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定年退職して自由を手に入れても、まだまだ苦難は続くって知ってた?

退職した。

47年間も働き続けてきたので、しばらくはゆっくりしたいとも思うが、もともとが超ズボラな私の場合、たとえ少しの間でもダラダラを許してしまうと、死ぬまでずっとそのままになりそうで怖い。

まったく自分が信用ならないのである。

よく65歳まで働けたものだ。こんな私でもなんとかなったのは、たぶん、会社で仕事をする場合には、ある一定の強制力が働くからなのだろうと思う。

ところが、退職すれば何をしようと、何をしまいとも自由だ。残された貴重な時間を無駄にしてしまわないよう、少しはコントロールしなければならないと思う。

そこで今回は、土屋賢二著「ワラをつかむ男」、「無理難題が多すぎる」を参考に、あれやこれやと対策を考えてみた。

土屋 賢二(つちや けんじ、1944年11月26日 - )
日本の哲学者(ギリシア哲学、分析哲学)。エッセイスト。お茶の水女子大学名誉教授。
研究の傍らユーモアエッセイを執筆。(中略)学術論文をパロディ化したような独特の作風。そこからついたあだ名が「笑う哲学者」。
wikipedia 「土屋賢二」

「依存するな」

妻の手作り弁当は本当においしかった。コロナ禍では車の中で食事したが、もっとゆっくりくつろげる環境で食べたかった。そうできれば、さらにおいしかったに違いない。

中でも卵焼きが入っているときは、一層心が躍ったものだ。

仕事に行かないと、もうあの弁当は食べられないのだろうか…

「今日は公園に行くから、卵焼きの弁当作って」 

「あほか」

…という展開になるのは間違いない。当たり前だ。それは、わかる。

強い意志を持たないと、弁当だけでなく、いろいろな面で妻に依存してしまいそうな気がする。熟年離婚にならないためには、せめて、自立に向けて努力する姿だけでも見せていかないと…。

たしかに依存心はよくない。自力で問題に立ち向かおうとせず、だれかが代わりに正しく判断して解決してくれるのを期待するのだから。判断を人に頼るのがなぜいけないかというと、妻がそう言っているからだ。
「ワラをつかむ男」土屋賢二

さすが哲学者だ。説得力が桁違いである。なぜ依存心を持つのがいけないのかが、すんなりと胸に落ちた気がする。

私も自分で卵焼き弁当を作れるようになったほうがいいに決まっている。なぜなら、妻がそう言っているからだ。

ただ、誤解のないように付け加えておきたいが、すべてを妻に依存しているわけではない。自宅で仕事をしている妻が集中できるよう、猫の世話は積極的にするように心がけているのだ。

私も、なかなか大変なのである。

「逃げるな」

会社では、長年にわたりトラブル対応などもしてきたが、退職して、それらの厄介ごとから解放され、本当にほっとした。

ところがである。

いろいろ調べてみて初めてわかったのだが、退職して自由になってからも、厄介ごとはいっぱいあったのだ。老後のお金、どんな生きがいを持ったらいいのか、健康を維持する方法、地域デビューすべきか否か、などなど面倒なことばかりだ。まったくもって逃げたくなる。

いったいどうしたらいいのだろうか。

わたしは小学生時代、問題に直面するたびに消えてしまいたい一心で忍術に憧れた。わたしにはドラえもんほど多くの機能は必要なかった。たんに問題のあるところから逃げられさえすればよかったのだ。その姿勢は今でも変わらない。こんな逃避の姿勢が人間として好ましいはずがない。なぜかというと、妻がいつも「逃げるな」と言うからだ。
「ワラをつかむ男」土屋賢二

「逃げるな」

実にシンプルだ。

私が退職したいと言ったとき、妻は「お金なんて、なんとかなる」と背中を押してくれた。そして、今は収入アップに努力してくれている。壁にぶち当たったとき、本当に頼りになる人だ。

妻の「逃げない姿勢」には見習うべきところが多いが、反面、気になるところもある。

自転車で工場の壁にぶつかり、何針も縫うケガをした時には、「工場の壁がぶつかってきた」と言い張っていた。今ひとつ状況がつかみきれないが、それが事実とすれば、悪いのは工場の壁だ。工場の壁が突進してくれば、誰でも足がすくんでしまうだろう。

妻に導いてもらえれば、逃げないで困難に立ち向かえるようになるかもしれない。だが、「(物体としての)壁が、向こうからぶち当たってくる人」にはなりたくないような気はする。

「人生を変えるきっかけを作れ」

何かをきっかけにして人生が変わった、という実話をテレビで何度も見たことがある。そういったものには、実に感動的な話が多い。

ここだけの話だが、今回私は、noteやYouTubeで活躍するという計画を密かに立てた。計画といっても、「活躍したい」と思っただけだが、実に夢がある。夢が叶ったあかつきには、私を知る人々は、こう噂するだろう。

「あの人は、本当はできる人だと思っていた」

考えを巡らせた結果、夢を実現するためには、テレビで見たような感動的なきっかけが必要だという結論に達した。しかし、「感動的なきっかけ」などというものは、そんなに都合良く起こるものではない。

あれこれと考えているうちに、ひらめいた。前々から欲しかったiPad Proを買ったらどうだろう。

それなら十分に感動的だ。

しかし、年金生活に突入したというのに、そんなに高いモノを買ってもいいだろうか。かなり悩む。

念願の4Kテレビを買った。視力も頭もボケてきているから、画面はできるだけはっきりしていてもらいたいからだ。
以前は8Kテレビが出るまで待とうと思っていたが、8Kテレビを待っていると、年齢的に認知機能が衰え、8Kテレビを買っても、自分が見ているのが8Kテレビなのか洗濯機なのか判別できなくなっている恐れがある。
「無理難題が多すぎる」土屋賢二

そう言われてみれば、そうだ。iPad Proなのか、まな板なのか判別できなくなってしまってから買っても遅いのだ。

気が変わらないうちに、Apple Storeアプリでポチッとしておいた。

感動した!よかった。

以前にも、そのような思いでMacBookProやiPad miniやポメラを買ったことがあるが、残念ながら人生を変えることはできなかった。たぶん、そのときは、本来の自分を見失っていたのだろう。

今回は違う。なんたってiPad Proである。Proなら変われる気がする(MacBookもProだったが)。

「なんでもないことを先延ばしにするな」

ここまで書いてきたことを読み直してみたが、読んでくださった方の参考になりそうなことが、上手く書けている自信がない。

なので、話の展開に無理があっても、何かお役に立ちそうなことをお話して、締めくくりたいと思う。

・・・

退職してから、まだ一週間ほどしかたっていないが、ちょっとした手続きでも面倒くさくて、ついつい先延ばしにしてしまっている。

何ごともテキパキこなしてきた私(当社比)は、いったいどうなってしまったのだろう。

暇なときは何でもないことが大仕事になるのはパーキンソンの法則を実証するものだ。これは「仕事に要する時間は使える時間に応じて増減する」という法則だ。たとえば令状を書く仕事は、五分使えるなら五分で終わる仕事、一日使えるなら一日仕事になる。仕事に取りかかるまでの気に病む時間も、使える時間に応じて増減する。気に病むのに使える時間が一週間あれば、一週間前から気に病むようになる。
「無理難題が多すぎる」土屋賢二

在職中もそうだったように、五分で終わる仕事の最大所要時間は、一日を限度にしようと思う。

また、良い行動を習慣化するには、日記をつけ始めるのも効果的かもしれない。

今日から日記をつける。これまで新年になると日記を書き始めるのだが、十日と続いたことがない。こんなことで小学生のころから進歩したと言えるだろうか。進歩したと言えるのは寝小便をしなくなったことぐらいだ。このわずかな進歩も、あと何年もつか分からない。せめて日記を続けられる程度には成長したい。
「ワラをつかむ男」土屋賢二

退職してから1週間ほどになるが、毎朝、掃除機がけをしている。すごい継続力だ。そんな自分を褒めてやりたいと思う。

今朝のことだ。
妻に「掃除機がけはありがたいけど、拭く機能はついてないの?」と言われた。まったく失礼な話だ。私の「拭く機能」を作動させるためには、取説をしっかり読んでいただきたい。

「別売のApple Watchをご購入いただき、本体の手首に装着していただけますと、拭き掃除も可能になります。ただし、最新型のApple Watchでない場合、誤動作するケースがございますので、あらかじめご承知おきください」

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