ロゴ制作の“詳細フロー”。(ジャージ女子の写真サイト「tracktop girl」)
さて! 前回、「ジャージ女子の写真サイト「tracktop girl」、ロゴ制作と“背景ストーリー”」を紹介しました。今回はその裏舞台、エピソード0、「ロゴ制作の“詳細フロー”」を掘りさげて紹介しちゃいます!(書き手:永井弘人)
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△ 001. 「ロゴ方向性」の検証・選抜。
△ 002. ロゴ候補案の雰囲気に合う、「チャック・持ち手の形」検証・選抜。
△ 003. チャック・持ち手候補案の「ロゴへの構成組み」検証・選抜。
△ 004. 選抜案の「細部調整・ブラッシュアップ」を行い、ロゴ完成!
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▶ まずは、ロゴのゴール(ロゴール)、「コンセプト」を立てよう。
クライアントである、トーニャハーディングさんと八重洲地下街で初めての待ち合わせ。まだコートを着る人が多い中、とても身軽な格好でやってきた。混みあうエクセルシオール店内。ロゴ制作の肝、「tracktop girl」立上げに至るエピソードや、今後のビジョンを聞く。
ヒアリングの中で、クライアントさんの口から、「何度も出てくる言葉・キーワード」こそ、「より良いロゴをつくるための最大ヒント」だよ。しっかりと漏らさず、聞く。聞くに徹する。飲みこむ。
・ジャージ
・女子
・存在を感じる
・ちょっとかっこいい
・ボーイッシュ
・中性的
・活動
・支持者
・強烈な個性
・知ったことでかわいく見える
……この一式内容。すべてをまとめて、1つの形にする……そりゃあむずかしい!(ってか、できない)。優先順位をつけて、“早い話が一言でいうと??”に集約します。これが、「デザインコンセプト」です。
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ロゴはある意味、「『デザインコンセプト』を具現化したもの」。つまーり、この「デザインコンセプト」にズレが生じていたり、ふわふわしたまんまだと、まず満足のいくロゴはできない。超重要な言葉。
よーし、言葉をギュッとまとめよう。ガラガラポン。
「動き・存在感」
これが、「デザインコンセプト」。イコール、「『動き・存在感』を印象づけるロゴをつくる」ことが、本プロジェクト提案のゴールとなるわけです。ロゴのゴール。略して、ロゴール(* そんな言葉は存在しないので、ここで初登場! 今後、二度と出てきません)。
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▶ 見て、決める。「視覚的に、方向性を検証」する。
「デザインコンセプト = 動き・存在感」を軸として、“エッジ〜カジュアル〜ボリューム”など、軸から派生したテーマをもたせ、「形を視覚的に検証」します。
私たちの場合、初回提案は数と振り幅が多めかもしれません。理由としては、“この方向性で本当にいいの?”というモヤモヤをとっぱらい、一切の迷いなく、次段階へ確実に進むためです。
自分たちの手でつくる検証案は、どれもかわいい。囲まれるとハーレム気分。あの娘もこの娘もいい。目移りしちゃう。でも、でも、より「動き・存在感」がガシッと重なる娘ってどれよ?
ここを、トーニャハーディングさんと一緒に「視覚的に擦り合わせる」。「目に見える状態」で会話する。あの娘? どの娘?
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▶ デザイン強度がグッと上がる、「意見のキャッチボール」。
擦り合わせを行い、ロゴ候補案を選抜しました。大きな方向性が決まったわけです。ここから、より「独自性・オリジナリティ」を感じさせるように、デザイン強度を上げていきますよ。
トーニャハーディングさんからのご意見メール。
「候補案とても気に入っています」
「気になる箇所があるとしたら、添付させていただいた通りの『点』(赤丸部分)です。動き、存在感のコンセプトには相違ないのですが、“水滴、雨の雫”を私はイメージします」
「これが例えば、“ジャージのチャック、チャック”の持ち手を連想させるものになったら、面白いのではないかなと想像しています。バランスが崩れてしまうかもしれませんが……」
「選抜案の点部分を、“チャック・持ち手”にしたら、より面白くなりそうですよね!?」という、クライアントさんからのメッセージ!
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これだ! オ・モ・シ・ロ・イ! こういうデザイン強度を上げるヒント、意見のキャッチボールこそ、「デザイン構築を人とやる意味」。クライアントとデザイナー、セッションを感じるポイント。ほいきた!
僕はこういうところで、めちゃくちゃ快感をおぼえる。文化・カルチャーも人が発信し、人が受ける。そこに笑いや感動が生まれ、心が豊かになる。元気になるってもんだろう。
ロゴ、デザインをつくる流れの中にも、そういった“感情の動きがまちがいなくある”ってことを伝えたい。はい、今、伝えました!
ならば、決案ロゴタイプとの印象を合わせた、「チェック・持ち手の形検証」だべ。
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▶ 人生の中でのレコメンド! 「チャックと持ち手の形」検証。
長い人生の中、「ジャージの『チェック・持ち手の形』」とガッツリ向き合うのは初めてかもしれない。よくよく調べると、いろんなタイプがある。とくに、持ち手。
まるいのから、かくばったの。穴のあきかた、装飾ラインの入りかた。
無限にある表情。彷徨いを解決するのは、「決案ロゴタイプとの印象統一・相性の良さ」なのだ。その筋を頼りに、ぐんぐん形に起こす。頭の中で考えていてもベストな答えは絶対に見つからないので、これらも視覚的に検証するのです。
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▶ コンビネーション、ベストパートナー。「ロゴへの構成組み」検証・決定。
あくまでも主役は、「tracktop girl」表記ロゴタイプ。「チャックと持ち手」シンボルは、主張しすぎず、さりげなく主張する。その塩梅。
その答え、ロゴタイプ × シンボルのベストパートナーをはっきりさせるには。やはり、「“すべて”、組み合わせて、具体的に確認」する。急がば回れ。解像度の高い、目に見える形は、“あ、これいい”というスピード感あるジャッジにつながるのです!
……そして、ロゴが決定! デザイナー視点での、細かなフォルム部分などをブラッシュアップして、納品しました。躍動感がありながら、元気でフレッシュな拡散を感じるタイプちゃん。女の子、だけど、ボーイッシュ。だからきっと、希望の光。
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こういったフローを経て、ロゴがつくられ、「ジャージ女子の写真サイト『tracktop girl』、ロゴ制作と“背景ストーリー”」につながるのでした。
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カルチャー次世代を“ロゴ制作とストーリー発信”で後押しする、「つなぐよ」。今後も制作事例を、「カルチャーの背景ストーリー編 / ロゴ制作の解説ストーリー編」の2本立てセットとして、本noteにて紹介していきまっせ。
狙いは、「カルチャーの回遊性」。今まで興味なかった、生活の中でふれることのなかったカルチャーも、「ストーリーから興味を持つ」「デザイン視点から初めて知る」……そして、新たなカルチャーに入りこむ。
「つなぐよ」での発信が、そんなきっかけになる。分母数、接点を増やす。様々な人も業界もカルチャーもデザインも。相互的に勢いづき、盛り上がる。循環する。DAYONE〜!
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【 A面 : ジャージ女子の写真サイト「tracktop girl」、ロゴ制作と“背景ストーリー”。へ 】
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