おばあからおかんに受け継がれた大好きな「ハムカツ」の話
先日はお盆で久しぶりに実家に帰省しました。
台風の影響でほぼ自宅で過ごすこととなりましたが、親と久しぶりにゆっくりと過ごすことができました。
さて、僕が実家に帰ると必ず食べるおふくろの味があります。
それが、「ハムカツ」
僕にとって沢山の思い出が詰まった一品です。
さかのぼること約20年前。小学一年生だった僕はスイミングスクールに通っていました。
そのスイミングスクールの横に中規模のショッピングモールがあり、その1階の食料品売り場でお惣菜として売られていたハムカツが大好きで毎週買って帰っていました。
そのハムカツは分厚いハムではなく、パンに乗せるような薄いハム1枚1枚に衣をつけて揚げるスタイルでした。大人になってから厚切りのハムカツが一般的であることを知り驚いたものです。
サクサクの衣とあっさりとちょっと塩味のあるハムの相性が抜群で、10枚以上ぺろりと食べていました。
週1回のスイミングの後の密かな楽しみでした。
しかし、ハムカツとの別れは突然訪れます。
通っていたショッピングモールが建て替えのため取り壊されてしまったのです。
その後周辺のスーパーを探し回るも薄切りタイプのハムカツが売っているところは見つからず…
大好きだったハムカツは食卓から姿を消しました。
しかし、小学二年生だった浩朔少年は諦めませんでした。
「お店で買えないんだったら家で作ってよ!」
と同居して家事を担当していたおばあちゃんに懇願します。
孫の必死なお願いに一肌脱いだおばあちゃん。
その日からハムカツ作りが始まります。
しかし、これが思いのほか険しい道のりだったのです。
薄いハムになじみ、尚且つ厚過ぎない衣を作るのが至難の業でした。
衣が分厚すぎたり、薄すぎてハムのふちが焦げてしまったり、ハムと衣が剥がれてしまったり。
毎回分量を少しづつ変えながら試行錯誤を重ねますが、中々上手くいきません。
せっかく頑張っているおばあちゃんに
「衣が厚過ぎる!」「ふちが焦げちゃってる!」
とぶーぶー文句を言っていたようです(笑)
とにかく浩朔少年の思いは
「もう一度あのハムカツを食べたい!」の一心でした。
そして、1年ほど試行錯誤を続け、ようやくハムカツが完成したのです!
サクサクながらも分厚すぎず、ハムの味もしっかり楽しめる。
最高のハムカツが完成しました。
それから、事あるごとにハムカツは我が家の食卓に戻ってきました。
大学進学で実家を離れてからも帰省する度にハムカツを作ってもらっていました。
しかし、ハムカツと二度目の別れがやってきます。
成人式の約1か月後おばあちゃんが亡くなったのです。
成人式で帰省した時に食べたのが最後のハムカツとなりました。
ですが、ここで一肌脱いだのが母でした。
実はおばあちゃんが亡くなる前にハムカツのレシピを伝授されていたそう。
今では実家に帰るたびに母がハムカツを作ってくれます。
メジャーな料理では無いかもしれませんが、僕にとってはごちそうでおばあちゃんも思い出す大切な一品です。
いつか、自分も家族を養う日が来たら忘れられない味として振る舞ってあげたい。それが密かな夢です。
それまでに母から伝授してもらわなければ…
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