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ロジカルシンキング入門 ロジカルシンキングって何の役に立つのか?

はじめに


ロジカルシンキング、または論理的思考は、物事を矛盾なく、体系的に整理し、筋道を立てて考える思考法です。この思考法は、特にビジネスの場で重要視され、意思決定や問題解決において効果的な手法とされています。ロジカルシンキングを構成する主な要素は以下の通りです。

ロジカルシンキングの基本要素


ロジカルシンキングは、演繹的思考と帰納的思考を基本とし、バイアスにとらわれず、合理的な思考を持ちます。物事を適切に分解し、因果関係を正しく把握し、言葉や数字を適切に扱う能力が求められます。

1物事に筋道が通っている:
意見や主張に一貫性があり、演繹的思考と帰納的思考が基本となります。
論理的思考力は、物事を全体的に捉えて要素ごとに分解し、論理の矛盾や飛躍がないように要素を組み合わせ、筋道立てて整理する考え方です。これには演繹的思考と帰納的思考が基本となります。演繹的思考は、一般的な原則から特定の事実を導き出すプロセスであり、帰納的思考は具体的な観察から一般的な結論を導く方法です。

演繹法(えんえきほう)と帰納法(きのうほう)は、論理的思考を行う上で基本的な方法です。
演繹法は、一般的な原則や法則から特定の事例や結論を導き出す推論方法です。演繹法の典型的な例は、次のような三段論法です:

全ての人間は死ぬ(大前提)
○○は人間である(小前提)
よって、○○はいつか死ぬ(結論)

この方法では、正しい前提から論理的に正しい結論が導かれます。

帰納法は、個々の観察や事例から一般的な法則や原則を導き出す推論方法です。帰納法は、多くの具体的な観察から一般的な結論を得るために使用されます。例えば:

このいちごは赤い。
そのいちごも赤い。
別のいちごも赤い。
よって、全てのリンゴは赤いかもしれない。

帰納法では、観察された事例から一般的な結論を導くため、結論は必ずしも絶対的なものではありませんが、多くの場合において有効な仮説を立てることができます。

これらの方法は、科学的研究、ビジネスの意思決定、日常生活の問題解決など、さまざまな分野で応用されています。演繹法はより厳密な論理構造を必要とし、帰納法は経験に基づく柔軟な推論を可能にします。どちらの方法も、それぞれの状況に応じて適切に使い分けることが重要です。

2バイアスにとらわれず白紙の状態で物事を捉える:
思考の歪みを避け、全体をバランスよく捉えることが重要です。
バイアスは思考の歪みを表し、意思決定の正確さを損なう可能性があります。バイアスを防ぐためには、自分の選択や決定を定期的に再評価し、新しい情報や視点を取り入れることが重要です。

3合理的思考をもつ:
重要な点とそうでない点を見分け、費用対効果の高さを考慮します。
合理的思考は、根拠と結論のつながりを明確にし、物事を客観的かつ合理的に考える思考法です。重要な点とそうでない点を見分け、費用対効果の高さを考慮することが含まれます。

4物事を適切に分解できる:
問題を小さな部分に分けて考えることで、原因や解決策を明確にします。
問題解決において、物事を要素に分解し、分類して構造化することで、不足している要素を探すことができます。これにより、問題の原因や適切な解決策を明確にすることが可能になります。

5因果関係を正しく把握できる:
原因と結果を正しく結びつけ、問題の本質を把握します。
因果関係を正しく把握するには、偶然ではないか、逆の因果関係が存在しないかを確認することが重要です。また、反事実を擬似的に作成してその結果を想定することで、因果関係を推測することができます。

6言葉や数字を適切に扱える:
言葉の定義や数字の意味を正確に理解し、定量的に思考することが重要です。ロジカルシンキングにおいては、言葉や数字を適切に扱う能力が求められます。

ロジカルシンキングのフレームワーク


MECE(漏れなくダブりなく)、SWOT分析、3C分析などのフレームワークを使って情報を整理することも含まれます。

ロジカルシンキングを鍛える方法としては、日常で使う言葉を具体的にする、論理を展開する際に飛躍がないようにする、結論から話す、日常の行動に理由をつけて考える、セルフディベートで論理的思考を補強するなどがあります。

言葉を具体的にする: 抽象的な言葉を避け、具体的な言葉を使ってコミュニケーションを取ることで、明確な思考が促されます。例えば、「早めに提出します」という代わりに、「金曜日の午後5時までに提出します」と具体的な期日を設定します。

自分の思考の癖に気付く: 自分の思考に偏りがないか、または先入観にとらわれていないかを自己反省し、客観的な視点を持つことが重要です。

本質的な問いを押さえる: 問題の本質を見極め、それに基づいて解決策を考えることが大切です。問題の表面的な症状ではなく、根本的な原因に焦点を当てます。

主張と根拠の骨格を作る: 自分の意見や提案には、しっかりとした根拠を持たせることで、説得力を持たせます。これにはデータや事実に基づく証拠が必要です。

ロジカルシンキングの実践方法と思考の方法


言葉を具体的にし、思考の癖に気付き、本質的な問いを押さえ、主張と根拠の骨格を作り、MECEに従うことで、ロジカルシンキングのスキルを高めることができます。

MECEに従う: MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)の原則に従って、情報を排他的かつ網羅的に整理します。これにより、重複や漏れを防ぎながら、情報を体系的に扱うことができます。ロジカルシンキングで必要となる概念がMECEです。漏れやダブりがあると論理が破綻しますので。MECEを実践するための基本的なステップは下記です。

問題の明確化
まず、解決したい問題を明確にします。問題が曖昧だと、MECEの効果が薄れてしまいます。

  1. トップダウンアプローチ
    全体から詳細に分解していく方法です。例えば、売上改善を考える場合、売上を「顧客数」と「顧客単価」に分解し、それぞれをさらに細分化します。

  2. ボトムアップアプローチ
    詳細な情報を集めてから全体像を描く方法です。未知の分野や新しい問題に対して有効です。

  3. 情報の切り口を決める
    情報を整理するための切り口を決めます。例えば、顧客を年齢、地域、購買履歴などで分類することが考えられます。

  4. 分類とグループ化
    互いに重複しないように情報を分類し、全体を網羅するようにグループ化します。これにより、漏れや重複を防ぎます。

  5. フレームワークの活用
    MECEを実践するために、フレームワークを活用します。例えば、SWOT分析や4P分析などが有効です。

これらのステップを踏むことで、MECEを効果的に実践することができます。

例)顧客分類
例えば、ある企業が新製品を発売する際にターゲット顧客を分類する場合を考えます。

MECEな分類: 年齢別(10代、20代、30代、40代、50代以上)
この分類は、各グループが重複せず、全ての年齢層をカバーしています。

MECEでない分類: 年齢別(10代、20代、30代、40代)
この場合、50代以上の顧客が漏れてしまいます。

これらの方法を日常的に意識し、実践することで、ロジカルシンキングのスキルを高めることができます。また、これらのスキルはビジネスシーンだけでなく、日常生活においても有効です。

これらの要素や手法を習得し、実践することで、課題発見能力や課題解決能力、効果的なコミュニケーション能力、マネジメント力などが向上し、問題解決や意思決定において非常に重要です。それぞれのスキルを磨くことで、より合理的で効率的な思考が可能になり、ビジネスにおける生産性の向上や再現性のある仕事が可能になります。

論点思考(イシュー思考): 問題の核心を見極め、議論すべきポイントを明確にする思考法です。この思考法は、批評的思考(クリティカル・シンキング)や論理的思考(ロジカル・シンキング)の一部であり、意見や主張を明確にし、論理的な根拠や証拠を持って議論するために重要なスキルです。
論点思考は以下の4つのプロセスで進められます:

・論点候補を拾い出す:解決すべき問題に優先順位をつけ、考えられる論点をリストアップします。
論点を絞り込む:リストアップした論点から、解決すべき重要な論点を選び出します。
・論点を確定する:絞り込んだ論点から、最終的に取り組むべき論点を決定します。
・全体像で確認する:論点を確定した後、全体のバランスを見直し、論点の因果関係や関連性を把握します。

論点思考力を高めるためには、問題意識を持ち、視点を変えて考え、複数の論点を考慮し、知識や情報の「引き出し」を増やすことが推奨されています。ビジネスの現場では、この思考法を用いることで、複雑な問題や多くの選択肢が存在する状況でも、効率的かつ効果的に解決策を見つけ出すことができます。

仮説思考: 仮説思考とは、限られた情報から合理的な法則性(仮説)を見出し、それを基に意思決定や問題解決を進める思考方法です。この思考法は、特に情報が不完全な状況での迅速な意思決定や、複雑な問題に対する効果的なアプローチを可能にします。

仮説思考のプロセスは以下の4ステップで構成されています:

・情報収集:必要な事実やデータを集めます。これは、問題解決のための「食材集め」に例えられます。
・仮説立案:収集した情報を基に、解決策や結論につながる仮説を立てます。これは、食材を使って料理をする「調理」の段階に相当します。
・仮説検証:立てた仮説を実際のデータや実験を通じて検証します。これは、料理の味を見る「味見」に似ています。
・知識化・体系化:検証を通じて得られた結果をもとに、経験を知識として体系化します。これにより、将来同様の問題に直面した際に迅速に対応できるようになります。

仮説思考は、ビジネスの現場だけでなく、日常生活の中でも無意識に行われていることが多いです。例えば、「雲行きが怪しいから傘を持っていく」というのも、仮説思考の一例です。このように、仮説思考は日々の意思決定や問題解決に役立つ重要なスキルと言えるでしょう。

クリティカルシンキング: 情報を批判的に分析し、論理的な判断を下すための思考法です。
クリティカルシンキング、または批判的思考とは、物事の本質を深く理解し、判断するための思考プロセスです。
この思考法では、既存の考え方や習慣、状況に囚われず、様々な角度から物事を見ることで、より良い解決策を見つけることができます。現代社会においては、多様な価値観やニーズに対応するために非常に重要なスキルとされています。

クリティカルシンキングを実践する際の4つのステップは以下の通りです:

目的を決める:問題解決や意思決定を行う際の目的を明確にします。
情報を収集・分析する:関連する情報を集め、それを客観的に分析します。
仮説を立てる:分析した情報から仮説を立て、それが問題解決につながるかを考えます。
結論を導く:仮説を検証し、最終的な結論を導き出します。

クリティカルシンキングは、事実に基づいた判断をしやすくする、矛盾点を見つけやすくする、リスクを回避する、コミュニケーションを円滑にする、新たなアイデアを生み出す可能性を高めるなど、多くのメリットがあります。

また、クリティカルシンキングを鍛えるためには、第三者の視点を意識する、事実に基づいて発言する習慣をつける、正しい情報を集めるスキルを高める、研修を受けるなどの方法があります。
クリティカルシンキングは、ビジネスの現場だけでなく、日常生活においても有効な思考法です。

デザイン思考: ユーザー中心のアプローチを用いて、創造的な解決策を生み出す思考法です。
デザイン思考、またはデザインシンキングとは、複雑な問題を解決するためにデザイナーが用いるプロセスを、ビジネスや社会的な課題解決に応用する思考法です。ユーザー中心のアプローチを取り、ユーザーが自分でも気づいていない潜在的なニーズを発見し、それを満たすための革新的な解決策を生み出すことを目指します。

デザイン思考のプロセスは一般的に以下の5段階で構成されています:

共感 (Empathise):ユーザーの経験や感情を理解し、ニーズを深く探ります。
定義 (Define):問題を明確に定義し、ユーザーが本当に必要としていることを特定します。
概念化 (Ideate):多くのアイデアを生み出し、最適な解決策を探求します。
試作 (Prototype):アイデアを具体的な形にし、小規模なモデルや試作品を作成します。
テスト (Test):試作品を実際のユーザーに試してもらい、フィードバックを受けて改善します。
デザイン思考は、ビジネスのみならず、教育、医療、公共政策など幅広い分野で応用されており、革新的なサービスや製品の開発、顧客体験の向上、社会問題の解決などに貢献しています。この思考法は、単に既存のニーズに答えるだけでなく、新たな価値を創造し、より良い未来をデザインするための強力なツールとなっています

ラテラルシンキング: 従来の枠にとらわれず、非直線的な方法で問題を解決する思考法です。
ラテラルシンキング、または水平思考とは、問題解決や新しいアイデアの創出に役立つ、非伝統的な思考プロセスです。この思考法は、エドワード・デボノによって提唱され、既成概念や前提に囚われずに物事を多角的に捉え、発想の幅を広げることを目指します。

ラテラルシンキングは以下のような特徴を持っています:

多面的な考察:一つの問題に対して、異なる角度からアプローチし、多様な解決策を探ります。
直感的な発想:論理的な思考に頼らず、直感を重視して新しいアイデアを生み出します。
偶然の活用:偶然に出会った事象をチャンスと捉え、それを新しい価値に変える力を重視します。

ラテラルシンキングのプロセスは、垂直思考(論理的思考)とは異なり、問題の解決策を一つに限定せず、複数の可能性を探求することが特徴です。これにより、創造性を高め、イノベーションを促進することができます。

ラテラルシンキングを鍛えるためには、以下のようなトレーニングが有効です:

ブレインストーミング:自由な発想を促すために、グループでアイデアを出し合います。
異質なもの同士の組み合わせ:全く異なる要素を組み合わせて、新しいアイデアを生み出す練習をします。
マイナスをプラスに変える:問題点や障害を逆に利点や機会に変える訓練を行います。
このようなトレーニングを通じて、ラテラルシンキングのスキルを身につけることができ、ビジネスや日常生活において、柔軟かつ創造的な問題解決能力を発揮することが期待されます。

ロジカルシンキングによる市場環境の理解(3C分析)、内部環境と外部環境の評価(SWOT分析)、マーケティング戦略の策定(4P分析)

3C分析:外部環境分析を行う際に有効なのが3C分析です。
3C分析とは、ビジネスの戦略立案において重要なフレームワークであり、市場環境を分析するために用いられます。この分析は、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの要素を中心に展開されることから、3C分析と呼ばれています。

具体的には、以下の3つの要素を詳細に分析します:

・顧客(Customer):市場の規模や成長性、顧客のニーズや行動パターンを理解します。これにより、市場の機会を見極め、顧客に合わせた製品やサービスを提供するための基盤を築きます。
・競合(Competitor):競合他社の製品やサービス、市場でのポジション、シェアの状況や推移を分析します。これにより、競合との差別化ポイントや市場での自社の立ち位置を把握することができます。
・自社(Company):自社の企業理念やビジョン、資金力、既存製品やサービスの状況などを分析します。自社の強みと弱みを理解し、それを活かした戦略を立てることが可能になります。
3C分析の目的は、これらの要素を通じて、ビジネスの成功に向けた施策検討のスタートラインを確立することにあります。また、成功要因(Key Success Factor)を見つけ出し、マーケティング施策に反映させることも重要な目的です。

この分析を行うことで、市場環境の変化に対応した効果的なビジネス戦略を策定するための洞察を得ることができます。3C分析は、変化が激しい現代のビジネス環境において、非常に重要な分析手法となっています。

SWOT分析:SWOT分析とは、各要素を自社を取り巻く環境(内部環境と外部環境)と自社の現状(プラス要因とマイナス要因)に分けて分析を行い、ビジネス機会を発見するために用いられるフレームワークです。
SWOT分析は、経営戦略を立案するために、自社の内部環境と外部環境を「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の4つの要素に分けて分析する手法です。このフレームワークを通じて、企業や事業の現状を把握し、将来の計画立案に役立てることができます。

SWOT分析の4つの要素は以下の通りです:

・強み(Strengths):自社の競争優位を生み出す内部のポジティブな要素。例えば、特許技術、強力なブランド、優秀な人材などがこれに該当します。
・弱み(Weaknesses):自社の競争力を低下させる内部のネガティブな要素。例えば、資金不足、古い技術、組織内のコミュニケーション不足などがあります。
・機会(Opportunities):市場や環境の変化によって生じる外部のポジティブな要素。新興市場への進出や技術革新などが機会となり得ます。
・脅威(Threats):市場や環境の変化によって生じる外部のネガティブな要素。新規競合の登場や規制の強化などが脅威になります。

SWOT分析を行う際には、これらの要素を明確にし、それぞれの要素が自社にどのような影響を与えるかを考察します。そして、強みを活かし弱みを克服する戦略を立て、機会を最大限に利用し脅威から守るための計画を策定します。
この分析は、自社の現状を客観的に把握し、戦略的な意思決定を行うための基本的なフレームワークとして、多くの企業で活用されています。

4P分析:何をどう売るかという企業側の視点でのマーケティング戦略を考えるときに有効なのが4P分析です。4Pとは「製品・サービス(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「販売促進(Promotion)」のことです。これらの要素はマーケティングミックスとも呼ばれ、市場から望ましい反応を得るために組み合わせて考えられます。

以下は、4Pの各要素についての詳細です:

・製品(Product):提供する製品やサービスの特徴、品質、デザイン、ブランド、パッケージ、保証などを含みます。顧客のニーズをどのように満たすか、競合と比較してどのように差別化できるかを考えます。
・価格(Price):製品やサービスの価格設定に関わります。顧客が価値を感じる妥当な金額か、適正な価格設定か、コストを踏まえて採算が取れるかを分析します。
・流通(Place):製品やサービスを顧客に届ける販売場所や流通経路を指します。販売場所や提供方法を製品やターゲット層に合わせて考える必要があります。
・販売促進(Promotion):販促の方法や広告宣伝についてです。顧客に製品やサービスを認知してもらい、使い続けてもらうための戦略を立てます。

4P分析を行うことで、市場環境の変化に対応した効果的なマーケティング戦略を策定するための洞察を得ることができます。また、これらの要素をバランス良く組み合わせることで、製品やサービスの市場での成功につながる可能性が高まります。

組織戦略とロジカルシンキング

7S分析とPDCAサイクルは、組織の効果的な管理と変革を支援するためのフレームワークです。

7S分析:企業における組織戦略を分析するのに用いられるのが7S分析
7S分析は、組織の効果的な管理と変革を支援するためにマッキンゼー・アンド・カンパニーが開発したフレームワークです。この分析は、組織の複雑な要素を理解し、改善するために、7つの重要な内部要素に焦点を当てています。これらの要素は、戦略(Strategy)、構造(Structure)、システム(Systems)という3つのハード要素、共有価値(Shared Values)、スキル(Skills)、スタッフ(Staff)、スタイル(Style)の4つのソフト要素に分けられます。

・戦略(Strategy):組織の目標を達成するための計画や行動方針です。外部環境の変化に対応するための方向性を示します。
・構造(Structure):組織の階層やチーム構成、組織間の関係性を指します。組織がどのように機能しているかを示します。
・システム(Systems):組織の日常業務を支える手順やプロセスです。報告システムや意思決定プロセスなどが含まれます。
・共有価値(Shared Values):組織の文化や核となる価値観です。組織の行動や決定に影響を与える基本的な信念を表します。
・スキル(Skills):組織やそのメンバーが持つ特有の能力や専門知識です。組織の競争力の源泉となります。
・スタッフ(Staff):組織の人材や人事に関する要素です。採用、育成、配置などの人事戦略が含まれます。
・スタイル(Style):リーダーシップのスタイルや組織の運営方法です。経営陣の行動や組織の風土が反映されます。

7S分析を使用することで、組織の現在の状態を評価し、目指すべき方向性とのギャップを特定することができます。これにより、組織の強みを活かし、弱みを改善し、変革を促進するための戦略を立てることが可能になります。ビジネスの成長や変革を目指す際に、組織全体のバランスを考慮しながら、全体的な調和を図るための有効なツールとされています。

PDCA:品質管理などを継続的に改善する手法。
業務改善や目標達成のために繰り返し行われるプロセスのフレームワークです。PDCAは以下の4つのステップから成り立っています:

・Plan(計画):目標を設定し、それを達成するための具体的な計画を立てます。
・Do(実行):計画した内容を実行します。
・Check(評価):実行した結果を評価し、目標達成度や計画の進行状況を確認します。
・Action(対策・改善):評価を基に、改善点を見つけ出し、次のサイクルに向けて計画を修正します。

このサイクルを繰り返すことで、継続的な改善が促され、業務プロセスの効率化や品質向上につながります。PDCAサイクルは、1950年代にアメリカの統計学者ウィリアム・エドワード・デミングによって提唱され、品質管理だけでなく、経営管理や人材マネジメントなど多岐にわたる分野で活用されています。このフレームワークを通じて、組織は目標に向けた取り組みを効果的に管理し、改善していくことが可能となります。また、PDCAサイクルを実施することで、具体的な行動に集中しやすくなり、ナレッジの蓄積や事業の持続的な改善が期待できます。

競争環境の分析

5フォース分析は、業界の構造を理解し、競争環境を評価するためのツールです。

5フォース分析:5つの競争要因から生まれる競争圧力を分析
またはファイブフォース分析は、企業がその市場(業界)に参入すべきか、競合対策として取るべき施策は何なのかを明確にするためのフレームワークです。この分析は、アメリカの経営学者マイケル・ポーターによって提唱されました。業界の構造を理解し、競争環境を評価することで、戦略的な意思決定を補助します。

5フォース分析では、以下の5つの力を分析します:

・業界内での競争:競合他社との直接的な競争を表し、競合が多いほど収益性は低下します。
・新規参入者の脅威:市場への新規参入が容易な場合、競争が激しくなり収益性が低下する可能性があります。
・代替品の脅威:自社の製品やサービスに代わる価値を持つ代替品が存在する場合、市場が小さくなり収益性が低下する恐れがあります。
・買い手(顧客)の交渉力:買い手の交渉力が強い場合、価格競争が激しくなり収益性が低下することがあります。
・売り手(サプライヤー)の交渉力:売り手の交渉力が強いと、仕入れコストが高くなり収益性が低下する可能性があります。

これらの要素を分析することで、企業は自社の強みや課題を発見し、収益性の向上や経営資源の最適配分、新規参入や事業撤退の判断材料として活用できます。5フォース分析は、業界の競争状態を明らかにし、企業が直面する脅威や機会を理解するのに役立つ重要なツールです。

外部環境の分析

PEST分析は、企業が直面する機会と脅威を理解し、戦略的な意思決定を行うために使用されます。

PEST分析:自社を取り巻く外部環境を4つの視点から分析
PEST分析は、企業が外部環境を分析するためのフレームワークで、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの要素に焦点を当てています。この分析は、企業が直面する機会と脅威を理解し、戦略的な意思決定を行うために使用されます。

以下は、PESTの各要素の詳細です:

・政治(Politics):政府の政策、法律、税制、貿易規制など、政治的な要因が企業活動に与える影響を分析します。
・経済(Economy):経済成長率、インフレ率、失業率、為替レートなど、経済的な要因がビジネスに及ぼす影響を考察します。
・社会(Society):人口統計、ライフスタイルの変化、消費者の態度など、社会的な要因が市場に与える影響を分析します。
・技術(Technology):技術革新、研究開発、オートメーションなど、技術的な進歩が業界にもたらす影響を評価します。

PEST分析を通じて、企業はこれらの外部要因が現在および将来にわたってビジネスにどのような影響を与えるかを把握し、それに基づいて戦略を策定します。この分析は、新しい市場への参入、製品開発、ビジネスモデルの変更など、さまざまなビジネス決定に役立つ情報を提供することができます。

マーケティングとロジカルシンキング

AIDMAモデルとAISASモデルは、消費者の購買行動モデルを表し、マーケティング戦略を立てる際に有効な指標です。

AIDMAとは、消費者の購買決定プロセスを説明するモデルで、以下の5つのステップから成り立っています:

・Attention(注目):消費者が商品やサービスの存在を知る段階です。
・Interest(関心):商品やサービスに興味を持ち始める段階です。
・Desire(欲求):商品やサービスを欲しいと感じる段階です。
・Memory(記憶):商品やサービスを覚えておく段階です。
・Action(行動):実際に商品やサービスを購入する段階です。

このモデルは、消費者が商品やサービスを「知る→興味を持つ→欲しいと思う→覚える→購入する」という一連の流れを表しており、マーケティング活動において顧客の心理を理解し、適切なタイミングでアプローチするための重要な指標となります。
AIDMAモデルは特にBtoC(ビジネス・トゥ・コンシューマー)の分野でよく用いられ、消費者の短期的な購買行動を説明するのに役立ちます。
また、インターネットの普及により、AIDMAモデルはAISASモデルへと進化している場合もあります。これは、オンライン環境における消費者の行動をより適切に反映したモデルです。

AISAS(アイサス):インターネット時代の消費者の購買行動モデルを表すモデルの一つです。以下の5つのステップから成り立っています:

・Attention(注意):消費者が商品やサービスに気づく段階です。
・Interest(興味):消費者が商品やサービスに関心を持ち始める段階です。
・Search(検索):消費者が情報を探求する段階です。
・Action(行動):消費者が実際に購入や申し込みなどの行動を起こす段階です。
・Share(共有):消費者が自身の経験を他人と共有する段階です。

このモデルは、従来のAIDMAモデル(Attention、Interest、Desire、Memory、Action)を発展させたもので、インターネットの普及により情報検索の重要性が増し、SNSなどでの情報共有が購買行動に大きな影響を与えるようになったことを反映しています。AISASモデルは、特にオンラインマーケティング戦略を立てる際に有効な指標とされています。

問題解決のツール

ロジックツリーは、問題解決や意思決定のプロセスを支援するために使用されるフレームワークです。

ロジックツリー:問題の原因を深掘りしたり、解決策を具体化するとき
ロジックツリーとは、問題解決や意思決定のプロセスを支援するために使用されるフレームワークです。複雑な問題や状況を、より小さな要素に分解し、それぞれの要素を論理的に組み立てていくことで、問題の全体像を明確にし、原因や解決策を体系的に探求することができます。

ロジックツリーは、以下のような種類があります:

・要素分解ツリー (What Tree):トピックや課題を要素に分解し、選択肢を明確にするために使用されます。
・原因追求ツリー (Why Tree):問題の原因を特定するために、原因を段階的に追求していきます。
・問題解決ツリー (How Tree):具体的な問題に対する解決策やアクションプランを立てる際に役立ちます。
・KPIツリー:組織の目標(KGI)と関連する業績指標(KPI)の関係を明確にするために使用されます。

ロジックツリーを作成する際には、MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)の原則に従い、重複がなく、漏れもないように要素を整理することが重要です。これにより、問題の全体像を把握し、論点ズレを防ぎながら、効率的に問題解決に向けて進むことができます。ロジックツリーは、ビジネスの現場だけでなく、教育や公共政策など、さまざまな分野で応用されています。

価値創造のプロセス

バリューチェーンは、企業が製品やサービスを通じて顧客に提供する価値を創造する一連の活動を分析します。

バリューチェーン:顧客に価値を提供するための一連の流れを表す
バリューチェーンとは、企業が製品やサービスを通じて顧客に提供する価値を創造する一連の活動を体系的に分析するフレームワークです。この概念は、経済学者マイケル・ポーターによって提唱されました。バリューチェーン分析を行うことで、企業は自社の事業活動を通じてどのように価値が創造され、競争優位が築かれているかを理解し、戦略的な意思決定を行うことができます。

バリューチェーンは主に以下の2つのカテゴリーに分けられます:

・主活動(Primary Activities):製品の設計、製造、販売、配送、そしてアフターサービスなど、製品やサービスが顧客に届くまでの直接的な活動です。
・支援活動(Support Activities):主活動を支える企業インフラ、人的資源管理、技術開発、調達などの間接的な活動です。

これらの活動を通じて、企業は製品やサービスに付加価値を加え、顧客にとって魅力的なものにしていきます。バリューチェーン分析を行うことで、コスト削減の機会を見つけたり、自社の強みを強化したり、競合との差別化を図ることが可能になります。

バリューチェーンの考え方は、サプライチェーンとは異なります。サプライチェーンは製品が顧客に届くまでの物理的な流れに焦点を当てていますが、バリューチェーンはそれぞれの活動がどのように全体の価値に貢献しているかを分析する点で異なります。

まとめ

ロジカルシンキングは、課題発見能力や課題解決能力、効果的なコミュニケーション能力、マネジメント力などを向上させ、ビジネスにおける生産性の向上や再現性のある仕事を可能にします。うまく活用出来れば事業の大きな助けになると思います。また弊所的には事業計画書を制作するときなどによく用いるフレームワークなども多くございます。
ビジネス、補助金、事業計画などのご相談はぜひ弊所事業再構築補助金、省人化・省力化補助金専門の行政書士 土田経営事務所 行政書士 土田経営事務所 (big-advance.site)へどうぞよろしくお願いいたします。

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