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【連載】ディズニーランド紀行 〜『創造の狂気』・Uボート・メタボリズム | 4/4 終わらない物語

東京ディズニーランドのフィールドワーク的紀行の第4回です。

10年ぶりのディズニーは、景色が違っていました。子供のころに楽しんだゴーカート(グランドサーキット・レースウェイ)やスタージェットが無くなってて時の流れを実感した。

景色の違いは、アトラクションが入れ替わったからというのもありますが、各エリアのどっかしらで工事が行われている光景が目立っていたというのもあります。

ディズニーランドは完成せず、有機的に拡大していく、というこのテーマパークの基本思想を再確認したところであります(『創造の狂気 ウォルト・ディズニー』473ページ)。

さて、見出しの「メタボリズム」というのは建築界での潮流の一つなんですけど、概要は以下の通りです(「メタボリズムの未来都市展」より)。

1960年代の日本に、未来の都市像を夢見て新しい思想を生み出した建築家たちがいました。丹下健三に強い影響を受けた、黒川紀章、菊竹清訓、槇文彦といった建築家たちを中心に展開されたその建築運動の名称は「メタボリズム」。生物学用語で「新陳代謝」を意味します。それは、環境にすばやく適応する生き物のように次々と姿を変えながら増殖していく建築や都市のイメージでした。東京湾を横断して伸びていく海上都市、高く延びるビル群を車が走る空中回廊でつないだ都市など、その発想の壮大さには驚かされます。
メタボリズムが提唱されたのは、戦争で荒廃した日本が復興し高度経済成長期へと移行した時代です。そこには理想の都市を通じて、よりよいコミュニティをつくろうという思いもありました。

下の写真にあるのは、メタボリズムの中でも特に有名な「東京計画1960」と発案者の丹下健三(右下)。

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東京の都市機能が東京湾上に拡張されており、さながら『AKIRA』(大友克洋)に登場する「ネオ東京」のようです。ちなみにディズニーランドがある浦安周辺には空港のようなものが見えますね。

生き物が新陳代謝をして常に新しくなっていくのと同じように、都市もまた固定化されずにアップデートされるべきだ、そういう思想がメタボリズムです。そして、最終的な目的は、理想の都市を通じて、よりよいコミュニティをつくることなのです。

ディズニーランドが常に拡大・変化するのも、こうした思想が根幹でリンクしているからではないかと思います。

ウォルト・ディズニーの最終的な目的は、理想の都市を0からデザインし造ることでした。EPCOTです(『創造の狂気 ウォルト・ディズニー』566ページ)。

EPCOTは、「実験的未来都市」"Experimental Prototype Community of Tomorrow" を指します。そしてそれは都市機能が有機的に作用し合い、人の暮らしに寄り添ったデザインでした。その計画をフロリダのディズニーワールドで実行に移す前にディズニーは天に召されるわけですが...。

メタボリズムの建築・都市計画が資本主義社会の終わらぬ発展に合わせた建築思想だとすれば、拡張・改良されていくディズニーランドもまた、終わらない物語を象徴している光景なのだと思います。

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