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トランペットについて学ぶ授業(東京音大吹奏楽アカデミー:楽器別指導法)

東京音楽大学 吹奏楽アカデミー専攻1年生の授業に「楽器別指導法」というのがあります。吹奏楽指導をする上で必要なすべての管楽器、打楽器、コントラバスをひとつずつ学んでいく授業で、秋学期(後期)最初はトランペットからスタートです。
2週に渡って実施しました。

吹奏楽部への指導は音大在学中から行くことも多く、場合によっては自分の専門以外の楽器も含めたレッスンをすることもあります。
その際、ある程度すべての楽器に対する知識があれば、より深いレッスンができます。

管楽器は作音さくおん楽器と呼ばれる楽器のひとつで、例えばピアノのようにすでに音が発生するシステムが用意されていて、鍵盤が何らかの重さで押されればそのタイミングで特定の音が出る構造であるのに対し(音楽的な話ではなく発音原理の話をしています)、管楽器は音を発音するために体の様々な部分も必要となるため、誰でも手に取った瞬間音が出る、音階が吹けるわけではありません。

そのため、管楽器初心者へはどうしたら音が出るのか、という話からスタートする必要がありますし、指導者は正しい説明と正しい実践方法を知らなければレッスンができないわけです。

楽器別指導法の授業でも、実際に楽器に触れ、音を出すために体をどのようにセッティングするするのかを具体的に体験してもらいます。

1週目は吹奏楽でトランペット奏者が担当する他の楽器、コルネット、フリューゲルホルン、ピッコロトランペットを紹介し、さらに主に使われるミュートを紹介しました。
そして、トランペットを演奏している方が意外に効率悪いことをしているバルブオイルのさしかたを解説し、実際にやってもらいました。

今回もやはり起きましたが、トランペット初心者の頃に一度は皆さんやったことがあるであろうバルブオイルをさした後にピストン位置がずれて音が出ない現象や、ピストンバラバラ事件(バネを納めている部分のネジが緩む)。でもこれ経験しておくと、部活指導の時に結構役にたったりします。
以前、中学生の子が「今日全然音が出ません」と泣きそうになってたら、ピストンが少しだけずれていた、ということがありました。

2週目は、ずっと音を出す時間にしました。驚いたことに今年度の1年生は説明をする前にみんな音が出せていて、今まで4年間この授業をしていて初めてのことです。ちなみに今年の1年生は10数名のうち金管は3名のテューバだけです。

でも、音が出ているとは言っても、詳しいセッティングなどを話して正しく音を出してもらいました。呼吸(ブレス)についてもせっかくなので詳しく説明し、タンギングの仕組み、音域変化なども解説、実践しまして、あっという間に時間が来てしまいました。

最後はみんなでアンサンブル体験。ラピュタの「ハトと少年」のアンサンブルで、全員でベースラインを吹いてもらい、この日ちょうど誕生日だった3年のトランペット、植松くんにメロディを吹いてもらいました。

見本演奏中

こんな感じで吹奏楽に使用されるすべての木管楽器、金管楽器、打楽器、コントラバスについて毎週学んでいきます。

吹奏楽アカデミー専攻はすべての楽器に講師がいて、器楽科にはない合奏時にも講師が一緒に演奏し、アドバイスしたり、質問もすぐできる恵まれた環境の中、様々な学びを得ることができます。
個人レッスンや管打アンサンブル、作曲、ポップス作編曲、指揮法、マーチング、バンドディレクションなど魅力的なカリキュラムが満載でとても忙しくはありますが学生たちは充実した毎日を過ごしています。

10月には芸樹祭、11月にはオープンキャンパスが開催される予定ですし、ご興味ありましたらぜひ大学へいらしてください。


荻原明(おぎわらあきら)

荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。