黙って本が読める人はすこぶる優秀だ。ひとたびページを繰れば、言葉の喧騒に飲み込まれてしまって、作者の語り文句なのか自分の妄想なのか記憶なのか、てんで区別がつかなくなってしまう。自分が書く話も顛末のないまま走る機関車みたいで、私はひたすら線路に頭を打ち付けて失神しそうになっている。

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