読書記録「残像に口紅を」筒井康隆 著※ネタバレあり
あらすじ
小説家・佐治勝男は「現実そのものが虚構であり」「虚構こそが現実だ」と考えている。
佐治は友人から、世界から徐々に「音」が消えていく物語を書くように持ち掛けられる。
たとえば「あ」の音が消えれば、「愛」や「あなた」のような言葉が消え、「ぱ」の音が消えると、「パン」という言葉が消える。
物語として作られた虚構の中で消えていく言葉が、現実の佐治の世界でも同様に失われていく。
おそろしいことに、名前が消えると存在が消え、概念が消え、親しかったはずの人も思い出せなくなってし