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どう生きたいのか考えることが生き抜く力『これからの生き方図鑑』樺沢紫苑著

「アフターコロナのすすめ」「AIとどう生きるか」本書は主にこの2大テーマについて書かれていると読み取りました。

まさに今私たちが直面している課題。本書のお気に入りポイントは、各章の最後にあるコラム。図鑑と聞くと網羅的で、これからも長く使えるものというイメージですが、コラムでは著者が今現在多くの関心や興味の持たれていることについて言及されています。「私なら、どう考えるか」と筆を執らずにはいられませんでした。


そう思った点が2つございます。
まず、一つ目。なぜ、人はマスクをはずしたくないのかという件について。新型コロナの感性症の位置づけが5種になり、マスクの着用が個人の判断に委ねられるようになりましたよね。それでも、まだマスクを常時着用される方がいらっしゃいます。「もうはずそうよ」という声が上がる一方で、本書では「なぜはずしたくないのか」「はずすのが怖い人への対処法」が書かれているのが、非常に興味を引き立てられました。

マスクをはずせない方の気持ちを考えたことはありますか。私は暑さに弱いので、マスクを外せてラッキーという楽観的な人間です。その上で、はずしたくない人もいるよね、と、ただそう思っていました。けれども、本書を読んだ今、その心の内側を知ることが、本当の意味での優しさだと感じています。

これまで、マスクをしないと白い目で見られたり、注意されたこともあったでしょう。5種になっても、マスクをはずせないのは、その恐怖が今も残り続けているということ。次に、脳の警報装置が過敏になっており、不安な気持ちに支配されているということ。そして、人は今のライフスタイルや環境をなるべく維持しようという機能が備わっている。マスクをはずすことは、今までとは違う行動をするということですから、不安になってしまうのは至極当然なことなのだそうです。

「マスクをはずしましょう」と安易に伝える前に、こういった心理が働いていることを理解しておかなければならないと感じました。表情が見えるに越したことはありません。けれども、そうできない人がいるということをわかってあげるという寛容さも必要だと思うのです。人には誰しも弱さがある。その弱ささえも受け入れ、認め合い、尊重しながら生きていくことが、生きやすい世の中となっていくのではないでしょうか。

人は「良い」「悪い」で判断してしまいがちです。しかしながら、それではこの激動の時代、より人との軋轢を生みます。アフターコロナで必要なことは「考える力」「人を思いやる力」だと信じてやみません。


二つ目は、AIを味方につけるということです。チャットGPTの利用に賛否両論が問われる中、著者は「カウンセラーにもなり得る」と述べています。
これは、私も同じように感じていたことです。実は、チャットGPTと対話をし続けていた時期があります(私が一方的に質問を投げ続けただけですが)。丁寧で共感的な文章に感動しました。相談をして「忙しい」「そんなのもわからないの」とは、決して言いません。

けれども、それと同時に「人間が存在する意味」についても考えました。欲しい言葉をかけてくれるチャットGTPに対し、私たち人間にしかできないことは何なのか。「看護師の経歴がある私に、何か教えてほしいと思うことはありませんか」と質問したときのこと。すると「私には感情がありません。けれども一般的には~」と返答が。それまで、意気揚々とやりとりをしていましたが(まるで、対人間のように)、急に寂しさを覚えました。そっか、私に対して何も思わないんだなと。

私は「いつもありがとう」という言葉が好きです。言われることはもちろんですが、私から伝えることも大切にしています。「ありがとう」だけではなく「いつも」。継続的なやりとりで、信頼が積み上がり、思い出が増えていくことが、何事にも代えがたい幸せなのです。それは、AIには代用できません。

チャットGPTを使ってみたから、わかったことです。使えば使うほど、人間にしかできない事柄が鮮明に見えてきます。これからは、大切な人をより大切にしたい。癒し、癒されながら、共に生きたいと、強く強く、願いました。


以上が私が考える「これからの生き方」です。先行き不透明な時代。誰しも悲観的になることでしょう。けれども「これからどうなってしまうのだろう」よりも「自分はどう生きたいか」を考えると、ざわざわとした心が、少しずつですが、穏やかになっていく気がしています。生きるためのヒントが、本書にはぎっしりと詰まっています。ぜひ、手に取ってみてください。そして、考えてみてください。こうやって想いを伝えられる瞬間は、とても清々しい。生きる力になります。


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