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Wechatを利用した誰でもできる輸出ビジネスについて、簡単に解説してみる。


 
 ここ数年、百貨店やコンビニで急激に見かけるようになったこのマーク。見覚えがある人もいるのではないだろうか?

 Wechat(中国名だと微信、Weixin)。

 中国のIT企業テンセントが開発したメッセンジャーアプリだ。

 2020年にWechatの月間利用者数は12億人を超え、InstagramやTikTokを超え、世界第4位のユーザー数を誇る。


 僕は仕事柄、貿易業を営んでいる中国人と関わることが多い。
 出会う全員の中国人が必ずこのWechatを使用していた。

 あまりにも皆が使っているので、社会科見学的な興味から使い方を教えてもらったことがある。

 その話を聞いていく内に、なんて便利なアプリなんだろう、とその場で声を上げてしまった。


 Wechatの機能は大まかに以下の3つに集約される。
 
 ①メッセージ機能
 ②タイムライン機能
 ③決済機能(WeChat Pay)

 これらが三位一体となって機能するおかげで、他のアプリには不可能なビジネスシステムが構築された。
 結果的に、Amazonや楽天及びYahooショッピングとは全く異なるイーコマースのシステムとなっている。

 このWechatは中国へ個人向け輸出を営んでいる者にとっては必須のツールなのだ。 

 Wechatの各機能ごとに解説した記事は少なくないが、ビジネスモデルまで解説したものはほとんどない。
 なので少し今回は説明したいと思います。


 あらかじめ断っておくが、僕はWechatを使うべきとは思わない。
 ほとんどのユーザーが中国人だから日本人が利用する必然性がない。また、中国当局が検閲しており、セキュリティの側面に疑問も大きく残る。
 実際、僕はWechatを使っていない。安定のLINEユーザーだ。もちろんWhatsAppもCacaoも使っていない。
 

 ただ、このWechatを通して、中国のIT企業の技術の高さ、そして中国当局の規制との格闘について伝えたい。
 これによってWechatへ依存せざるを得ないならないという悲しい側面も見えてくる。




 さて、各機能を説明していき、その後に運用方法について説明したいと思います。。


【メッセージ機能】




 これはLINEのトークと同じ機能です。

 トークルームを作成し、特定の相手とメッセージをやり取りや無料通話ができます。


 もちろん、複数人のグループチャットも可能である。
 他には翻訳機能も充実しています。例えば、中国語で送られたメッセージを日本語に翻訳して表示してくれる機能です。逆に日本語で送ったメッセージを中国語に翻訳もできます。
 これによって双方が自国の言語で入力してもコミュニケーションが取ることができます。
 まあ、ほとんど中国人向けのアプリなので使う機会はそこまで多くはないと思いますが笑
 



【タイムライン機能】




 自分の友達やフォローしている人物・企業の投稿(写真やメッセージ)を時系列に並べたものが表示されます。
 タイムラインといえば分かりやすいかもしれません。
 ちなみにWechatではモーメンツと呼ばれています。
 

 LINEにもタイムライン機能はありますが、インフルエンサーが活躍していることや、ハッシュタグ機能が充実していることから、感覚的には、FacebookやInstagramのタイムラインに近いです。

 そもそもLINEのタイムラインは、投稿する個人ユーザーってほとんどいませんし、流れてくるのはほとんど企業広告ばかりで有用性はかなり低いですよね笑

https://www.hemule-blog.com/china-app/wechat


http://china-marketing.jp/article/detail23/



【決済機能】



 Wechatは、ユーザーの交流のみだけでなく、WechatPayというオリジナルの電子決済サービスも提供しています。

 友達や家族への個人間送金、店舗でのQRコード決済・オンライン決済など、様々な支払い方法に対応しています。
 お互いにWechatのアプリを使用していれば、アプリ内で簡単に送受金ができます。


 Wechatにあらかじめアカウントと銀行口座を連携させ、口座から入金させます。
 入金後は相手にWechatPayで支払います。もちろん、口座へ出金することもできます。
 最近はクレジットカードからも制限はありますが、入金できるようになったみたいです。


https://bitdays-jp.cdn.ampproject.org/v/s/bitdays.jp/money/cashless/mobilepay/wechatpay/16574/?amp=&amp_gsa=1&amp_js_v=a6&usqp=mq331AQHKAFQArABIA%3D%3D#amp_tf=%251%24s%20%E3%82%88%E3%82%8A&aoh=16102945415543&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&ampshare=https%3A%2F%2Fbitdays.jp%2Fmoney%2Fcashless%2Fmobilepay%2Fwechatpay%2F16574%2F



 (そもそも中国で電子決済が流行った背景)


 ここからは中国の社会情勢の説明に入ります。
 興味ない人は以下のWechatビジネスモデル】まで飛ばして読んでください。

 ここ1〜2年で急速に日本でも浸透し始めた電子決済ですが、中国の方が早く普及しました。
 その理由としては、


 ○高額紙幣が存在しない


 中国では100元(日本円で約1,500円)が最も高額な紙幣で、大金の持ち運びが難しい

 ○偽札が多い

 中国で偽札は決して珍しいものではなく、多くの百貨店やスーパー、小売店では、偽札をチェックする機械が設置してあります。このように現金に対する信用が低く、在中国日本国大使館によると、偽札であると知りながら使用してしまうと行政処罰(15日間以下の拘留と1万元以下の罰金)が科されてしまうこともあり


 ○クレジットカードの発行が難しい。

 中国では低所得者がまだまだ多いこともあり、クレジットカードに必要とされる与信審査の通過が難しい場合が多く、カードの保有は富裕層に限定される傾向があります。

 ○単純に便利


 等が、一般的には挙げられます


https://squareup.com/jp/ja/townsquare/cashless-world/china

https://www.polystar.yokohama/media/20200731/#i



 しかし、これは一般的にはあまり触れられてはいませんが、中国国外送金の禁止もその理由にも挙げられています。


 一応、社会主義(笑)の中国は人民元の持出し及び持込みは2万元(日本円で約30万円)で、かなり少額です。


 また国外送金をする際も規制は厳しく、
人民元で送金はできません。必ず外貨に両替した後に送金しなければいけません。年間5万ドル相当までという限度額もあります。


https://shiodome.co.jp/foreign-worker-employment/archives/4706


https://help.rakuten-bank.net/faq/show/6907?site_domain=business



 しかし、Wechatであれば現金持出し及び国外送金の規制をやり過ごすことができます。
 1日の利用限度額は最高で約80万円という条件はあるものの、現金や国外送金よりも遥かに大きな金額を簡単に動かすことができます。


 このような自体にもちろん中国当局も気づいているので、当然規制を入れました。

「WeChatペイ」「アリペイ」など第三者決済への規制強化
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/07/fa5ce6364c343c94.html


中国人民銀、アリペイとウィーチャットペイへの独禁調査を要請 https://jp.reuters.com/article/alipay-wechat-pay-china-idJPKBN24Y01Y



 ただ、規制は入れつつもWechatPayは運用可能なので、今でもかなり使われています。


 ちなみに余談ですが、電子決済の始まりはTeslaのイーロン・マスクが作ったPayPalが元祖です。
 イーロン・マスクは銀行の高い送金手数料に疑問を感じ、送金コストを下げるためにPayPalを作ったそうです。
 そういう意味では、WechatPayは原理主義的な意味でも使われていますよね。送金コストの意味はだいぶ異なりますが笑
 



【Wechatビジネスモデル】


 では、これからメッセージ及び、タイムライン及び、決済機能のシステムを使って一連の取引の流れを説明したいと思います。

 ここでは、日本在住の中国人が、化粧品等を中国へ個人向け輸出をすると仮定します。


 ①まずは店を開店したことをWechatに投稿します。

 ②そして、中国国内にいる複数の友達に、その投稿をシェアしてもらようお願いします。

 ③投稿を友達がシェアしてくれれば友人以外のタイムラインにも表示されることになる

 ④すると友達のフォロワーやさらにその友人がタイムラインを見ることになる。

 ⑤タイムラインを見た人は、シェアされた記事をタップすると、メッセージ機能により簡単に直接やり取りができる。
 
  ⑥そこで、ほしい商品の数量及び金額を交渉します。

 ⑦交渉が成立すれば、WechatPayで決済します。

 ⑧中国国内の商品発送

 ⑨購入した人が満足すれば、投稿をシェアし、さらに宣伝してくれます。

 ⑩そして、③に戻る。以下、繰り返し。


 ○マーケティングと広告のコストがほとんどかかりません。

 ○送金の手数料のみを払えば済むので、Amazonや楽天と違って、月々の登録料や販売手数料が要らない。

 ○「友達がシェアしたならば、詐欺の可能性がない」という信頼があるので、口コミビジネス的な広がりがある。

 ○注文がある毎にドラッグストアで商品を購入すれば良いので、在庫を抱えなくても済む。

 ○特別なスキルが要らない。

 ○タイムライン、メッセージ、決済が同じアプリ内でシームレスに行われており、便利。




 日本でもコンビニやスーパー及びドラッグストア等でWechatは普及しているため、受け取った売上代金は日常生活に宛てられます。また、そのまま商品の仕入代金にも使えます。



 しかし、WechatPayで受け取った代金を日本国内で円に現金化したいならば少し厄介です。


 WechatPayから、あらかじめ自己のアカウントに連携しておいた中国の銀行口座へ入金します。
 その後は、日本のATMから引き出します。
 ただし、1日5万円までと金額に制限があるため、このやり方は好まれません。
 
 多くの場合は、地下銀行を使用しています。

 もう少しだけ詳しく言うと、日本にいる多額の現金を持った中国人業者にWechatPayで送金して、手数料を払って現金化する、というものです。


 以上が一連の取引の流れとなっています。



【いつか中華料理を語るように様々な中国を語れたら良いのになあ】


 最近、中国のモノ・サービスが優れているな、と色眼鏡なしにそう思うことが多くなった。


 きっかけはXiaomiというスマホ購入したことだ。
 カメラ機能がとてつもなく優れており、1億800万画素という驚異的数字。値段も5万円程で購入できる。

 正直言って、日本のメーカーのスマホよりも品質が高かった。Xiaomiは、初めての使ったときのワクワク感も与えてくれた。その高揚感を感じたことに少し罪悪感もあっことも付け加えておくが。
 
 まあ、日本にいる中国人はほとんどiPhoneを使っていますけどね笑。
 なんだったら日本人のiPhone率より高いような気がする。それだけ中国商品を信用していなことの現れかもしれない。
 

 アントグループのジャック・マーを失うことになれば中国経済そのものに大いなる損失を与えるに違いない。


アント・グループ、株式上場を延期…中国当局が創業者らを聴取した後
https://www-businessinsider-jp.cdn.ampproject.org/v/s/www.businessinsider.jp/amp/post-223482?amp_gsa=1&amp_js_v=a6&usqp=mq331AQHKAFQArABIA%3D%3D#amp_tf=%251%24s%20%E3%82%88%E3%82%8A&aoh=16103031649542&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&ampshare=https%3A%2F%2Fwww.businessinsider.jp%2Fpost-223482

アリババ創業のジャック・マー氏が行方不明?「金融規制は老人クラブ」批判が契機か。欧州メディア報道
https://www-businessinsider-jp.cdn.ampproject.org/v/s/www.businessinsider.jp/amp/post-227361?amp_gsa=1&amp_js_v=a6&usqp=mq331AQHKAFQArABIA%3D%3D#amp_tf=%251%24s%20%E3%82%88%E3%82%8A&aoh=16103031134732&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&ampshare=https%3A%2F%2Fwww.businessinsider.jp%2Fpost-227361



 発達した素晴らしいハイテク産業を弾圧しようと躍起になっている。
 コントロール下に置かなければ気が済まないのだろう。

 ただ、一方で、ここ最近における中国政府の必死さは、権力が弱体化しているのかもしれない。



 GoogleやAmazonは国民国家よりも権力を超えた共同体は、中国でも実は生まれる可能性があるのかもしれない。
 いわゆる、現代思想的な言葉でいうと「帝国」というやつだ。

 規制をうまくかいくぐり、どんどん良いサービスを作って欲しい。

 ジャック・マーは早く無事に見つかってほしいと思う

 

 


 完全に余談ですが、最近のLINEはWechatのビジネスモデルしたいんだろうなあ、と思うこの頃。LINE Payもできたし。
 けど、タイムライン機能がやっぱりイマイチだから今のところは微妙ですね。

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