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次の駅までのひとときに

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わたしのなんでもないエッセイ
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2021年1月の記事一覧

星の光が何年も遅れて届くように

星の光が何年も遅れて届くように

タイムカプセルを埋めたままにしている、と気づいたのはもう8年も前。成人式の後に開かれた中学の同窓会もほとんど終わるというときだった。

「式終了後、Y小学校ではタイムカプセルを開封しました。参加できなかった方は会場の後ろに置いておきますので、ご自身の埋めたものを探してお持ち帰りください」

アナウンスとともに、立食会場前方の照明が落ち、ゆるゆるとスライドが下りてきた。数時間前に撮られたばかりの集合

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今日も1行目と戦っている

今日も1行目と戦っている

1行目は第一印象だ。

私たちは何かを読むとき、この書き手となら心を通わせられそうか、情報と体験を約束してくれそうか、つなぎ合わせた数単語から敏感に相性を探りながら判断している。だから全国に配布する取材記事も、コンテストに応募するエッセイも、twitterの140字だって、真っ白のディスプレイに初めて文字を打ち込むときは「よいご縁がありますように」と祈るようにして言葉を選んでいる。

中でもnot

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