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【読書】 家族の結束、血は争えず。 ~ 孫と私のケッタイな年賀状 佐藤愛子 ~

母が佐藤愛子さんのエッセイが好きで、若い時に借りて読んでいました。

気合の入った面白い方でエッセイも気合の入った内容が多いように思います。

去年、一昨年と佐藤さんのスピリチュアル体験の本を読み、こんな側面もあるんだ!!と驚いたりしました。


いつか代表作の「血脈」も読もうと思いつつ、こちらを本屋さんで購入する頃は重めな本を読んでいたので、楽し気な本が読みたいと思って購入しました。


こちらの本は表題通りで、ひょんなことからお孫さんと作ることになった「ケッタイ」な写真年賀状の記録です。

撮影者は佐藤さんの娘さんで、まさに家族一丸となって作る魂の年賀状。

表紙にはトトロに扮した佐藤さんとお孫さんが、北海道の大地で可愛らしく写真に納まっています。

気楽に写っているようで、その実、一年をかけて練りに練って作られている様が本に記録されています。


きっかけは佐藤さんがゴロゴロ寝転がっていた時、近くにキツネのお面も転がっており、何となくお面を被ってそのまま寝ていたところ、カメラを構えてクスクス笑う娘さんの声が聞こえ、何の気に無しに佐藤さんがポーズを取ったところを娘さんがパシャリ!

毎年の年賀状作りが面倒だったので、何となくこの時の写真を使ったことで、お孫さんが1歳、佐藤さんがなんと68歳でスタートする、その後二十年も続く恒例行事となりました。


面倒なはずなのに、そして他のことではお金を掛けることを極力嫌うのに、年賀状用の扮装アイテムには糸目を付けない佐藤さん。

でも完成品は極力購入せず、出来るだけ身の回りにある「ありもの」に付け足す形で仕上げます。

気が付けば年賀状に使うためのシチュエーションを常に考え、娘さんから「こんなものがあるよ」と連絡があれば、購入も厭わず。

この一枚(年賀状)に掛ける情念。


手探りだったはずが、コツを掴むようになり、時にスランプに突入し、そしてそのトンネルを抜けて最高の一枚を仕上げる。

物凄く忙しい日々を送っていらっしゃるはずですが、本を読み進める内に、その入れ込みように「ブラボーー!!」と思わずにいられなくなります。

自分は「愛子77歳 コギャル」の一枚と、おめでたい年始を打ち砕く、写真年賀状を打ち止めとした88歳の一枚が大好きです♥

赤ちゃんの頃から訳も分からず、他のお家でもみんなやっていることと思い込みながら、大学生の二十歳まで二十年間もの間、年賀状に「真面目」に付き合ったお孫さん、そして、陰に日向にサポートし続けた(自身は写らない)娘さんとの家族愛がひしひしと伝わって来ます。

どんなシチュエーションでも常に本気な佐藤さん、黙って付き従うお孫さん、笑いながら撮影する娘さん。

ふざけることなく、どれだけ真剣に挑んでいたかが綴られた記録は、大真面目なだけに笑ってしまいます。


自分の父も佐藤さんと同じ傾向があり、何かと行事がある度に、いそいそと「お色直し用紙袋(いつ購入しているのか不明)」から「これがいいかな」などとひとり言を言いながら、訳の分からない扮装をして写真を撮られまくっています。

佐藤さんの娘さんもお孫さんも、佐藤さんの「真剣さ」を理屈ではなく理解しているようです。

そして自分も絶対に扮装に参加しませんが、父の「やりたくて仕方ない気持ち」が何となくわかります。

なぜなら扮装している時に偶然居合わせた時、一緒に写真を撮ってしまうので(笑)

自分は一回だけ、友達の結婚式で近しいことを余興でやりきり、新郎の招待客のオネエな方々に「あんた、凄く良かったわよぉ!!」とハグされ褒められたことは良い思い出です♪ (親子の血って怖い)


皆さんのご家族の中でも「なんでこの人はケッタイな・・」と言うことに情熱を燃やす方がいらっしゃると思います。

そんな時は、ぜひ本書を手に取って下さい。

その情熱があなたに染み入っているくるかもしれません☆



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