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【歴史のない日本伝統10】神前結婚式

右翼は低偏差値であったり歴史を知らないのに「日本の伝統が大事だ」とすぐに云う。しかし右翼が強調する伝統や歴史観などウソだらけで伝統性など乏しいものばかりだ。

今回は神前結婚式の歴史のなさを説明する。神前式は「古き良き日本人の象徴」ではなく伝統詐欺商法だった。

日本の伝統的な結婚式といえば神社で行う神前式が有名だ。最近では式次第・ルール・宗教などの厳密な決まりがない人前式が人気である。

しかし神前式が歴史があるというのは間違いで
100年程度の歴史しかない。

日本で神前式の結婚式が広く知られるようになったのは1900年(明治33年)以降の事であり5月10日に大正天皇となった嘉仁親王と九条節子氏の結婚の儀が宮中の賢所で行われた。

それ以前の天皇や皇太子の伝統的な婚儀は入内(じゅだい)と呼ばれる宮中儀礼として行われていた。

平安時代以降は皇后は女御(にょうご)と呼ばれる天皇の寝所に侍る身分の後宮から昇進する事が多かったからだ。

女御として入内した最後の皇后は明治天皇の皇后であった一条美子氏である。後の昭憲皇太后である。

ゆえに嘉仁親王夫婦のように皇族が神前にて挙式を行うのは皇室の歴史から見ると革新スタイルであった。

明治維新後の神仏分離令で葬儀を神式で行う家は現れていたが
結婚式が神前式で行われる機会は少なかった。

結婚式は各家庭で花嫁道具を運び込む道具入れ、花嫁が新郎家に移動する嫁入り、家に親戚を読んでのお披露目会祝言をもって婚礼儀礼としていた。

1875年(明治8年)に美濃国(岐阜県)で自宅に宮司を招いて神前結婚式を行った家もあったがそれは奇妙な儀式でしかなかった。

日本でキリスト教式の結婚式が初めて行われたのが1873年(明治6年)であり貿易商の英国籍の中国系シンガポール人と日本人女性との間で行われた。キリスト教式の結婚式の方が神前結婚式より歴史は長かったのである。

現在の日本で神前結婚式が都市部から地方の農民にまで広く普及したのは戦後の話である。

「日本人だったら日本らしい伝統的な形式の結婚式よね。」
「神前式はエスニシティックだ!素晴らしい日本の伝統だ。」と
嘯く低偏差値B層ほど日本の歴史を知らないのである。

(結論)

神道(自然崇拝)が古来より存在してきたのは事実だが大方の神社が古来より存在してきたというのはほぼウソだろう。

神仏分離令以後の慣習である可能性がきわめて高い。神前結婚式にしても歴史がほとんどなく頭の悪い右翼や低偏差値B層向けのブライダルビジネスである。

■参考文献
『日本人が大切にしてきた伝統のウソ』オフィステイクオー 河出書房新社

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