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ずっと同じではいられない。 ~ 舞台 セールスマンの死 ~
「伊集院とラジオと」の番組が終わってしまい、舞台出演者の方の声を聴く機会がめっきり減ってしまいました。
そんな中、頼りはチケットサイトからの案内メールか、観に行った舞台会場で貰って来るチラシが貴重な情報源です。
今回は以前観劇した会場で貰っていたチラシから、ポチリ。
内容は知りませんでしたが、よく目にするタイトルだったので。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/77460359/picture_pc_91a534e32a53fd391dcae52c3eb3ea3b.jpg?width=800)
渋谷のパルコ劇場へ出掛けました。
ネタバレがありますので、これから観劇の方は後日お読み頂けると幸いです。
舞台はとあるサラリーマン家庭。
段田安則さん演ずるサラリーマンは63歳。
かつては敏腕セールスマンとしてバリバリ営業成績を上げていました。奥さんの鈴木保奈美さんとの間に、福士誠治さんと林遣都さんの共に30代になる二人の息子がいて、マイホームにて暮らしています。
勤めている会社で、今は基本給無しの歩合給で旅回りの営業を未だにしている上に、先代の社長から代わった小さい頃から知っている息子の二代目社長には、疎まれています。
鈴木さんは献身的に尽くしてくれています。それに対して福士さんは高校時代にアメフトの有望選手として期待されていましたが、諸事情でドロップアウトしてからは定職に付けずブラブラ。林さんは定職についていますが、女遊びに忙しく軽い性格。
週給の歩合で各種保険や家のローン、家財の修繕費に追われる状態の中、過去の自分の栄光が頭から離れません。
亡くなった兄の高橋克実さんは17歳でアマゾンに単身分け入り、23歳で大金持ちの大成功を治めています。
幼馴染の鶴見辰吾さんは会社を経営していて、その息子の前原滉さんは子ども時代うだつの上がらない子でこちらも幼馴染の福士さんにいいように使われていましたが、今ややり手の弁護士になっています。
段田さんの過去の栄光に囚われて身動きが取れない様や、期待されていた通りの順風満帆な人生を送れずに、何をやっても上手く行かない福士さん。
段田さんは、昔は小馬鹿にしていた鶴見さんが今や自分よりも着実に息子の前原さん同様、成功を治めている様を直視出来ません。
妄想で出て来る兄の高橋さんから「サラリーマンなんかより思い切ったチャレンジをしてみろ」と言われ続けても、サラリーマンとしての自分の過去の栄光から抜け切れず、周りの善意や思いを受け止めることが出来ません。
同じように高校で明るい未来を掴みかけていた福士さんは、30代の段階で今の段田さんのように閉ざされつつある未来を、どうにか受け入れようと必死にもがいています。
最後に段田さんが選ぶ道は・・・?
最初から最後まで笑いが起こるシーンは多くありませんでした。
あまりにも成功体験に強く固執し、何でも手に入り、何でも思い通りに行っていたはずが、いつの間にか歯車は逆回転するようになっていて、気付いた時には・・といった厳しい現実を見せつけられる舞台でした。
身近な人間関係、特に「小馬鹿にしていた」人が心折ることも無く、着実な成功者として人生を歩んでいることを目の当たりにした瞬間と、今の自身の現実との対比は到底受け入れることが出来ず、崩れていく様は辛いものがありました。
恐らくどこにでもある「ちょっと良い感じ」を過ごしている人が、ふとした瞬間「ちょっとマズイ感じ」になっていることに気付けるか?
気付けて何らかの対策を講じるか、または「こんなはずじゃない」で現状にひたすらすがり続けるのか?
そこから、また新しい人生が展開するんじゃないかと思います。
割と気軽に観劇に行きましたが、観劇後は考えれば考えるほど、何が正解でどこでどうしたら、またはすべきだったのか選択することの難しさを覚える舞台でした。
浮かれ子ちゃんは、浮かれっぱなしでいると、気付いた時には溺れているかもしれません。
時々、周りを見回したり、意見してくれる人の話に耳を傾ける。
簡単で、案外出来ないことが生き方の道しるべになるかもしれませんね。
うーん、真面目な感想となりました(笑
同じく、雇われる人生のお話。
共に見ごたえのある舞台です。
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