グルメに執心、ご就寝
今回はアボカドだったか。
ラテックス-フルーツ症候群は初めてだな。
そうつぶやいてゆっくりとスプーンを置いた。
サーモンとアボカドと玉ねぎを使ったタルタルサラダが、物憂げに紺色のボウルに残るばかりだった。
男は中身をキッチンのゴミ箱に投げ込むと、テーブルの上の煙草をとってベランダへ出た。
乳白色の空からわずかに光が差し、かろうじて街に朝であることを告げていた。
煙草に火が付き、薄煙がゆっくり空気に溶け込んでゆく。
「その出来事」は彼にとって珍しいことではあまりない。
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