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アメリカに住んでみたら、想像以上にペーパーレスだった話

アメリカ移住初心者のLarge cedarです。

アメリカに来て印象的だったことの一つ。それは思っていた以上にペーパーレスが進んでいたこと。役所系手続きもペーパーレスなうえにシンプルで驚きました。

もちろん紙の個人用小切手(パーソナル・チェック)がまだまだ使われていたり、ファミリードクターの遠隔診療がzoomじゃなく単なる電話だったなんていうアナログな場面に遭遇することもあります。
でも日本の現状と比べると大きく差がついているな…という印象です。

今回は、ほぼペーパーレスで完了した息子の現地校編入手続きを中心に紹介したいと思います。

■ペーパーレスだった現地校編入プロセス

息子は、アメリカの公立小学校に通っています。

見ず知らずの土地で、英語の話せない息子が現地校に通うことに不安はありましたが、時には試練を乗り越えながら、楽しく通っています。

今回は現地校へ編入するにあたって、どんな手続き(プロセス)を経てきたかを紹介したいと思います。

ざっくり分けると、登録、個別確認、面接、ガイダンス、という4つのステップを経ました。

(1)オンラインで事前登録


まず日本にいる間に、オンラインで事前登録をしました。私達はボストンの隣りのケンブリッジ市に居住することにしたので、ケンブリッジ市内の公立校を管轄している部署(CAMBRIDGE PUBLIC SCHOOLS:CPS)のウェブサイトで事前登録を済ませました。

オンライン登録時には、ケンブリッジ市の居住者であること証明するための賃貸アパートの契約書(我々は日本滞在時にアパートを決めました。もちろんアパートの賃貸契約もオンラインで行います)、また健康カードや予防接種証明書などのスキャンデータをアップロードします。最後にオンライン署名をして提出完了です。

ちなみにアメリカの多くの公立校では、その運営が各学区(school district)に委ねられています。

各学区は地域住民から投票で選ばれた理事会メンバーを中心に、カリキュラムや教科書、スクールバスや調理場といった学校に関わる設備などを独自に決定することができます。このため学区によってもカラーが違います。

文科省をトップに、全国一律の教育体制を敷いている日本からするとかなり新鮮です。

日本未上陸のTasty Burgerのチーズバーガー。日本食は恋しいけれど、ハンバーガーとピザはアメリカに軍配が上がる!

(2)担当者とメールで個別確認


2~3日後には、CPSの担当者から登録完了のメールがきました。担当者が今後の案内をしてくれます。ここで不安や疑問点を解消したり、面接日を相談したりします。
色々な質問に、迅速(即レス)かつ丁寧に回答してくれたので安心できました。

(3)入国後に面接


アメリカ入国後、面接を受けにCPSのオフィスへ赴きました。この面接の目的は、英語を外国語として学ぶ生徒のためのクラス(ELLクラス:English Language Learnerクラス)に入るのが適切かどうかを見極めるためのもの。

要は、面接官に「この生徒は英語を理解できていない」と判断されたら、ELLクラス完備の小学校に振り分けてもらえるというわけです。

面接官と息子の面接が終了すると、待機している保護者に面接官からのフィードバックがあります。息子の英語レベルとともにELLクラスへの編入可否が伝えられ、息子は無事ELLのある小学校(希望していた学校)に入ることが決まりました。

面接官が「ちょっとデスクワークをしてくる」と言って数分で戻ってくると、オンラインで全ての手続きが完了したようで、学校や各関係者にも情報が共有されたとのこと。ここで面接の結果と通学先が記載された証明書のプリントアウトを一枚(初めてペーパーが登場!)、家庭用控えとして渡されました。

CPSの担当者から「面接48時間後から通学できる」と聞いていましたが、本当に面接の翌々日から通学することが決まりました。

(4)ガイダンスは全てメールで


翌日には学区のファミリーリエゾンから、学校生活の案内、いわばガイダンスのメールが来ました。小学校の概要、担任の先生、校長や副校長、スクールナースなどの名前と連絡先のほか、始業および終業時間、持ち物などなど。2日目以降からスクールバスの利用が可能。持ち物は水筒とスナックだけでした。

ちなみに、スクールバスのトラッキングアプリ給食メニューが掲載されるウェブページ担任の先生と繋がれるチャットアプリなども案内されます。

その他、保護者用ポータルサイトが案内されました。ここには編入にあたってサインの必要な同意書などが全て格納されています(例えばコロナの簡易テスト実施、写真撮影に関する承諾書など)。1週間以内のデータアップロードを求められました。

ボストン発祥のダンキンドーナツ。強烈に甘いと思ったけど、最近この甘さに慣れてきた自分が怖い。

■手間ひまかける日本のプロセス


一年前。息子が日本の小学校に入学した時は、入学数ヶ月前に紙の資料をどっさり渡され学校の説明会に参加。準備する書類(全て手書き)もアイテムも盛りだくさんで、特にアイテムには全てに細かい指定(給食ナプキンの縦横の長さとか)があるので探して揃えるのが大変でした笑。

あの細かいルールを決め、莫大な資料を作成し、コロナ渦に200人弱の保護者を迎える説明会を開催する先生方は、もっともっと大変だったと思います。

セレモニーの一種という感覚で、心の準備にもなってよかったとは思います。その一方で、アメリカのシステムが合理的だと改めて思うのです。シンプルに効率化していくことで、そこに費やしていた労力や時間を別のことに充てることができる。それが次の進化と成長につなげられる可能性がある。そういうスタンスなのだと思います。

「日本は高齢者を基準に全てのシステムが作られている」という話をよく聞きます。65歳以上が3割弱にせまる高齢社会。政治家や地域の権力者などを見回しても一番元気なのは60代くらいの方々。良くも悪くも従来の慣習を捨て去れない。アメリカと比べると、日本は高齢者スタンダードな国になっているという事実を受け入れざるを得ません。

そしてまた「細かいよね」とか「古い体質だよね」と冗談まじりの愚痴を言いながら、何だかんだ一生懸命やっちゃうのが日本人。努力は必ず報われると言われて育ち、その真面目さが変化の足かせになっているのかもしれない。

日本にいる時は、まぁ仕方ないよね、ガマンガマンと思っていたけど、印鑑や紙のやりとり、細やかで手数の多いシステム、そんなものに手間をとられている場合なのかな。。?

私は日本が大好きです。だからこそ日本にもっともっと元気でいてほしいし、世界の中で存在感を示してほしい。効率化できることはして、もっとこれからの進化や成長にパワーを投じていってほしいと思うのでした。

クインシーマーケットというフードコートで人気のクラムチャウダー。出汁が効いていて美味しいです。

おまけ1:デジタル弱者は駐車場を使えない?

ペーパーレスが進み過ぎて逆に戸惑ったのは、駅や路上などのパーキング利用時に専用アプリを入れてないと料金を支払えないこと。管理者も不在。

日本だったら仮にアプリを導入したとしても、(ネットを使えない人の救済措置のため)管理者は配置すると思います。が、そんなことはしない。ネットを使いこなせない人は使うな。そんな厳しさを感じます。笑

ちなみに通貨に関しては、キャッシュはほとんど使われておらず、カード払いが主流です。少なくともこの辺りでキャッシュ払いしている人を見かけたことがありません。スーパーマーケットはもちろん、レストラン、博物館の売店、ベーグル屋さんも。よく英会話で「クレジットカードは使えますか?」なんてフレーズ見かけますが、むしろ「現金は使えますか?」というフレーズを載せるべきなんじゃないかと思いました。

おまけ2:ワクチン接種証明書の発行システムも秀逸!

余談になりますが、米国入国後の翌週ブースター接種を無料で受けられました。オンライン申請した当日に、最寄りの薬局(CVS)で、待ち時間も無しでした。(看護師の方が打ってくれました)

そして接種の1時間後くらいに、薬局からメールで「ワクチン接種証明書」が送られてきます。美術館などに入る際に提示する証明書はこれで十分。

さらにマサチューセッツ州公衆衛生局が運営する「My Vax Records」というサイトにアクセスして、名前・電話番号・生年月日を入力すると3分もたたないうちにリンクが送られてきて、公式な「ワクチン接種証明書」のデータをダウンロードできました。

これだけシステマチックにしていれば、接種を受けた人も役所の人も、時間とパワーを、かなり削減できるはずです。

日本でもコロナワクチン接種で、だいぶペーパーレス化が進んだと思います。でもその一回りも二回りも先をいく時短化・効率化だと感じました。頑張れ、日本~!

ボストンパブリックマーケットというフードコートのクレープ。中にはバナナとチョコと生クリームがぎっしり。砂糖の量は日本の3倍くらいかと。もう反則的に甘くてうまい!

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