびりしすぎだから、注射を打ちましょう。」その日から

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私の不妊治療④「立ちはだかる壁」

体外受精となると人工授精とは違い「手術」を伴う為、必要な説明を受けて同意書を提出しなければいけない。
最初はその事を知らずすぐに進めると思っていて、段取りを間違えて採卵手術まで2か月近く時間がかかってしまった。

説明を受けて初めて知った。
体外受精にかかる費用が1回60~70万円であること(※病院による)、
採卵手術の前に卵胞を刺激する(育てる)方法がいくつもあること、それに二週間近く時間をかけ

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私の不妊治療⑤「これが体外受精」

滋賀の病院を見つけて1週間後にはセカンドオピニオンのカウンセリングに足を運んだ。

心配だったのは大阪から滋賀への距離と費用のこと。
それまでは“仕事帰りに注射”が当たり前だったけれど、滋賀となるとそうはいかない。

それに費用は専門クリニックになると絶対に上がるだろう。
病院のホームページを見てもよく分からない。
患者によって刺激方法も処方する薬も、かかる時間も違う体外受精では、ある意味仕方がな

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私の不妊治療⑥「社会との溝」

専門クリニックに転院したにも関わらず採卵結果が良好とは言えず、出鼻をくじかれた私は精神的にかなり疲弊していた。

自分にとって妊娠という現実がやってくるのか、未だに見えてこない。
会社では隣の席の後輩が第二子を妊娠していた。
年が近ければ良いな、と思っていた姉の子供や友人の子供がどんどん大きくなっていくのに、未だに何の結果も出せない。
つい先日100万円を突破した治療費が、1カ月後には200万円を

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私の不妊治療⑦「闘病」

たくさんの事を色んな人に知って欲しかった。
2年前の自分が無知だったように、不妊治療の必要がない人は何も知らない人がほとんどだ。

政治家でさえ不妊は疾病じゃないというし、中には女性は子供を産み育てるのが当たり前と決めつけている人もいる。
不妊の原因は女性の年齢でしかないなんて、思い込んでいる人も。

私たち患者は何に苦しんでいるのか。

本当に原因は年齢なのか、
たった数十万円の金額が出せないと

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私の不妊治療⑧「友人と仲間」

私は高校時代の友人が大好き。
一番楽しかった3年間。いくつになっても、あの頃に戻れるなら戻りたいと思ってしまう。
個性を認め合うのが当たり前、日本人離れしているようにも思える感覚が普通だった。

一緒に過ごした友人とは何年経っても関わりがあって、
大人になってからも何度も旅行に出かけた。
旅先では笑い声が絶えなくて、どんなにしょうもないことでも、皆で分かち合った。
まさしく、楽しさは2倍、悲しさは

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私の不妊治療⑨「選択肢」

10月初旬に退院したものの、体調の事を考えて、移植は1周期見送ることになった。
久しぶりに、薬を止めた状態で生理を待った。
大体11/10前くらいに来るかな?という予定だった。

しかし元々は稀発月経気味の私、なかなか来ない…このままでは11月移植も出来なくなってしまう!という焦りも虚しく、
結局生理が来たのは11月後半。
いざ、移植周期へ。

内診し、最初の移植日は12/9に設定された。
妊娠で

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私の不妊治療⑩「逆転」

(この記事からほぼリアルタイム更新になります)

2/1 排卵有無の確認のための採血をした。
何もしなくてもなかなか排卵しない私、その心配はあんまり感じていなかった。
内膜は…7mm、ギリギリ移植が出来る厚さだった。

2/5の初期胚移植が決まった。

いざ初期胚移植の日、培養士さんが胚の説明をしてくれる。
2個解凍された前核期胚の内、1つが順調に育っていて2日目で4細胞。
これを移植しますとのこ

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私の不妊治療⑪「悪阻と仕事」

病院で陽性判定をもらった時はかなり落ち着いていた。

きっとフライングをしていなければ、
フライングした時と同じように泣き崩れたんだろうけれど、
「HCGを打ったりしていなければ偽陽性が出ることはない」
そうフォロワーさんに教えてもらった直後だったので
すんなり事実を受け入れられたと思う。

そこから9日間、胎嚢を確認出来るまでの待機期間が始まった。
最初の5日間ほどは何の症状もなく、本当にお腹の

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私の不妊治療⑫「切迫流産」

突然の大量出血に驚いたけれど狼狽えたりはしなかった。
出血は確かだが固形物が出ているわけではない。
ほぼ鮮血だ。

ルティナスやルトラールで人工的に子宮内膜を厚くしている分、出血の可能性も高い。
病院からは事前に説明を受けていた。

でも「生理2日目以上の出血があれば電話してください」とも言われていた。

どこからどう見ても生理2日目以上だ。
診察時間になるのを待って病院に電話した。
回答はやはり

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私の不妊治療⑬「心身不安定」

#子ども産まなかったら経験しなかったこと
こんなタグが最近話題になった。

私自身このタグを見て感じたこと、、正直あまりない。
その文字面から「子供がいてよかった」「子供がいなければこんな経験は出来なかった」と
喜びに満ちた呟きが羅列されることは想像に容易い。
その人たちはあくまで自分の価値観に基づき、自分の置かれている環境しか考慮していない。
でもそれは決して悪い事では無くて、当たり前だと思う。

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わたしの不妊治療⑭「居場所」

先日私の大の親友の誕生日だった。
友人…といえば前書いたこの記事の通り、距離を置きたいと考えていた。

それは紛れもなく、私の本心だった。
みんなとまた笑い合える日々が来るのか…本当に自分はそこで笑えるのか、不安でたまらなかった。
みんなが当たり前のように手にした幸せを得られなかった自分がいる。
行き場のない劣等感に苛まれながら過ごすことになるのではないかと。

「妊娠すれば何か変わるのかもしれな

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