週末のフール
ここのところ、週末は片付けに追われている。
秋には家族が増える予定なので、これを機会に家を建てる。
実家の離れを解体して土地を分けてもらうので、
その離れをせこせこと整理している。
離れは2部屋ある平屋で、私が幼い頃は、両親が寝室として使っていたが、30年近くは殆ど物置と化していた。
処分を先延ばしにしてきた不用品。父が昔どこかの旅行先でお土産として買ってきた不気味な置物。デッキがないので観ることもできないVHS。そして、埃をかぶり日焼けでバリバリに固まった本。
私には大した思い入れもないが、きっとおそらく、両親にはそれなりの思いがあって捨てられずに今日に至っている。
しかし、そんなことを言っていては整理は捗らないので、片っ端からゴミ袋に投げ入れる。先述したように、私には何の思い入れもないので、これらを捨てるために心を鬼にする必要などまったくない。
今日は、両親が読んでいた本を整理する。
芥川龍之介、三島由紀夫、川端康成、夏目漱石など、誰もが一度は目にしたことのあるもの。
五木寛之、瀬戸内晴美の仏教寄りの小説。子育て、旅行、経済・・・etc
先日亡くなった石原慎太郎も出てきた。
読みたい本はいくつもあったが、さすがに埃と日焼けで朽ちかけていたので、(本だけは)泣く泣く処分することにした。
少しでも財布の肥やしになればと思い、古本の大手買取店に持ち込んだ。
30点以上持ち込んで、その中で値段が付いたのは8点だけだった。それだけかという気持ちと、そんなにもという気持ちが混在するが、値段が付かないものも引き取ってくれたので、資源回収に大量に持ち込むよりは手間が省けるので心が軽い。
どんな本があったのか、写真だけでも残しておけばよかったと、その日読書をしながら後悔した。
本は一度読んだら終わりではなく、何度も読みたい。ただ、次から次へと読みたい本が出てくるものだから、一度読まれた本は、端へ追いやられる。
しかし、こうやって何年か後、私でも他の誰かでもいいが、この本を手に取ってくれることを期待して、なるべく綺麗に残しておきたい。
少しずつ片付いてゆく部屋を見ながら、新しい家の本棚を妄想している。
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