見出し画像

【読書感想文】さとのば大学から考える「学び3.0」とは何か?


・今回読んだのは…

さとのば大学発起人である信岡良亮さんの「学び3.0~地域で未来共創人材を育てる『さとのば大学』の挑戦~」

4年間で日本全国4つの地域に1年ずつ暮らしながら自分で立てたテーマに現地の人々と共に取り組む「プロジェクト学習」と、地域共創領域のトップランナーである講師陣や在校生と共に学び合う「オンライン学習」を行き来しながら学ぶ新しいスタイルの大学である「さとのば大学」

さとのば大学開設までの信岡さんの歩みや、さとのば大学のプログラム紹介。在校生やさとのば大学に携わる方へのインタビューなどを通じ、信岡さんがさとのば大学を通じて伝えたい「学び3.0」の世界観をまとめた一冊です。

・学び3.0とは

信岡さんはこれまでの社会での学びの形、そして今後必要とされる学びの形をこう表現しています。

・「学び1.0」は、既にある正解を学ぶことに最適化した、インプット中心の学び
・「学び2.0」は、学び手が自分の興味関心や状態に合わせて学びをデザインする、主体的な学び
・「学び3.0」は、個人の関心と他者との関係性を掛け合わせてアウトプットを生み出していく、共創的な学び

信岡さん著書より

「学び1.0」「学び2.0」は、個人やクラスメートといった限られた集団の中で進められる学びです。しかし、社会に出れば年齢や性別、出身地など様々な価値観やバックグラウンドを持つ人たちと力を合わせていくことになります。

「学び1.0」「学び2.0」で培った個人の力を活かしながら、他者との関係性の中で物事を動かしていける力を信岡さんは「学び3.0」と定義されています。

自分の将来像やありたい姿、興味関心などを基に、まさに実際の「社会」というキャンパスに飛び込んで4年間を過ごすのがさとのば大学なのです。

・学びに優劣はない!

本書の中でも何度も書かれているのが「学び1.0」「学び2.0」「学び3.0」に優劣はないということ。
さとのば大学では高校までで培われてきた「学び1.0」「学び2.0」を活かして「学び3.0」に進んでいくというスタンスだそう。それぞれの学びを横断的に活用していくことが「学び3.0」の真骨頂のようです。

僕も起業してまもなく5年になりますが、それぞれの学びがいかに大切かは身をもって実感しています。
もちろん、実際の商品販売においては「学び3.0」のような広い視野が求められますが、そもそも何をするにしてもその分野への基礎知識がなければ始まりません。もちろん、財務や経理、法律や税制も最低限知っておかなければなりません。まさに「学び1.0」的視点も不可欠です。

これまでの学びを否定するのではなく、時代の変化と共に求められるようになってきた学びの形を「拡張」していく姿勢こそ「学び3.0」なのではないかと感じました。

・読んでみて疑問に思ったこと

今の日本社会は課題が山積みです。その課題は到底一人で動かせるものでもなく、机の上の計算で解決できるものでもありません。
だからこそ、単なる知識だけでなく現場を動かし一歩前に進めていく。そんな『共創人材』を育てていく重要性はよく理解できました。
だからこそ、読んでみて僕が率直に感じた疑問を記してみます。

・どうすれば「学び3.0」に接続できるのか?
この本を読んで、「自分が高校3年生の時にこんな選択肢を知っていたらなぁ」と思いました。
学び3.0を実践するさとのば大学は素晴らしい場所ですが、小学校から高校までを何不自由なく過ごしていれば中々さとのば大学に進むという選択肢は浮かばないのでは?と思いました。(浮かばないことが悪いことではないかもしれませんが…)

僕自身も高校は進学校と呼ばれるところだったので、進路指導も当然4年生大学に進学するものとして進められていきました。
そういった中で、さとのば大学のような「学び3.0」を目指す環境にはどうすれば接続できるようになるのか?選択肢の一つになるのでしょうか?

・さとのば生は地域でどんな壁にぶつかっているのか?
本書では地域での経験をもとにした成長体験が沢山語られていましたが、実際の現場ではさとのば生はどんな壁にぶつかっているのでしょうか。
10代にして見知らぬ土地に入ることは、苦労もあるのではないかと思います。そんなリアルな声も聴いてみたいと思いました。

・さとのば生を受け入れる大人たちも「学び3.0」している!

学び3.0の理念を見れば、地域に向かう学生だけでなく、その学生を地域でそう生かすか?という点では受け入れ地域の大人たちにも「学び3.0」の機会が与えられているのではないかと思いました!

社会課題は山積みで複雑化する時代ですが、だからこそ希望を捨てることなく、どん欲に学び続ける姿勢が求められているし、さとのば大学はそんな人材を育てていくヒントになるモデルになるのかなと感じた一冊でした。

もし記事を読んで面白いと感じていただけたら、サポートお願いいたします! コーヒーの勉強や書籍の購入に使わせていただきます。