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起業で失敗しないための3つの秘訣

起業を成功させるために抑えておくべきことは、以下の3つです。

①起業の動機は野心的なものがよい
②ビジネスアイディアは原石がよい
③可能性を優先せよ!確率はあとからでよい


いつの時代も起業を志す人がいます。
起業自体は国力の趨勢にも大いに影響を与えるでしょう。
そして、起業の数と質はその国の未来を如実に示すものです。

中小企業庁の「中小企業白書(2020年度)」を見ると一目瞭然です。

近年のケースでは欧米先進国の中で日本が開業率と廃業率のいずれも最も低い水準で推移しています。開業率・廃業率がともに最も高いイギリスは日本の3倍以上の開廃業率。アメリカも日本の2倍以上。他の2国も開業率と廃業率のいずれかは日本の2倍以上の値を記録しています。

つまり、先進国で比較すると

日本の起業率は極めて低い

と言えるのです。

このような背景もあって、おおよそ20年ほど前から国は本格的に起業家支援に乗り出しました。

各県、各市町村はこぞってインキュベーション施設を作ってきました。

*インキュベーション施設(英語:Incubation facility)とは、創業初期段階にある起業者の事業拡大や成功を支援する目的のもと通常よりも安価な賃料で事務所スペースを提供したり事業の立ち上げに関する専門家(インキュベーションマネージャー)によるサポートを提供したりする施設のこと。

私はかつて6年ほど行政からの依頼を受けてそのインキュベーション施設の専門アドバイザーをしていました。同時に、本業の部分でも起業家育成のコンサルティングを行ってきました。そして、数多くの個性あふれる起業家を輩出してきた自負もあります。

では、起業で失敗しないために抑えておくべき3つの視点を記します。 

成功ポイント—1:起業の動機は野心的なものがよい


『野心的な動機だからこそ、尋常でないパワーを生む!』

これはいったいどんなパワーなのか?

一つ目に、勇気を加速させる超人パワーが挙げられます。恐れを知らない、無理、無茶、無謀、非常識、型破りを指します。

二つ目に、やる気を倍増させる超人パワーが挙げられます。理屈抜きに心が躍る、夢を追う、無我夢中、一心不乱の状態を指します。

三つ目に、本気を強化される超人パワーが挙げられます。本能に近い、駆り立てられた情動、執着、こだわりを指します。

起業の動機は人それぞれ違います。

大義名分のしっかりとした崇高な動機もあれば、首をかしげるおかしな動機、中には理不尽極まりない不純な動機まであるでしょう。

私の経験から、起業の動機というものはある程度、個人の感情、もっと言えば理屈抜きに駆り立てられた“情動”みたいな不純物の混じったものの方が爆発的な原動力になりそうです。

このような原動力こそが尋常でない超人的なパワーと成り得る気がします。

わかりやすく言いますと

「人のため世のために!」


といったもっともらしい動機よりは

「10億円のキャッシュを手にしたい!毎年、半分は海外で楽しみたい!」

みたいな極めて個人の利得を重んじたものであり他者から見れば

“わがまま”そのものに直結

したものの方が特に起業時期、起動電力が走るのです。

ただし、いつまでもそのような私利私欲に満ちた個人の感情をむき出しにした野性的動機では周囲はついてきません。

徐々に理性を働かし客観性と普遍性を持ち込んみ、多くの人々の共感を得る理念や目的に仕上げて(昇華して)いかなくてはいけません。

でないと、事業は継続発展しません。


成功ポイント—2:ビジネスアイディアは原石がよい

『原石だからこそ、マーケットに受け入れられるのだ!』

原石とは、自分の体験から想起されたアイディアのことです。

つまり、模倣ではない、“真新しさ”、“斬新さ”、“衝撃度”、"未成熟度"(未完成、不完全さ)が未知の世界に導き、未来を拓くというアイディアのこと。

ビジネスアイディアは、このような原石であるからこそヒットします。

もっと具体的に言えば

「原石のようなビジネスアイディアこそが儲かる」

のです。

「儲かるビジネス」というと、一般論の場合は

社会のニーズや消費者のダイレクトなニーズに適ったもの

と言えるでしょう。

この答えはマーケティング学的には正しいのですがこの答えでは核心を突いていません。

もっと言えば、このようなありきたりな正論に近い話は実際の局面では通用しないということです。


私はこれまで100を超えるビジネスを起業してきました。

小さなサービスから大きなビジネスモデル、小さな商品から大型商品まで
創り出し世に送り出してきました。

その内、10年を超えて継続発展したものは約十分の一です。

つまり、10%ほどが最終的には本物のビジネスに育ったと言えます。


この10%は私なりに成功と捉えていますが、それらには共通点があります。それは

スタート時のものは“思いつき”程度のものだった


ということ。先行するモデルがあってそれを少々アレンジした程度の模倣ビジネスではありませんでした。

簡単に言えば、

安直な着想、ユニークな発想が面白い

というものばかりでした。

ここでいう“思いつき”だからこそそのビジネスを“原石”と呼んでいます。

でも、この思い付きは長い間脳裏にあってときどき意識の顕在化もあり温存していたものです。

ここでいう原石という言葉には大切な意味が含まれています。

原石であればあるほど消費者に育ててもらえる

という意味です。

正確に言うと、ざっくりとしか作り込みがされていないビジネスの方が
消費者からの知恵を入れやすい。

粗削りなものほど伸びしろがあるとも言えます。

逆に言うと、商品やビジネスモデルにおいて発売時から行き過ぎた作り込みがされていると身動きが取れなくなるということも意味しています。



精密な完成度の高すぎるものは

消費者の知恵の入り込む余地


が少なくなってしまうのです。

もちろん、そのビジネスが提供する商品やサービスには商取引上可能な最低限の品質保持が求められますが。


例えば、「回転寿司」を考えてみましょう。

寿司は一定の空間、
一定の時間、回転するのですから、
ネタは普通傷みますよね。
乾燥もするしホコリもつく。

通常、環境衛生上、抵抗感がありそうです。

しかも、寿司という日本食の伝統文化を背負った食が安直に機械で握り、ぐるぐる広い室内を野ざらしで何回転もする。

悪く言えば、選ばれるまで、ネタはさらし者になる仕組みです。

おそらく、この起業アイディアを考案した時点での社内会議では100%に近く起案者は他の役員から猛反対されたでしょう。

しかし今、世界中に普及しています。

寿司はネタ・シャリが勝負、男職人の厳粛な伝統作法によって半ば芸術の域にある品格ある食であるとする既成概念を、この回転寿司はいとも簡単に打ち破ったのです。

ハッキリ言って、回転寿司は当初「社会のニーズや消費者のダイレクトなニーズ」に適ったものではなかったはず。

もちろん、「安く庶民が手軽に、しかも明朗会計」といったニーズにはしっかり応えてくれています。だからと言って寿司をあらかじめ作り、ベルトコンベアーで回転させて、消費者に選ばせるといった利便性におけるニーズは顕在化していなかったと思う。

言いようでは、このユニークな発想は、小学生が思いつくような幼稚で滑稽で、奇想天外なものです。だから受けたのでしょう。

ここにビジネスアイディアの原石がもつ魔力・魅力が潜んでいたと思います。そして、この原石は消費者によってどんどん磨かれ進化を遂げているのです。


成功ポイント—3:可能性を優先せよ!確率はあとからでよい


起業の成功ポイント3つ目はこちらです。

『確率で捉えるな。起業家なら可能性に賭けよ!』

もっと具体的にいえば、

大胆さは事業成功の可能性を拡大化させ、小心さは事業精度の確率を高める!
遠くを想い、近くを見つめよ!

ということです。

「遠くを想い、近くを見つめよ」というのは

・どのくらい、先を見ているか?・・・・・将来へのビジョン
・どのくらい、足元を見ているか?・・・・現実の直視

ということを意味しています。

私は20代で起業する際にコンサルタントの先生と税理士の先生に大反対をされました。

理由は簡単です。

コンサルタントの先生からは

「何を本業とするのか?その内容がしっかりと決まってからに起業しなさい。でないと失敗しますよ」

と。税理士の先生からは

「独立した時にお客様をある程度持っていないのであれば無茶です。資金が枯渇し直ぐに行き詰ってしまうよ」

と言われました。

もっともなご意見です。

しかし、見切り発車した私はその後、最終的に失敗していません。行き詰ってもいません。

その時に思ったことを正直に言います。

この二人の先生には大変失礼なのですが

「確率論で事業の成功・失敗を図っているんだな〜」

と思った!

「確率論ではないでしょう。ビジネスは可能性に賭けるものでは!」

と憤りも交じって反感を覚えていたのです。

「この世の中の起業家は“確率論で成功する”と分かってからしか事業を起こしていないのか?」「いや、そんなことはないはず」

と自問自答していたのです。

何となく

「銀行の融資と同じだな~」

と感じていました。

銀行は融資をする際に社長の連帯保証をとり、中には担保までとるケースがあります。

そのことが目に浮かびました。ほとんどの銀行融資は「決してその経営者がやろうとしている事業の成長性や将来性を本気で図ろうとしない」といったことと同じような感想を持ちました。

起業家は

“アントレプレナー/Entrepreneur”(独創的なアイディアで新市場を創る

と言われる存在です。


同時に

“ベンチャー/Venture”

とも言われます。

ベンチャー、つまり冒険家なのですから未知の世界に飛び出して遭遇する
リスクを一つ一つしのぎ、チャンスをものにしていく存在なのです。

確率論を否定するつもりはありません。

事業を起ち上げるときの無謀な構想、無茶な動きそして、無作為な働きかけは起業家の特権であって、その未完成度が可能性を測る物差しのように思います。

そして、確率論について言えば事業が動き出してから段階を踏んで採用していけばよいでしょう。

起業後、軌道に乗りだしてからは安定して継続的に企業を発展・維持していかなければいけません。

その際には起業家というよりは、経営者として確率論的な綿密な計画性と、確かな法則性、手法(科学性)を持たねばならないでしょう。

しかし、創業期の勢いある時期においては、尋常でないエネルギーとモメンタム(momentum)が必要!このエネルギーは損得を超えたところに発生する。


モメンタムは理屈を超えたところに宿るのです。

「大胆にして小心であれ」
「着眼大局 着手小局」


という言葉があります。

可能性に賭けるとはまさに大胆にして大局を捉えて動き出すことです。(起業の段階では特に)一方、確率論は小心にして、小局に動くことです。

この考え方と実際の企業行動は、起業における創業時期を過ぎた頃、組織立って分業体制が確立し権限委譲のレベルになってから進めていくとよいでしょう。

それまでは創業者、つまり起業家が独裁(独りで決裁する)政権をとり、強力なリーダーシップを大胆不敵に発揮していった方が、事業は早く軌道に乗るのではないでしょうか?

少なくとも私はそうやってきてうまくいきました。

まとめ

起業の動機は野心的なものがよい
ビジネスアイディアは原石がよい
可能性を優先せよ!確率はあとからでよい


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