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20240925 イラストエッセイ「私家版パンセ」0053 運鈍根

 成功の秘訣は運鈍根といわれます。
 成功するのに運が必要なのはわかります。当然、根性も必要です。でもなぜ鈍(どんくさいこと)が必要なんだろう。なんで運鋭根ではないのだろう。

 「鈍」とは「才」の対極です。才能のない者が何故有利なのか。
 「才」とは「あれもこれも出来る」ということです。他方、「鈍」は「これをとったら俺には何も残らない」ということ。

 実際、世の中で成功している人たちはほとんど、一つのことに打ち込んだ人たちです。一つのことに打ち込もうとする時、色んな事が出来るというのは、かえって邪魔なのですね。将棋の藤井聡太さんが良い例です。

 将棋と言えば、昔、将棋に米長さんというプロ棋士の方がおられました。歌も歌うしおしゃべりも上手。将棋も天才と言われながら、なかなか名人になれませんでした。その米長さんが名人になった時、「運鈍根」の意味が分かって、やっと名人になれましたとインタビューで答えていたのが印象的でした。
 才能のある人は、成功しようとすると、自分ができることをあきらめ、できてきたの多くを辞め、一つにしぼらなければなりません。
 これはこれで、大変な苦労があるのですね。

オリジナルイラスト 棋士 米長邦夫さん


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